ポモドーロ・テクニック
フット・イン・ザ・ドア~小さな一歩を活用する人材育成アプローチ~
「フット・イン・ザ・ドア(Foot-in-the-Door)」は心理学の用語で、まず小さなお願いを受け入れてもらうことで、その後に大きなお願いを承諾してもらいやすくなるという原則を指します。一方で、この逆となる「大きなお願いを断らせた後に小さなお願いをする」戦略もあります。これは「ドア・イン・ザ・フェイス」として区別されることが多いですが、双方ともに人材育成の現場で活用可能な有用な心理的技術です。
まずは大きな目標を断らせる
人材育成において、最初に高すぎる目標を提示することで、「これならできる」と感じさせる小さな目標を受け入れやすくすることが可能です。例えば、新人社員にいきなり「1か月でプロジェクトの全体を任せる」というような大きな目標を提案し、「それは難しい」と断らせた後で、「それでは、この部分だけを1週間でまとめてもらえますか?」と提案します。この流れによって、小さなタスクが心理的に「簡単なお願い」と感じられ、より積極的に取り組むようになります。
フット・イン・ザ・ドアとドア・イン・ザ・フェイスの使い分け
どちらの手法を選ぶかは、対象者の状況や目指すゴールによります。例えば、従業員がすでに忙しい場合には、最初に負担の小さいタスクを与えるフット・イン・ザ・ドアが効果的です。一方で、意欲が低い場合や行動を起こさせるきっかけが必要な場合には、まず断らせることで「これならできる」と思わせるドア・イン・ザ・フェイスが役立ちます。
実践のポイント
フット・イン・ザ・ドアやその関連手法を活用する際には、以下の点に留意しましょう。
誠実な目的意識:お願いが従業員の成長や組織の目標に真に貢献するものであることを明確に伝える。
適切な段階設定:要求が段階的に大きくなる場合も、現実的で実行可能な範囲に留める。
成功体験の提供:小さな成功を積み重ねることで、自信と動機づけを強化する。
このようにフット・イン・ザ・ドアと「断らせる戦略」を比較しながら活用することで、従業員の成長をより効果的にサポートすることができます。