相続人の優先順位の決め方、法定相続人の範囲と順位について
一部の富裕層を除いて、一般家庭の人々には相続税は縁遠いものと感じるかも知れません。
しかし、税制改正によって、相続税を支払わなければならない人数は確実に増えています。
そこで遺言作成や生前贈与などの対策を講じておくことが、節税やトラブル回避に不可欠なのです。
基礎控除額縮小によって、相続税の対象となる相続が増加する
2015年1月1日付けの税制改正により、相続税率の引き上げに伴って相続税が増税されるという形になりました。
税額アップに加え、基礎控除額(相続税が非課税になる金額)が縮小されたことが大きなトピックとなっており、国民の経済事情に大きな影響を及ぼすと考えられています。
相続税といえば、「一部の富裕層の方が亡くなった際に問題となる税金である」というのが一般的な認識であったと思います。
しかし今回の税制改正により、これまで相続税に縁のなかった人たちにもその課税対象が広がります。旧来の税制下では相続税を支払う必要のある人は全国民の4%程度であったものが、今回の税制改正によって7%程度にまで拡大するとされています。
自分が相続をする、もしくは受けるにあたって、相続税額を確認しておくとともに節税などの対策を練っておくべきでしょう。
生前贈与で相続額を圧縮するという節税方法とその注意点
相続税の節税対策として挙げられるのが、生前贈与です。これは、被相続人(相続をする人)が亡くなる前に、予め財産の贈与を行っておくことを指します。贈与された分の財産は相続税の計算からは外れるため、相続税が軽減されるケースがあるという仕組みです。
仮に贈与であっても「贈与税」という税金は課せられるのですが、1人につき年間110万円までは基礎控除を受けることができるため、贈与税がかかりません。このため、例えば10年に渡って110万円ずつを生前贈与すれば、1100万円分は相続税の課税対象から外れる格好となり、結果的に相続税額を圧縮することができるのです。
ただし、生前贈与については、当事者間で合意のあることが必須です。また、当初から何年かの計画の元に生前贈与を行うと、一括して贈与したと同じ扱いと見なされてしまい、その分の贈与税が課せられるので注意が必要です。
相続トラブル回避の切り札である遺言書が、節税にも役立つ可能性が
相続の際、複数の相続人の間で遺産分割協議がまとまらないケースがあります。このため、昨今では遺言書を作成しておくことによって、揉め事を事前に解消しておくことを推奨する声が増えてきています。
相続税の徴収をスムーズに行うためにも、政府も生前の遺言書作成による遺産分割をすすめる政策を打っています。
「遺言控除」と呼ばれるもので、2018年度の施行を目論んでいます。これは、相続税の基礎控除の上乗せとして、有効な遺言書の作成によって控除額を増やすという制度です。これにより、相続人側からは相続税の減税に繋がることになります。
この制度の施行は確定されたものではありませんが、少なくとも遺言書の作成は相続トラブルの回避にも有効であるために、予め作成しておくに超したことはありません。