ガラス管で試作しました
ろ過瓶に文字と図柄を彫刻するまで
― 理化学ガラス×サンドブラストの製作工程 ―
理化学ガラス器具のひとつである「ろ過瓶(吸引瓶)」に、
文字と図柄をサンドブラストで彫刻した制作事例をご紹介します。
完成品は一見シンプルに見えますが、
球体形状のガラスにデザインを施すためには、
いくつもの工程と細かな調整が必要になります。
工程① デザイン案をろ過瓶に合わせて確認\
まず最初に行うのが、実寸で出力したデザイン案をろ過瓶に当てて確認する工程です。
パソコン画面上では問題なく見える文字や図柄も、
実際のガラス器具に合わせてみると、
曲面の影響で印象が大きく変わります。
この段階では、
* 文字の位置や大きさ
* 図柄の配置バランス
* 口部や側管との関係
を、瓶を回しながら多方向から確認します。
工程② カッティングシートを貼り込む
デザインをカットしたカッティングシートを、ろ過瓶の表面に貼っていきます。
ろ過瓶は平面ではなく、
大きな曲面を持つ球体形状のため、
シワや気泡が入りやすいのが特徴です。
少しずつ位置を確認しながら、
空気を押し出すようにして貼り進めていきます。
工程③ 下部の曲面は一旦なじませて貼る
ろ過瓶の下部に貼ったカッティングシートは、
ドレープのように波打つ形状になっています。
この部分は無理に仕上げようとせず、
歪みを残したまま、一度全体を貼る工程とします。
この段階では、
* デザインの位置関係
* 後で切り直す必要がある部分
を把握することを目的としています。
工程④ 切り込みを入れて球体に合わせる
全体を貼り終えた後、
シワや余りが出ている部分を中心に、
切ったり貼り直したりしながら球体形状に合わせていきます。
* シワが出る箇所に細かく切り込みを入れる
* 浮いた部分を一度剥がして貼り直す
* 図柄の流れが自然につながるよう調整する
こうした作業を繰り返し、
最終的な彫刻に適した状態に整えます。
工程⑤ サンドブラスト加工\
マスキング調整が完了したら、サンドブラスト加工を行います。
マスキングされていない部分だけに研磨材を吹き付け、
文字や図柄をガラス表面に彫刻していきます。
ろ過瓶はガラスに厚みがあり、
広い曲面を持つため、
彫刻の濃さが均一になるよう、吹き付け条件を調整します。
加工後はマスキングをすべて剥がし、
洗浄・仕上げ確認を行います。
完成
透明感のあるろ過瓶の中に、
サンドブラストならではのやわらかな乳白色の文字と図柄が浮かび上がります。
正面には「WELCOME TO CLIMBING」の文字と波のデザイン、
裏側には*富士山のモチーフを彫刻しています。
見る角度によって、
* 波が強調されて見える
* 富士山が重なって見える
* 図柄のバランスが入れ替わる
など、印象が変化します。
球体ガラスならではの奥行きと重なりが生み出す、
一方向では完結しない表情を楽しめる仕上がりになりました。
曲面ガラスへの彫刻は、
一工程ごとに状態を見極めながら進める必要があります。
一点ごとに異なる表情になるのが、
理化学ガラスとサンドブラスト加工の魅力です。
展示のお知らせ
現在、東京ビッグサイトにて
CPHI向け展示会が開催されています。
CPHI Japan 2026(国際医薬品開発展)
当社も出展しており、
理化学ガラスとサンドブラスト加工を組み合わせた制作事例として、
今回ご紹介彫刻表現をご覧いただけます。
写真では伝わりにくい、
曲面ガラスならではの奥行きや、
角度によって変化する表情も、
ぜひ会場でご体感ください。


