人材のスタグフレーション
今の日本の採用シーンで「ジョブ型」という言葉がまだ飛び交っているのを見ると、「もう古いんじゃない?」と思ってしまうかもしれません。確かに、職種を細かく区切り、専門のポジションにのみ人材を当てはめるというジョブ型採用は、企業のスピード感や変化の柔軟性に対応しきれない場面もあります。だからこそ、注目されているのが「スキルベース型採用」です。
スキルベース型の考え方は、社員が「何をやってきたか」や「どんな肩書きを持っているか」よりも、「何ができるのか」に目を向けます。つまり、その人が持つスキルや得意な分野、さらには性格やソフトスキルも「活躍できる要素」として捉えるのです。これにより、学歴や経歴に関係なく、活躍する可能性がある人材に光を当てることができます。
さらに、スキルベース型採用では「スクリーンイン」という概念も重要です。学歴や過去の経験で候補者をふるいにかけるのではなく、何ができるかという視点で見て、可能性のある人材を積極的に見出そうとする姿勢が求められます。これにより、従来のフィルターでは見逃してしまいがちな「隠れた才能」を掘り起こすことができ、結果として労働力不足の解消や競争力の強化にもつながるのです。
採用活動においては、必要なスキルと人物像をしっかりと定義する「ペルソナ設定」も重要なステップです。自社が求める人物像を具体的にイメージすることで、スキルベースでの採用活動がよりスムーズに進みます。今後、日本の採用システムはジョブ型やメンバーシップ型にとどまらず、これらの良い点を取り入れた柔軟な人材マネジメントへとシフトしていくでしょう。