Mybestpro Members

豊福祐史プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

HOYAの最高級累進レンズ(インディヴィジュアル)の極・雅・望・紬は何が違う?②

豊福祐史

豊福祐史

テーマ:知っておくべきレンズの話

インディヴィジュアルレンズを使われている方、もしくは眼鏡店に
『インディヴィジュアルレンズとは何?』と聞くと、
『フレームの傾斜角やそり角、眼とレンズの距離を測って作るオーダーメイドのレンズ』
と答える人がほとんどかと思います。

ただ、『インディヴィジュアルレンズのグレードの違いは?』
と聞かれると、眼鏡専門店でも回答に困ると思います。

フレームの『傾斜角』『そり角』『頂点間距離』はインディヴィジュアルの設計のうち、
パーソナルフィットのことで、それがインディヴィジュアルの全てではないです。

なので、HOYAのインディヴィジュアルの『極』『雅』『望』『紬』の違いをもとに
わかる範囲で簡単に説明します。

説明できないのは知らないから?

眼鏡店がインディヴィジュアルレンズのグレードの違いを説明するのが難しい理由として、
『詳しくは知らない』という人も、もしかしたらいるかもしれないです。
ただ、詳しく知らないなら、売るべきではないレンズと思います。
『わからないなら手をだすべきではない』というのは、眼鏡作製技能士の特例講習でも言われてます。

ただ、多くの場合、『一般の方に説明するには難しすぎる』『詳しく説明する意味もない』
ということが大きな理由と思います。
要は、『グレードが良い方が設計が良くなって、見やすい』ということさえ伝われば。

『紬』の設計

『紬』は内面非球面レンズ『シンクロ』のインディヴィジュアルレンズ。
シンクロの設計に『両面親和累進設計』『パーソナルフィット』『乱視軸補正』
『エルゴノミックインセット』が加わります。

・両面親和累進設計:レンズ両面を親和させる設計。
・パーソナルフィット:フレームの『傾斜角』『そり角』『頂点間距離』を測定し、
 フレームの装用条件を最適化。
・乱視軸補正:周辺部でのレンズとの軸ズレを1度ごとに収差補正。
・エゴノミックインセット設計:手元の見やすい範囲を広げる設計

『雅』『望』の設計

『雅』『望』は両面非球面レンズ『ウェルナ』のインディヴィジュアルレンズ。
ウェルナ+紬の設計に、『両眼バランス』が加わります。
また、『両眼親和累進設計』が『両眼複合累進設計』にアップグレード。

・両眼複合累進設計:凸面に縦方向の度数変化、凹面に横方向の度数変化を考慮することで、
 手元の見やすさと視野の広さを融合。
・両眼バランス:従来片眼ずつで製作されるレンズを、左右の度数差を補正して設計することで、
 クリアな視界に。
※設計は同じものの、『雅』の方がレンズデザインが多く、累進帯長の種類も多いため、
 より最適な明視域を設定可能。

『極』の設計

『雅』のアップグレードで、HOYAの最高峰のレンズ。
雅の設計に『度数別スマート設計』『側方Naturalアジャスト』
『近用Naturalフォーカス』『両面Naturalコントロール』
・度数別スマート設計:すべての度数を最適化し、加入度を考慮。
・側方Naturalアジャスト:近用側方部の非点収差とプリズムを制御して、ユレ・歪みを軽減。
・近用Naturalフォーカス:主な注視線のあたりの非点収差の量と軸方向をコントロールし、
 遠方の視野はそのままに近方領域を広げる
・両眼Naturalコントロール:近用水平lineでの歪みと上下プリズム差を改善し、
 見やすさと心地よさを。

説明の難しさと、設計を増やすほど、金額が上がる理由

インディヴィジュアルの説明でしたけど、レンズ全般の設計については、
簡単に記載しても、ピン来ない言葉が多いため、説明が難しくなります。
また、眼鏡作製技能士などは、どういう設計が入っているかは理解している人は多いですが、
詳しい製造方法などについては、メーカー以外はわからないと思います。

なので、設計が良くなれば、『見やすさ』『きれいに見える範囲』『心地よさ』『疲れにくさ』
などが向上すると思ってもらえば良いかなと。
また、レンズに設計を入れていくと、お互いに干渉するし、収差やプリズムの問題も発生します。
そのため、設計が良くなるほど、製造も難しくなるし、必然的に時間と価格が上がっていくことになります。

顔やフレームに合わせて作製するインディヴィジュアルは、ズレてしまうと、せっかく最適化されたレンズなのに、
意味がなくなるため、それ相応の技術と知識が必要です。
ズレている高価なレンズよりは、きっちり合わせた安いレンズの方が良い場合が多いので。

ちなみに、眼鏡店は視力測定や加工でお金をもらわないところが多く、大抵は、レンズに技術料などは含まれてません。
『普通に取ればよい』と言われるお客様も多いけど、法律と、慣習的なものがあるので。

HOYAで一番良いレンズがいいという方はぜひ、眼鏡店で『HOYAの極でお願いします』と言ってもらえれば。

まとめ

・『傾斜角』『そり角』『頂点間距離』だけがインディヴィジュアルの設計の全てではない
・グレードの違いを細かく説明しないのは、お客様を混乱させないため
 (興味がある人は聞いてください)
・インディヴィジュアルでもグレードが良ければ、
 より『見やすさ』『きれいに見える範囲』『心地よさ』『疲れにくさ』が向上する
・製造時間はかかるし、価格も安くはない

次は『昼の視力と、夜の視力は違う?』について

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

豊福祐史
専門家

豊福祐史(眼鏡小売店)

株式会社とらや眼鏡店 メガネのとらやG-room

顧客の要望や好み、ライフスタイルに合った納得の眼鏡をお勧めしています。仕入れでは、フレームのデザインはもちろん、細かい点までもチェック。視力測定や加工などは、国家資格の1級眼鏡作製技能士が対応します。

豊福祐史プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

一人一人に寄り添う眼鏡選びのプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ福岡
  3. 福岡のくらし
  4. 福岡のアクセサリー・装飾品
  5. 豊福祐史
  6. コラム一覧
  7. HOYAの最高級累進レンズ(インディヴィジュアル)の極・雅・望・紬は何が違う?②

豊福祐史プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼