【値上げ】【知財】国際出願関係手数料 2022.7~
シリーズ「知財リスク」の第4回目になります。今回は「信用回復措置請求権」について解説します。
信用回復措置とは
具体的には、侵害者に対し、新聞に謝罪広告等を掲載するように要求する権利です。
侵害者が粗悪品を流通させて粗悪品というイメージを作ってしまった場合が想定されています。
工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第21版〕
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/kaisetu/kogyoshoyu/document/chikujokaisetsu21/tokkyo.pdf
「差止」や「損害賠償」と異なり、あまり出てこないのが実態です。そのため、事例も少ないです。
近年ですと下記2つの判例がありますが、どちらも認められていません。
平成28年(ワ)第41720号 平成30年5月31日判決言渡 特許第4041941号
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/798/087798_hanrei.pdf
平成28年(ワ)第17527号 平成29年8月31日判決言渡 特許第4455666号
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/057/087057_hanrei.pdf
不正競争防止法の事案ですが、認められた例としては下記のような判決があります。
平成18年(ワ)第5437号 平成19年6月11日判決言渡 信用回復措置等請求事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/796/034796_hanrei.pdf
上記判例の請求内容を見ると、(広告内容を資料として提出して)「別紙記載を広告せよ」や「〇〇新聞の朝刊全国版の社会面に謝罪広告を記載せよ」というように請求されています。
他の知的財産関係法(意匠法等)でも同様に認められている権利ですが、
特許(技術)等より、商標(ブランド、商取引の信用)等の方が実務的にも理論的にも適しています。
根拠条文
(信用回復の措置)
第百六条 故意又は過失により特許権又は専用実施権を侵害したことにより特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、特許権者又は専用実施権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。
特許庁 特許権侵害への救済手続
https://www.jpo.go.jp/support/ipr/patent-kyusai.html
上記の内容で不明な点がございましたら、お手数ですがメール等でお問い合わせ下さい。
以上、ご参考まで。