度数ではなく、色でモノを見えさせるコントラストカラー?
単焦点レンズや累進(遠近)レンズといっても、
各レンズメーカーで格安のレンズもあれば、最高位のレンズがあり、
現時点ではindividualレンズといわれているものが、最高位になります。
その中でも、各メーカーごとにトップのレンズはあります。
例えば、HOYAなら『極』、ニコン・エシロールなら『ロハス100PRO』など。
お客様が求める視界や価格、度数と製作度数範囲と照らし合わせると、
提案することは意外に少ないですが、今回は、HOYAの『極』について。
HOYAの累進レンズ
HOYAのハイグレード以上の設計としては、
極>雅N>望>紬>オプティナ>ウェルナ>シンクロとなります。
ただし、これはindividualを加味した順番になります。
紬からindividualレンズとなりますが、individualたらしめるのは、
『パーソナルフィット』という設計にあると思います。
『パーソナルフィット』は、『頂点間距離』『前傾角』『そり角』のパラメーターを、
レンズに反映させる設計なので、視力測定とは別に特殊な機器やシールを用いて、
追加測定が必要となります。
つまり、顔とフレームに合わせてレンズを作製するということ。
各パラメーターは入れなくてもindividualは作れる?
『頂点間距離』『前傾角』『そり角』のパラメーターを入力せずに
デフォルトで行うことも可能です。
ただ、それではindividualの大きな特徴の一つである
『パーソナルフィット』の意味がなくなります。
その場合、
極>雅N>オプティナ>望>ウェルナ>紬>シンクロ
という順番になるので、望よりもオプティナ、紬よりもウェルナを選んだ方が
価格的にも設計的にも無難ということになります。
順番が変わる理由があって、シンクロは両面シンクロ累進設計で、シンクロのindividualが紬。
オプティナとウェルナは両面複合累進設計で、オプティナとウェルナのindividualが極・雅N・望。
ただ、オプティナには極と雅Nの設計の一つである『両眼ナチュナルコントロール設計』が
組み込まれているため、『パーソナルフィット』がなければ、
このような順位に変わってしまいます。
累進レンズを提案する際、最低限やらないといけない、
シールを貼ってのミラー法すらやらないところもあると聞きますが、
正直、測定しないなら提案すべきではないし、
individualを除いた単焦点レンズだけを販売するべきと思います。
極は雅Nなどと何が違うのか?
『極』は雅Nと比べて、設計が追加されていることと、
嗜好性を考慮していることにあると思います。
設計については、雅Nの設計に加え、
『度数別スマート設計』『側方ナチュラルアジャスト設計』
『近用ナチュラルフォーカス設計』が追加されています。
『両眼ナチュナルコントロール設計』は、雅Nとオプティナにも採用されたため、
極専用設計ではなくなっています。
極専用設計について、HOYA提供資料によると、下のように説明されています。
『度数別スマート設計』⇒全ての度数で最適化を図り、
さらに加入度数を考慮し、一人ひとりに合ったレンズを提供。
『側方ナチュラルアジャスト設計』⇒近用側方部の非点収差とプリズムを制御することで、
ゆれ・歪みを軽減。
『近用ナチュラルフォーカス設計』⇒主注視線近傍の非点収差量と軸方向を
コントロールすることで、
遠方の視野を損なわず、近方領域の広がりを実現。
ただ、これだと、下手したら眼鏡店でさえ、意味がわからないところもあるのではないかなと。
なので、簡単にいうと、
『度数別スマート設計』⇒レンズの位置により
発生するプリズム効果による映像のズレを軽減。
『側方ナチュラルアジャスト設計』⇒累進レンズの場合、レンズ下側の両端が歪むので、
その歪みを補正。
『近用ナチュラルフォーカス設計』⇒累進レンズの場合、レンズ下側の両端の視野が狭いので、
その見える範囲を広げる。
本音を言うと、こういう細かい設計をお客様が知る必要はないし、
眼鏡店も説明する必要がないと思います。
また、レンズ設計は常に新しいものがでているため、
正直、眼鏡店も覚える必要はないと思ってます。
ただ、眼鏡店としては、なぜこのレンズ設計の方が良いのかというバックボーンとして、
資料さえあれば、それぞれに入っている設計について、
説明するだけの理解力は持つ必要があると思ってます。
加えて、レンズ設計は人によって価格程の価値が見いだせないお客様もおられるため、
お客様には設計の違いによる違和感を体験してもらうことは必要とも思います。
極セレクター?
極は嗜好性を考慮していると書きましたが、それを反映させるため、
極には様々なタイプがあります。
そのため、極セレクターというものを使って、
様々な質問(アンケート?)を取らせていただきます。
その結果をもとに、お客様の嗜好性に合わせて、どのタイプが良いかが決められます。
タイプを決めることで、仕事や趣味など、お客様の生活習慣に合わせた、最適なレンズとなります。
累進レンズでは、必ず行う手法があり、これらが抜けると不完全なメガネとなる場合もあり、
結果として、『私は遠近レンズは合わない』ということとなります。
通常の累進レンズ(格安レンズでも必須)⇒シールによるミラー法
individualレンズ⇒シールによるミラー法、LLiまたはそれと同等の検査機器、
(可能ならば)目視とスケーラーによる確認
individualレンズ極⇒シールによるミラー法、LLiまたはそれと同等の検査機器、
(可能ならば)目視とスケーラーによる確認、極セレクター
これらの検査が視力測定以外に必要となります。
まとめ
・individualレンズは顔とフレームに合わせてレンズを製作するオーダーメイド
・極はHOYAのindividualレンズの中で最高レンズ
・極は同社の他のレンズと比べても細かい設計が入っている
・極は極セレクターを使ってタイプを決める
・眼鏡店はお客様に細かい設計を説明する必要はないものの、
提案するなら理解しておく必要がある
・レンズの設計の違いはツールがあるので、お客様は違和感などを体感した方が良い
individualレンズの主な特徴は、『パーソナルフィット』ですが、それ以外にも違いがあります。
individualレンズを含め、お客様に最適なレンズを提案するためには、
眼鏡店がそれらの違いを理解しておく必要があります。
特に、individualレンズは、眼鏡店が理解して、初めて意味を成すレンズでもあります。
複数のレンズを提案された場合は、何が違うのかを簡単に説明してもらってください。
次回は、『メガネを新調:紬BUコートCC420から雅Nメイリョウに変更した感想』について