40年振り改正の相続法と税法上の課題   <浦安市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

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各省庁よりの平成31年度税制改正要望は既に出揃っていますが、20日の自民党総裁選を控え、政府税制調査会の審議日程も定まらぬ中、今回は、40年振りの改正となった相続法の内、今後整備されるべき税務上の課題がある配偶者居住権に関し、以下にて取り上げたいと思います。

相続法(民法)における配偶者居住権の創設

改正の背景:
高齢化する社会の中で、家族の在り方が変化し、例えば、遺産が自宅と預貯金のみで、相続人が配偶者と子一人で、二人の折り合いが悪い場合、配偶者は、長い余生を考慮し、現預金を相続し自宅は子に相続させることが考えられますが、配偶者は高齢であり、新しい住環境に移ることは精神的・肉体的にも負担が大きく、仮に自宅から出ることが可能としても、直ぐに退去を求められれば対応が難しい等の状況が想定されます。従って、掛かる状況に対処する為、法律改正で配偶者の生活を保障する必要がありました。

配偶者居住権と配偶者短期居住権:
配偶者居住権とは、相続によって自宅の建物の所有権が他の相続人や第三者に渡ったとしても、配偶者が自宅に住み続けることが出来る権利で、配偶者短期居住権とは、自宅の建物に住んでいる配偶者が相続開始から6ヶ月間或いは遺産分割完了時点のいずれか遅い日まで、無償で住み続けられる権利です。この改正は公布日2019年7月12日から2年後(2020年7月13日)までに施行されますが、具体的な施行日は現時点では未定です。

改正の留意点

配偶者居住権と配偶者短期所有権に関する主要な留意点は下記の通りです。

①建物の所有者は配偶者居住権の登記を設定する義務を負うとされ、その設定登記を通じて初めて第三者に対抗出来ます。

②配偶者居住権或いは配偶者短期所有権を有する配偶者は、建物をきちんと使う義務・管理する義務が課せられ、建物の維持費を負担する義務もあります。

③配偶者居住権も短期居住権も、配偶者が死亡した時点、配偶者がその建物を所有した時点、遺産分割協議書で期間を定めた場合はその期間終了時点で無くなります。

給与配偶者居住権の税務上の課題

改正に伴う税務嬢の課題は下記の通りです。
①配偶者居住権は相続税法上財産価値がある(配偶者短期居住権は価値無し)とされましたが、具体的な評価方法は今後の課題となっています。

②小規模宅地等の減額(50%・80%)特例が配偶者居住権の設定された敷地にも適用されるか否か、相続法の改正の意図からすれば、一定の減額をすることが望ましいのですが、これも今後の課題です。

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