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コラム

【知財】外国出願費用の基本

2023年5月3日

テーマ:知的財産

コラムカテゴリ:法律関連

外国での特許出願において生じる費用を解説します。

(前提知識)外国出願を行うルート

外国に出願するには、大まかには下記①乃至③の3通りから選びます。
 ①パリルート
①パリルート
 ②直接PCTルート
②直接PCTルート
 ③PCTルート
③PCTルート
①と③は、外国出願・国際出願をする前に日本国内で出願(「基礎出願」と呼びます。)をします。
②は、国際出願からスタートします。日本国も権利化はできます。
PCT/日本国の料金

外国出願・管理にかかる費用

まず原則として、権利(特許権)は国ごとに別々の権利です。そのため、管理・審査も別物なので国ごとに別々に費用が生じます(ただし、代理人の費用は弁理士・事務所ごとに自由に設定されるので、セット等で料金を発生させる場合も考えられます)。

①パリルートで生じる費用

例えば、日本国+米国の2か国で出願・権利化する場合、2か国分の費用が生じます。
外国に出願する場合、原則出願をする国(この場合は米国です。)にも代理人(現地代理人と言います。)が必要です。
現地代理人
そのため、日本人が米国の出願をする場合、日本の代理人+米国の代理人+米国官庁の実費が生じます。
正確には、日本語書面→英語書面、及び、英語書面→日本語訳文の翻訳料も生じます(これは代理人によります)。
審査・中間処理も日本とは違う結論が出る場合もありますので、国ごとに違う対応をする必要があります。
なお、現地代理人は現地通貨払いになることが多いので、現地代理人の費用は為替の影響を受けます。

国ごとに法律・制度が異なるため、特許庁に収める金額も支払う項目も日本国と異なる場合があります。
主要国・機関における特許出願政府費用等一覧表
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/tokkyo-seihuhiyou.pdf

諸外国・地域・機関の制度概要(一覧表) 特許制度
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/1tokkyo.pdf
例)米国は日本国と異なり審査請求制度がないため、「審査請求料」は生じない。

諸外国・地域・機関の制度概要、及び、法令条約等
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/mokuji.html

②直接PCTルート/③PCTルートで生じる費用

上記①パリルートに加えて「国際出願」分の代理人手数料+国際出願用の実費(日本国の場合は下記の通りです。)が生じます。

国際出願関係手数料表 日本国特許庁に国際出願する場合に特許庁へ支払う実費
https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tesuryo/kokuryo.html

また、②又は③の国際段階を経る場合でも、最終的には権利化をする国を選びます。言い換えると、国際出願は出願時点ではまだどこの国に出願するか「保留」にできます。
権利化する国を選び、PCT→各国へ出願にすることを「国内移行」と呼びます。
国内移行後は①パリルートと同じになります。
外国出願費用
〇日本国内の場合は、下記URLで解説しております。
https://mbp-japan.com/chiba/tsuboi/column/5088022/

〇弁理士費用は弁理士・特許事務所ごとに発生する条件、金額、及び、費用項目は異なります。詳しくは弁理士・特許事務所の料金表をご覧ください。
 上記弁理士費用は下記平成18年日本弁理士会アンケートにおける平均値で記載しております。この金額はあくまで参考として下さい。
 https://www.jpaa.or.jp/howto-request/attorneyfee/attorneyfeequestionnaire/

なお、上記の例は、原則の説明用・説明のため簡略化しております。そのため、もちろん例外があります。詳しくは一度弁理士等へ相談するのを強くお薦めします。
上記の内容で不明な点がございましたら、お手数ですがメール等でお問い合わせ下さい。
以上、ご参考まで。

この記事を書いたプロ

坪井央樹

弁理士・中小企業診断士の資格を持つ知財関連の専門家

坪井央樹(武和国際特許事務所)

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