面接する側の心構え
大手企業の賃上げとボーナスの動向
賃上げの維持や強化の流れにより、大手企業の夏のボーナスが過去最高水準に達する見込みです。「大手企業だけの話だ」と思うかもしれませんが、この夏、中小企業も賃上げに積極的に取り組んでいる企業が多く見受けられます。まだボーナスを受け取っていない従業員の皆さんも、ボーナス日を楽しみに待ちましょう。
賃上げだけでは人材確保は難しいのか?
しかし、「賃上げだけでは優秀な人材を確保できない」と主張する中小企業や、賃上げの方法を誤って離職を招いてしまうケースもあります。企業の成長に不可欠な「賃上げ」の動きが広がる一方で、「賃上げだけでは優秀な人材を確保できない。働きがいや職場の環境整備を充実させ、従業員満足度を上げるべきだ」という意見も聞かれます。
確かに、従業員はお金のためだけに働いているわけではありませんが、生活のためにお金を稼ぐ必要があり、努力や才能を客観的に評価するためにも「お金」は重要な要素です。
賃上げ率の誤解とその影響
「賃上げが大切だというので頑張って10%の賃上げをしたが、優秀な社員が去ってしまった」という話を聞くことがあります。しかし、中小企業の賃上げを「%」で語るのはあまり意味がありません。日本の中小企業、特にサービス業は低賃金労働が多く、ベースが同業他社に比べて低いことが多いためです。
例えば、月給20万円の中小企業が10%の賃上げをして22万円にしたとしましょう。経営者にとっては大幅な賃上げと感じるかもしれませんが、同じ規模の企業が25万円を払っていれば、従業員は簡単に離職してしまいます。
給与水準のベンチマーク
経営者の中には自分の会社が全てだと思っている方もいますが、自社の給与水準をベースにして賃上げを語っても意味がありません。重要なのは、自社のいる業界の平均的な給与や競合企業の給与水準です。競合他社と比較して、自社の給与が適正かどうかを常に確認することが必要です。
やりがいや職場環境の重要性
「やりがい」を提供したり、人間関係や風通しの良い職場環境を整えることが大事だという「精神論」を持ち出す場合、経営者自身が時間とお金を使って学習し、学びを得るか、専門の人材育成コンサルに費用を支払ってサポートを受けるしか方法はありません。「やりがい」の提供は簡単で安価なものではありません。
総合的な従業員満足度の向上
もちろん、人間関係やチームワークは重要ですが、その前にまずは労働の対価であり、その人の働きぶりを客観的に評価できる「賃金」をしっかりと上げることの方が、離職防止にはより簡単で安価です。経営者は、自社の賃金水準が業界平均や競合他社と比べてどうなのかを常に把握し、適切な賃金水準を維持することが必要です。
その上で、やりがいや職場環境の整備を行うことで、従業員の満足度を高め、離職防止に繋げることができます。従業員が満足し、長く働きたいと思える環境を整えることが、企業の持続的な成長に繋がるのです。
経営者が考えるべきポイント
結論として、中小企業が優秀な人材を確保し、離職を防ぐためには、まず適切な賃金水準を設定し、賃上げを行うことが重要です。その上で、やりがいや職場環境の整備を進めることが必要です。賃上げだけでなく、総合的な従業員満足度の向上を目指すことが、企業の成長に繋がります。
経営者は、給与の上げ方だけでなく、職場環境の改善や従業員の働きがいの提供にも目を向けるべきです。これにより、従業員が長く働きたいと思える職場を作り出し、企業の競争力を高めることができるでしょう。