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子育てと部下育ては似て非なるもの

森田晴夫

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テーマ:人材育成

子育て
子供や部下を叱る際の基本的なアプローチとして、「過ちについて叱る」ことと「チャレンジした過程を褒める」ことは共通しています。しかし、子育てと部下育成には「評価の有無」と「育成の目的」という重要な違いがあります。

まず、子供の評価についてですが、一般的には他の子供と比較して評価することはありません。子育てにおいては、子供が持つ個々の特性や成長を見守り、その成長を尊重することが求められます。一方で、部下の評価は他者との比較や能力評価が不可欠です。企業においては、上司の意図を汲んだ仕事の遂行や営業成績など、具体的な結果が重視されます。これは、企業が利益を追求し、競争力を維持するために必要な評価システムだからです。

次に、育成の目的についてです。子育ての最終的なゴールは子供の自立です。しかし、親の子育ての目的は「子供の自立」そのものではありません。子供の自立とは、単に何でも一人でできるようになることではなく、「依存先を増やしていくこと」を意味します。子供が困ったときに誰かに助けを求められるようになり、他の人が困っているときには助けられるようになることが、真の自立です。したがって、親の役割は子供の心を育てることです。子供が適切に依存し、支え合う関係を築けるようにすることが、親の子育ての目的と言えるでしょう。

一方、企業における部下育成の目的は、「企業の成長に貢献できる人材を育てること」です。企業は利益を追求する組織であり、利益を上げることがビジネスの基本条件です。したがって、企業が継続的に社会の役に立つためには、利益を出し続けることが不可欠です。部下を育成する際には、企業のミッションや理念に共感し、顧客に価値を提供し続ける人材を育てることが重要です。

以上をまとめると、子育ての目的は「心を育てること」であり、人材育成の目的は「企業に貢献できる人材を育てること」です。両者は同じ「人を育てる」という点では共通していますが、目的が大きく異なるため、アプローチや評価方法にも違いが生じます。子供の心を育てるためには、他者との比較ではなく個々の成長を尊重し、依存先を増やすことで真の自立を促すことが重要です。一方、部下育成においては、結果を重視し、企業の目標達成に貢献できる人材を育てることが求められます。

このように、子育てと部下育成には目的の違いがあり、その違いを理解した上で適切な方法を取ることが大切です。子供には心を育てるアプローチを、部下には企業の成長に貢献できるような育成を行うことで、両者にとって最適な成長を促すことができます。

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森田晴夫
専門家

森田晴夫(人材育成コンサルタント)

株式会社ニコネクト

「従業員の定着率は売上に比例する」をスローガンに、組織のコミュニケーションを円滑にする人材育成コンサルティングを提供し、定着率向上と離職防止をサポート。求人・採用支援や360度評価の提供も。

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