飽きる弊害、常識は思い込み
乗り越える力(レジリエンス)を育てる方法とは?
ある若手社員の話です。彼は営業部に配属され、初めての商談に挑みました。しかし、結果は惨敗。準備不足で質問に答えられず、先方に「このレベルでは話にならない」とまで言われてしまいました。落ち込んだ彼は「自分には営業の才能がないのでは」と悩み、モチベーションを失いかけました。
その様子を見ていた上司は、すぐに「次の商談に向けて、何を改善できるか考えてみよう」と声をかけました。最初は「自分には無理です」と弱音を吐いていた彼に対し、上司は「実は俺も、最初の商談は最悪だったんだよ」と自身の失敗談を語り、まずは気持ちを立て直させました。
さらに、彼が「何をどう改善すればいいかわからない」と言うと、上司は「じゃあ、一緒に振り返ろう」と、商談の録音を聞きながら具体的なフィードバックをしました。「この場面で焦って答えずに、一度間を取るといい」「事前に相手企業の課題をもっと調べておけば、的確な提案ができたかもな」と、一つひとつ課題を明確にしていきました。
その後、上司は先輩社員の商談に彼を同席させ、「今度は、学んだことを意識しながら見てみよう」とアドバイス。彼は少しずつ成長し、半年後には初めての契約を獲得しました。
レジリエンスは、単に「頑張れ」と背中を押すだけでは育ちません。上司が適切なフィードバックを与え、時には自らの失敗を共有しながら導くことで、乗り越える力は鍛えられるのです。