交通事故の相談を依頼する前に準備しておくべき書類について
交通事故における過失の割合は、裁判になれば裁判所が決めますが,裁判になる以前の段階では,保険会社の主張を前提にすることが多いです。
被害者側にまったく過失のない交通事故を、俗に「もらい事故」などと言います。
もらい事故で示談交渉を弁護士に依頼する場合、弁護士特約が役立ちます。
交通事故の過失割合は、警察ではなく保険会社が決める
年間50万件を超える数が発生している交通事故には、必ず加害者と被害者が存在します。一方的に加害者がすべての責任を負うこともありますが、必ずしも加害者が100%の責任を追うケースばかりとは限りません。実際のところは、被害者にも何らかの落ち度があったと認められることも一般的です。
交通事故の損害賠償において、その事故が起きた責任をどちらがどの程度負うのかを示すのが、過失割合と呼ばれるものです。交通事故の示談交渉においては、この過失割合でもめてしまうことが多々あります。
では、交通事故における過失割合を決めるのは誰なのでしょうか。実況見分を行って事故証明を作る警察かと思いがちですが、そうではありません。実は保険会社が、過去の事例に照らし合わせながら過失割合を提示してくるのです。もっとも,弁護士に依頼して,弁護士が保険会社と交渉することで過失割合が変更されることもありますし,裁判になれば裁判所が決めることになります。
「もらい事故」だと、被害者側の保険会社は示談交渉ができない
車同士の交通事故の場合、多くは被害者側も保険に加入しており、過失割合を含む示談交渉は、加害者・被害者双方の保険会社同士で行われます。
しかし、加害者の車が赤信号を無視して交差点に侵入して被害者の車に衝突したような、明らかに加害者側に100%の過失がある場合には、被害者側の保険会社は示談交渉を行うことができません。これは、被害者側に過失がない「もらい事故」である場合、被害者側の保険会社が事故の当事者という立場ではなくなり、示談交渉の代行が禁じられてしまうためです。
もらい事故の交渉においては、被害者側は自身が納得できる示談条件を加害者側の保険会社から引き出すことが重要です。しかし近年の傾向として、加害者が加入している保険会社は、できる限り示談金額を下げるように交渉してきます。
保険加入時には、必ず「弁護士特約」の項目を確認しておく
示談交渉は、後の後遺症なども考えると、最終的な損害賠償の金額に大きく影響してきます。被害者側は決して妥協せず、自分が納得できるように話を進めなければなりません。
このようなケースにおいて、被害者は自分自身で加害者側の保険会社と示談交渉を行うこともできますが、自身の代理として交渉事の専門家である弁護士に示談交渉を依頼することもできます。
近年の自動車保険には、こうしたケースに備えて「弁護士(費用)特約」を設定していることが増えています。これは、保険会社が示談交渉を行うことができないかわりに、その弁護士費用を保険会社が負担するという特約です。
保険会社や契約プランによって、この特約は自動付帯されていることもありますが、別途で設定を必要とするケースもあります。保険加入時にはあらゆるケースを想定して契約内容を吟味しておく必要があります。