レンズの裏面UVカットとは?
累進レンズの場合、できるだけ左右の条件を同じにする方が良いと思います。
理由としては、度数以外は同じでないと使いづらくなることがあるからです。
左右で条件の異なる累進レンズを入れる?
もし、左右で条件が異なるレンズを入れる理由を考えてみるなら、
・片眼だけ近くが見えにくくなったので、もったいないから片方だけ加入度を変えたい
・調節力が左右で違うため、加入度を変える
・片眼の視力が出ないから、その眼は安価な設計のレンズで良い
・利目じゃない方のレンズだけ、累進帯長を長くして、度数変化を緩やかにしたい
などかなと。
ただ、例外的に左右の条件を変えたレンズを使うことはあるかもしれないけども、
実際に、このような提案をすることは少ないと思います。
また、片眼のみの度数変更、もしくは片眼レンズ交換すらしてはいけないレンズもあります。
累進レンズで左右の条件を変えてはいけない理由
一番は設計や、累進帯長による度数変化の問題と思います。
レンズ設計は、ユレ・歪みをできるだけなくすために、様々な設計が組み込まれており、
同じレンズメーカーの非球面レンズと言っても、ピンからキリまであります。
そのため、レンズ設計が違うとなると、ユレ・歪みの状態が異なってくると思います。
例えば、HOYAのレンズでも、
両面複合設計・両面シンクロ設計・内面累進・外面累進などにわけられ、
眼鏡技術者協会の『累進屈折力レンズのデザインと隠しマーク集』を参考にすると、
それに載っているだけでも、700種類以上あります。
これらの組み合わせとなると700種×700種の組み合わせの上、
さらに、それを個々に合う組み合わせを選ぶ事になるため、
現実的に難しいと思います。
もちろん、試しにレンズを入れ、合わなければ無償交換するなどの地道な作業を行うなら、
合う組み合わせができるかも知れないものの、それをするくらいなら、
左右とも同じ設計、同じ累進帯長のレンズを使用する方が良いと考えます。
加入度を変えると?
加入度(ADD)については、左右差をつける場合、そのユレ・歪みに大きく差ができます。
これは各メーカーが出しているレンズの歪みに関する資料があるため、
それを見ると、加入度による歪みの違いが見た目で分かりやすいと思います。
例えば、右ADD1.00Dと、左ADD2.50Dを組み合わせた場合、
ADD2.50Dの方が圧倒的に歪みが大きくなります。
これは、累進帯長が14mmの場合、
14mmの範囲でADDの分だけ変化することになります。
また、左右差は2.00D以内に抑える場合が一般的と思いますが、
仮に両眼の度数が右S+2.00D、左S+3.00Dの方の場合、
右ADD1.00Dと、左ADD2.50Dなら、
右:遠用度数+2.00D⇒近用度数+3.00D
左:遠用度数+3.00D⇒近用度数+5.50D
となります。
遠用度数は両目とも正視状態なのに、近用度数になると、度数が大きく変化し、
その歪みに対して、眼が追いつかないと推定される上、
近用度数では左右差も2.00D以上に大きくなるため、
気持ち悪いや違和感などにつながる可能性がでてくると思います。
もちろん、眼鏡店が個人で試し、それをお客様に提供するのは良いと思いますが、
お客様に、そういう未知のやり方を行うことはできないため、
わざわざ加入度を変えるということは、レンズのことを知らないか、
もしくは、ものすごく詳しくて調整できる凄腕の人しか、できないのではと思います。
片眼交換だけでもやっては駄目なレンズ
片眼交換ができないレンズは存在します。
これはハイエンドクラスのレンズ設計にあると思いますが、
両眼設計が含まれているindividualレンズは片眼での交換はできません。
これはレンズ作製時に、左右のバランスを考慮した設計が入っており、
あくまでも両眼視を行った際に、楽に見える設計であるため、
両眼ともレンズ作成する必要があります。
片眼のレンズだけ傷ついた場合、費用の面から、片眼入れ替えを提案したいですが、
それだと両眼設計が崩れる可能性があるのと、そもそも、発注できない、
メーカーが受け付けてくれないため、できないこととなります。
片眼を入れ替えるくらいなら、レンズ設計のグレードを落として、
左右とも入れ替えた方が良いということになります。
ちなみに、カラーレンズについても、片眼入れ替えはできませんが、
これは設計と言うより、色の問題になります。
まとめ
累進レンズの場合、片眼だけ設計や条件を変えることは、あまりしないと思います。
仮に提案するなら、それはものすごく詳しくて合わせられる自信がある人か、
そうでなければレンズを知らない人ではないかと。
また、各社のハイエンドクラスはindividualレンズになります。
このindividualレンズの中には、両眼設計が入っているものが多く、
片方だけの入れ替えはそのバランスを崩すことになる可能性があると思います。
これについては、各眼鏡店の考えもあるとは思いますが、
自分はなかなかメリットが見いだせないので、
理由がないとやらないかなと思います。
ただ、こういう条件の人にはこの組み合わせでも大丈夫だったなど、
情報があれば、その同様の条件下で、
駄目な場合は無償交換することを覚悟でやっても良いかなとは思います。
次は、『強度近視のレンズの渦巻きを消す方法』について



