眼球の回旋が苦手で遠近レンズが使いづらい
『100均とメガネ店の老眼鏡は、どう違うのか?』という質問はよく聞かれます。
100均でなくても、既製品の老眼鏡がほしいと来店される方も多く、
多くの方はそれで十分と思っている方がほとんどじゃないかと。
自分に合った老眼鏡を使った方が良いということは、
眼鏡士でなくても、眼鏡店で働いていれば、わかるはずです。
でも、一般的にはわからないのが普通と思います。
老眼とは?
老眼とは調節力の低下で、主な要因は水晶体のの硬化です。
老眼の度合いは加入度(ADD)と言い、単位としてはディオプター(D)で表します。
多少の個人差はあっても、全員が年齢に応じて例外なく老眼になります。
例えば、10歳と20歳の調節力を比較すると約半分になっています。
確かに、毛様体の緊張を緩めて改善することも多少はありますけど、
主な要因ではないです。
また、老眼は同じように進んでも、視力の良い方は近視の方よりも、
早く老眼症状がでます。
このあたりは、以前のコラムを見ていただければ。
そもそも老眼鏡とは?
老眼鏡とは焦点距離を手前に持ってくる眼鏡のことを指します。
要は近く用の眼鏡です。
また、英語では『Senior glasses』ではなく、『Reading glasses』です。
つまり、読むための眼鏡であって、年配の方が使う眼鏡ということではないです
読むための眼鏡なら、既製品で良いのでは?
100均一を含めて、既製品の老眼鏡は、
『左右の度数が同じ』『PDが多数の人の平均値』となってます。
そのため、合っていないものを長時間使用すると、度数やプリズムにより、
『眼の負担が増える』『疲れやすい』『集中できない』『眼が老眼鏡に適応してしまう』
などの問題が生じる可能性があります。
眼が老眼鏡に適応した場合、その老眼鏡を使うには良いものの、度数が進んでいたり、
斜位が出てしまったり、いろいろと問題が発生する可能性があります。
既製品の老眼鏡を問題なく使うための条件は?
短時間でどうにかなるものではないので、間に合わせに使う分には特に問題ないと思います。
ただ、長時間、普段用に使うことを考えているならば、以下の条件を考えた方が良いかと。
前提条件
①自分の近視・遠視(S)、乱視(C)、軸度(Ax)、加入度(ADD)、プリズム(△)を把握しておくこと
②自分のPDを把握しておくこと
購入時の条件
①自分の度数が左右同じであり、かつ乱視、プリズムがないこと
②既製品の老眼鏡と自分のPDがあっていること。
③作業時の焦点距離と加入度を考慮して、度数を選定すること
上記の条件を満たせる人はいる?
人の眼は、『左右の度数が違う』『乱視はわずかならがある人が多い』『不等像視の人もいる』。
また、『加入度がわからず、強すぎるものを選んでしまう』ことも多くあります。
細かく言えば、他にもあるにはありますけど、
上記の条件だけでも既製品の老眼鏡に当てはめることはほとんど不可能じゃないかと思います。
そういうことで、安いもので良いので、近くの眼鏡店で、ご相談の上、
自分の眼に合った老眼鏡を作ってもらう方をお勧めします。
まとめ
・既製品の老眼鏡に、個人に合うものを見つけるのは、ほとんど不可能
・安くても自分の眼に合う老眼鏡を作った方が良い
・短時間で眼がどうにかなることは少ないので、間に合わせならば既製品でも問題ない
次は『明視域とは?』について