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individualレンズでメガネを作った後にフィッティング?

豊福祐史

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テーマ:知っておくべきレンズの話

individualレンズはの特長の一つに、『パーソナルフィット』があります
(各社メーカーで名称は違うと思います)。
このパーソナルフィットがあるから、individualレンズが
オーダーメイドのレンズとなり得ますが、
ここで、疑問に思う方もおられるかと思います。

『そこまで緻密な設計で作られたレンズなのに、
フィッティングして中心などがズレないのか?』という疑問。

これについて、個人見解になりますが、述べたいと思います。

通常の単焦点・累進と、individualレンズの違い

単焦点および累進レンズのどちらにもindividualレンズはあります。
単焦点は遠用・近用のレンズ、累進レンズは遠近両用のレンズとなります。

レンズをフレームに嵌め込む際、レンズの光学中心(幾何学中心ではなく)を
瞳孔に合わせるように作製します。
そのためには、瞳孔間距離(PD)を測定する必要があり、

メジャー<オートレフ<PDメーター(ピューピロメーター)
             <PDメーター&アイポイントシール

の順で精度が上がります。

通常、眼鏡店でPDを測定する場合、PDメーターを使用すると思いますが、
簡易的にはオートレフ(自動視力測定器)で出てきたデータを使うところもあると聞きます。

通常のレンズであれば、PDメーターで測定すれば十分とは思いますが、
individualレンズの場合、精度を上げて作製する必要があるため、
当店の場合は、単焦点レンズでもPDメーター&アイポイントシールを使用します。

また、individualレンズに限らず、累進レンズはミラー法を用いて、
中心が合っているかを確認する必要があります。

ミラー法はレンズメーカーから累進レンズではどんな設計であっても必須と言われていますが、
やっていないところも多いとも聞きます。
必須な理由は、累進レンズの場合、中心がズレると気持ち悪くなったり、
不具合が大きくなるので、ズレていないかを確認するためです。

individualレンズでは、『パーソナルフィット』のパラメーターも必要となるため、
自分の場合、PD以外はメジャーで測定し、さらにLLiやアイメックなどの機械を用います。
機械があるのに、メジャーを使う理由は、ダブルチェックの意味があります。

以上を簡単にまとめると、

メガネ作製に必要なパラメーター
通常のレンズ:度数・PD
individualレンズ:通常のレンズ+頂点間距離・反り角・傾斜角・中心確認など

メガネ作製に必要な検査
通常のレンズ:他覚検査・自覚検査・ミラー法(遠近のみ)
individualレンズ:通常のレンズ+individual用の機械やソフト
           (+各パラメーターが測定できるメジャー)など

通常のレンズも、ズレがないように作製されますが、
individualレンズは、より緻密に設計されているため、
可能な限りズレがないように作製されます。

中心などがズレるとどうなる?許容範囲は?

レンズの中心が合っていないと、見づらかったり、気持ち悪かったり、疲れたりします。

ただ、多少ズレている程度なら、特に問題はないと思います。

メガネは作製時やレンズ嵌め込み時に若干ズレるし、
日常的に使っていたり、保管方法によってはフレームやレンズが多少変形することもあります。

また、フレームによっても、頂点間距離等が異なるため、度数についても多少の差があります。
通常のレンズでここまで気にすると、かなり計算し直さないといけない上に、
その計算結果が体感的に正しいかがわからないという話になります。

こういった様々な状態でも問題がないよう、許容範囲があると考えています。

例えば、1級眼鏡作製技能士の実技試験で不合格の項目は、
・6.1°以上の乱視軸のズレ
・上下プリズム0.51Δ以上
・光学中心高さ2.1mmの差がある
とあります。

正直なところ、かなり緩い基準ではあるものの、あくまでも一発不合格の項目なので。
逆に言えば、このくらいなら許容範囲ということも考えられます。

個人的には、眼鏡作製時は、
・2.0°の乱視軸のズレまで
・上下プリズム0.1Δ以下
・光学中心高さ0.2mmの差以内
このくらいが最低ラインの許容範囲とは思ってますし、
他のベテランの眼鏡専門店の方に聞いても、
このくらいの精度ではやっていると聞いています。

ここまでの精度で作っているから、多少ズレても、許容範囲内に収まるということです。

※以下の数字などは、許容範囲のイメージと考えてください
 (勝手に作った適当な数字になります)。

理想的な状態が±0、許容範囲が+100~-100とすると、
通常のレンズを+50~-50の範囲で合わせるものとします。
設計グレードの高いレンズは各種パラメータを入力することで、
より正確に+10~-10の範囲で合わせるとします。
フィッティングなどにより+50~-50の範囲で変化すると考えます。

そうすると、
通常のレンズは理想的な状態から±50、フィッティングで±50さらにずれても、
+100~-100となり許容範囲内。

設計グレードの高いレンズの場合、理想的な状態から±10、フィッティングで±50さらにずれても、
+60~-60となり、通常のレンズよりもズレる範囲が狭まります。


individualレンズのメガネをフィッティングするとズレるのでは

individualレンズは緻密に作製されたレンズなため、
疑問に思われる通り、フィッティングすると、当初の中心からズレると考えられます。

なので、基本的にはレンズ製作後は大きなフィッティングはしませんが、
微調整のためフィッティングは必要と思います。(結果的に必要ない場合はあります)。

例えば、製作後に違和感や気持ち悪さなどがある場合、微調整によって改善することはあります。

まとめ

フィッティングは『ズラす』のではなく、『最適な状態に微調整する』ことになります。
『メガネ』は『度数測定』『ヒアリング』『フレーム選定』『レンズ選定』『加工』
『フィッティング』などが行われてこそ、『一般医療機器』として十分な効果を発揮し、
見え方や疲れなどにも影響します。

そのため、individualレンズは基本的にはレンズ製作前にフィッティングを行い、
作製後にはフィッティングはあまりしません。

ただ、作製後のフィッティングについては、お客様の装用感などにより、
眼鏡店が判断すると思います。

次は、『フィッティングによる頂点間距離と度数変化』について

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専門家

豊福祐史(眼鏡小売店)

株式会社とらや眼鏡店 メガネのとらやG-room

顧客の要望や好み、ライフスタイルに合った納得の眼鏡をお勧めしています。仕入れでは、フレームのデザインはもちろん、細かい点までもチェック。視力測定や加工などは、国家資格の1級眼鏡作製技能士が対応します。

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