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森田晴夫

従業員の定着率を高める人材育成のプロ

森田晴夫(もりたはるお) / 人材育成コンサルタント

株式会社ニコネクト

コラム

選択の連続

2024年5月31日

テーマ:人材育成

コラムカテゴリ:ビジネス

選択

人は合理的な判断ができないと言われます

人間の判断や意思決定は、しばしば非合理的な要因に影響されることが多いとされています。心理学では、この現象を説明する理論や概念が数多く存在します。例えば、プロスペクト理論や選択麻痺といったものがその代表的な例です。これらの理論は、私たちがいかにバイアスの影響を受けやすいかを示しています。

プロスペクト理論:「利益の喜びより損失の苦しみをより強く感じる」

プロスペクト理論は、1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって提唱されました。この理論によれば、人々は利益を得ることよりも、損失を避けることに対して強い感情的反応を示します。具体的には、同じ金額の利益と損失があった場合、損失の方が心理的に大きな影響を与えるのです。

例えば、1000円を得ることと1000円を失うことを比較した場合、多くの人は1000円を失うことの方がずっと辛く感じるでしょう。このため、リスクを避けようとする傾向が強まり、結果として非合理的な判断を下すことが多くなります。たとえ利益を得るチャンスがあったとしても、損失のリスクがある場合、そのチャンスを逃してしまうことが多いのです。

選択麻痺:「選択肢が多すぎると逆に選択できなくなる」

選択肢が多すぎると、かえって選択が困難になる現象を選択麻痺と呼びます。これは、アメリカの心理学者バリー・シュワルツが2004年に提唱した概念で、「選択のパラドックス」とも呼ばれます。現代社会では、私たちは日常的に多くの選択肢に囲まれています。例えば、スーパーに行けば何十種類ものパンや飲み物が並んでおり、オンラインショッピングでは無数の商品から選ぶことができます。

しかし、選択肢が増えることで、私たちは逆に決定を下すのが難しくなります。どの選択肢が最も良いのかを判断するために、多くの情報を処理しなければならず、その過程で疲弊してしまいます。その結果、決断を先延ばしにしたり、最終的にどの選択肢も選べなくなったりすることがあります。選択肢の多さがかえって私たちの満足度を下げることもあります。

合理的な選択をしたつもりでも、実はそのほとんどにはバイアスがかかっています

私たちが合理的な選択をしようと努めても、その多くには無意識のうちにバイアスがかかっています。これらのバイアスは、経験や直感、社会的影響など、さまざまな要因によって形成されます。例えば、「確認バイアス」と呼ばれるものがあります。これは、自分の信念や仮説に合致する情報のみを収集し、それ以外の情報を無視する傾向のことです。

また、「アンカリング効果」も一例です。これは、最初に提示された情報がその後の判断に強い影響を与える現象です。例えば、価格交渉において最初に高い価格が提示されると、その後の交渉においてもその価格が基準となりやすくなります。

これらのバイアスは私たちの判断を歪め、結果的に非合理的な選択を導くことがあります。どんなに注意深く考えても、完全にバイアスを排除することは非常に難しいのです。

人生を決めるのは、その瞬間の選択の連続です

人生は無数の選択の積み重ねによって形作られます。どの大学に進学するか、どの職業に就くか、どの人と結婚するかなど、大きな選択から日常の小さな選択まで、私たちの人生はこれらの決定の連続です。しかし、私たちの選択は常に合理的であるとは限りません。むしろ、バイアスや感情の影響を受けることが多いのです。

例えば、ある人が新しい仕事を探しているとします。その人が興味を持つ仕事が複数あり、それぞれに利点と欠点があるとします。この場合、その人は冷静にそれぞれの仕事のメリットとデメリットを比較するでしょう。しかし、実際には、先入観や過去の経験、友人や家族の意見など、さまざまな要因がその決定に影響を与える可能性があります。その結果、最も合理的と思われる選択を逃してしまうこともあります。

どんなに注意しても、100%正しい選択をし続けることは不可能に近い

私たちが完全に正しい選択をし続けることは非常に困難です。バイアスや感情の影響を完全に排除することは不可能であり、常に不確実性やリスクが伴います。たとえ最善の選択をしようと努めても、その結果がどうなるかは予測できないことが多いのです。

しかし、このことは決して悲観的に捉えるべきではありません。重要なのは、選択の過程を理解し、自分の判断に対するバイアスや感情の影響を認識することです。これにより、より良い選択をするための基盤を築くことができます。完璧な選択は存在しないかもしれませんが、学び続け、改善し続けることで、私たちはより良い判断を下すことができるのです。

結論

人間は完全に合理的な判断をすることは難しいという現実を受け入れることが重要です。プロスペクト理論や選択麻痺、バイアスの影響など、私たちの意思決定はさまざまな要因に左右されます。しかし、その中でどのようにより良い選択をするかを考えることが、人生を豊かにする鍵となるでしょう。選択の連続が人生を形作るという視点から、自分自身の判断プロセスを見直し、改善していくことが大切です。正しい選択をとる必要はありません。正しいことよりも、自分で決めることが大事です。大事なのは結果よりも、どう選んだか。そうやって生きていけば、自由になれます。

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