「お母さんが使ってた学習机を、ぼくも使いたい・・・。」
「ソファの置きクッションだけを作れますか・・・?」
続いて・・・
「妻の実家に40年以上前からあったソファなんです・・・。」
「木製フレームの一部も外れてるんです。」
と、西条市・H様よりお問い合わせをいただきました。
下の写真は、お預かりした時の状態です。
オレンジのストライプの置きクッションが、懐かしい雰囲気です。
今回の作業の段取り
H様のソファの修理は、
① フレームのぐらつき修理を当店で行います。
下の写真は、置きクッションを取り外した状態です。
このソファのように、しっかり作った木製フレームに置きクッションタイプのものは、修理再生に向いています。
フレームの仕口(接合部)のほぞが抜けかかっているヶ所が目立っていました。
この症状は、40年以上も湿度の変化を過ごした木製品では仕方がないことです。可能な限り分解の上、改めて組み上げていきます。
② 置きクッションの製作をメーカーのカリモク様へお願いしました。
このソファの背もたれ面に、なつかしいカタカナのシールが残っていました。
当店は、木工作業や塗装作業を主にしていますが、ソファなどの立体縫製が必要な椅子張り作業は苦手です。
そのためこんな場合は、型紙を有しているメーカー様や私が入会している愛媛県技能士会の職人様へ作業協力をお願いしています。
「3人掛けソファのフレームを分解しました。」
椅子のぐらつき修理をする時に、一番気を使うのが、フレームの分解です。
「この椅子は、どのように組み立てているのか?」を想像しながらの作業となります。H様のソファも、きれいに分解できて良かったです。
「3人掛けソファの圧着後、1人掛けソファも分解しました。」
「2脚のソファの圧着作業ができました。」
愛用のソマックス製T型クランプちゃんを使い、組み上げていきました。接着剤は、ここから約12時間後に完全乾燥します。
「最後に装飾物などを圧着しました。」
ソファ座面下の横桟木の固定ネジのカバー用装飾物です。
ネジカバー用装飾物は、ソマックス製ジュニアFクランプちゃんにて圧着していきました。
「完成したソファをH様へお届けしました。」
約50日の納期で、カリモク様から置きクッションが届きましたので、H様へお届けしました。フレームの塗装はせずに、40年以上使われた雰囲気は残しつつ、安心してお使いいただけるようになりました。
H様に選んでいただいたのは、カリモク様の純正生地、プルート(ダークネイビー色)です。
この生地は、モチモチ感のある上品な生地です。
21世紀は、メンテナンスの時代
SDGs(持続可能な開発目標)という言葉を、よくテレビで聴くようになりました。
20世紀は、大量生産→大量販売→大量廃棄 の時代でした。
これを続けていますと、SDGs(持続可能な開発目標)になりません。
これからは、個々に必要な永く使える家具を必要なだけ作り、絶えずメンテナンスを繰り返して末永く使う。
こんな時代になりつつあると想います。
H様、ご依頼いただきありがとうございました。土岐泰弘