交通事故において示談が不成立になった場合の解決方法の選択肢とは
交通事故の被害者となってしまった場合、慰謝料や損害賠償金などを示談金として受けとることができます。
この示談金の金額は、事故の状況や被害者の年齢・職業などによって大きく異なってきます。
特に注意が必要な後遺障害の認定を含め、早めに弁護士に相談しながら金額を見極めることが重要です。
交通事故に関する争い事を終結させる「示談」で注意すべき点
通常、交通事故(人身事故)が発生した場合には加害者から被害者へ「示談金」を支払うことによって、「示談」が成立することになります。
示談とは、いつまでにどのような方法で幾らの示談金を支払うかを明確にし、示談金の支払いによって、お互いに争うのを止める和解契約を指します。
示談には、裁判に頼ることなく、争い事を終結させるという意味合いがあります。このため、示談が一度成立してしまうと、原則、後で金額の増減ができないという点に注意が必要です。
仮に、事故が起きた現場で加害者から示談金を持ちかけられ、被害者が応じてしまえば、示談が成立したことになってしまうのです。
交通事故の被害では、後々にわたって車の修理代や後遺症の治療に出費がかさむ場合があります。示談金額の相場や決め方を知らないと、あとで痛い目を見てしまう可能性もあるのです。
示談金の内訳と金額の決まり方にはそれぞれの基準がある
勘違いしがちなのは、示談金と慰謝料とは異なるものを指し、慰謝料は示談金に含まれる要素であるという点。
示談金には、慰謝料(肉体的・精神的に受けたダメージに対する補償金)のほか、積極損害(事故によって被害者が支払った治療費など)および消極損害(事故が起こらなかった場合に、被害者が手にしていたであろう金額。逸失利益や休業損害など)に対する賠償金、物損に対する賠償金が含まれます。
示談金はこれらの金額の合計で決まり、一定の基準とされるものがあります。その明確な基準としては保険会社基準(自賠責基準および任意保険基準)、そして裁判基準(弁護士基準)とに分けられます。
被害者の年齢や職業、ケガの状況などによって金額が大きく異なるため、被害状況などを含めて各基準に当てはめて、示談金の相場として金額を算定するという流れになります。
交渉の争点となりがちな後遺障害の認定は、早めに弁護士への依頼を
交通事故には、むち打ちなどの後遺障害が付きまとう場合があります。後遺障害とは、事故発生から6カ月経過が目安として、今後の治療による症状の改善が見込めない障害のことを指します。
自賠責損害調査事務所が後遺障害を認定し、14~1級までの等級が割り振られます。等級が小さいほど症状が重いため、その慰謝料も高額になります。裁判においては、自賠責損害調査事務所の認定と異なる主張をすることも可能ですが、裁判所も自賠責損害調査事務所の認定には合理性があるとして尊重する傾向があり、異なる主張をして認められるケースは少ないのが現状です。
したがって、自賠責損害調査事務所に、自身の後遺障害について、きちんと認定してもらうことは極めて重要になります。
示談交渉においては、この後遺障害の認定が争点となることも多く、冒頭で述べたように示談後の金額の増減は、原則、認められません。
また、示談に至る流れの中で、示談金が前述のどの基準で算定するかによって、総額は大きく差が出ます。
一般的には、保険会社基準よりも弁護士が引き出す裁判基準の方が高額になります。一連の示談交渉は、早めに弁護士に依頼した方が、金額の妥当性の判断も仰げるために、被害者の有利に運ぶことにつながると言えます。