いまさら聞けない機械式腕時計のあれこれ 〜お手入れ編〜
さて、第13回のコラムですが、機械式腕時計の「手巻き」と「自動巻き」についてお話したいと思います。知っているようで知らない時計の世界。ぜひ、楽しみながらお読み下さい。
まず、腕時計の区分けって、皆様どれぐらいご存知ですか?
メンズとレディース・・・これはもちろんですね。
電池式とゼンマイ式・・・そうですね、その通りです。
では、その他の分類は・・・と言うと、皆様、次が出てこないのではないでしょうか。
それでは一挙に、腕時計の分類を進化の歴史と共に列挙してみましょう。
機械式(手巻き)→機械式(自動巻)→クオーツ式(電池式)→発電式(自己発電)→光発電(エコドライブ)
この進化の歴史を見ると、皆様、もやもやしていた腕時計の理解が、はっきりと分かって来たのではないかと思います。
それぞれを、もう少し詳しく説明しますと、
機械式(手巻き)・・・腕時計の一番最初の仕組み。
機械式(自動巻)・・・手巻きから進化し、自動でゼンマイが巻き上がる。
クオーツ式(電池式)・・・電池で動く時計。
発電式(自己発電)・・・仕組みは自動巻と同じ。ローターの動きを電気に変えて自己発電。
光発電(エコドライブ)・・・文字盤に光を受けて蓄電。ソーラーウォッチとも呼ぶ。
さらに、これらの分類に加え、さらに枝分かれするのが、
・ダイバー(潜水時計)
・クロノグラフ(ストップウォッチ付き)
・GMT(時差表示)
です。
このように説明すると、「なるほど、なるほど」とだんだんと全体像が分かってきたのではないかと思います。
と、このように分類しますと、今回のお話は、「腕時計の初期の頃の仕組み」が採用されている「機械式」腕時計の「手巻き」と「自動巻」についてのお話です。
腕時計は、1970年代半ばまでは、「機械式」が当たり前で、「クオーツ式」腕時計が出て来たのは、1970年後半からなのです。ですので、クオーツ式腕時計が出た当初は、「クオーツ腕時計」と呼び、それまでの機械式腕時計とは分けて説明していました。
しかし、今では「腕時計=クオーツ式」が一般的で、「機械式腕時計」の方が少数派となっています。
そして、このクオーツ式になってから、「腕時計の精度」について、皆様、特別な意識を持たなくなりました。なぜなら今の腕時計は、「狂わないのが当たり前」だからです。腕時計の精度というのは、カタログなどに書かれてある「月差」という表記の事です。月単位で±何秒の誤差、という意味です。ちなみに、電波時計になりますと、「誤差0」ですので、より一層、時計の精度に関心を持たなくなりそうですね。
では、機械式腕時計の精度はどうかと言いますと、精度がどうこうといったお話よりも前に、そもそもゼンマイが切れると時計が止まってしまいます。そろそろ今回のコラムの本題に入りますが、機械式腕時計の手巻きは、ゼンマイを手で巻いて使用します。一般的に、手巻き時計をちゃんと一杯まで巻くと、数十時間の駆動します。
一方、機械式腕時計の自動巻きですが、「自動」と書かれてあるので、自動的にゼンマイを巻いてくれるように思ってしまいますが、実は違います。自動巻きは、確かに、自動でゼンマイを巻いてくれますが、この「自動」のカラクリは、人間が腕に付けている時の、「腕の振り」によって、ゼンマイを巻き上げるのです。ですので、2日ほど腕時計を装着せずに、置いたままにしておくと、動かなくなってしまいます。
どうでしょうか?皆様、腕時計のカラクリがだんだんと分かって頂けたでしょうか?
今回のコラムは、長くなってしまいましたので、2回に分けてお話したいと思います。
少しでも、皆様の暮らしのお役に立てれば幸いです。
それでは、また、次回コラムでお会いしましょう。
有限会社池田質舗
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