サービス開発も対象となる試験研究税制の見直し    <浦安・市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

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安倍政権の悲願である600兆円経済を実現するためには、研究開発投資の更なる促進を図り、付加価値の高い財・サービスを提供する必要があるとして、平成29年度税制改正にて「研究開発税制の見直し」が行われましたので、以下取り上げたいと思います。

現状の研究開発税制の全体像

試験兼旧税制は以下四つの制度からなりますが、AとBは併用出来ません。

A  試験研究費の総額に係わるもの:試験研究費総額の8%~10%を税額控除。但し、法人税の25%が上限。
B  中小企業技術基盤強化税制:試験研究費総額の12%を税額控除。但し、法人税の25%が上限。
C  特別試験研究に係わる税額控除:国の試験研究機関等と共同で行う等の特別な試験研究費の20%~30%を税額控除。但し、法人税の5%が上限。
D  試験研究費が増加した場合等の税額控除制度:試験研究費が5%超増加した場合等において、最大、増加額の30%の税額控除<増加型>、或いは、試験研究費が平均売上高の10%を超える場合、超える金額の、最大、18%の税額控除<高水準型>。但し、法人税の10%が上限。

改正の具体的内容

具体的な改正点は以下の通りです。

①試験研究費の定義を見直し、第4次産業革命型の「サービス開発」を追加しました。
②上記Dの内、増加型を廃止し、代わりにAの総額型に投資インセンティブを盛り込み、増減率に応じて、6%~14%(10%超部分の適用は2年間限定措置)になるよう控除率の幅を広げました。また、Dの内、高水準型の適用期限が2年間延長されました。
③上記Bの中小企業向け支援を強化するため、2年間限定措置として、5%超増加した場合、「12%+(増加割合-5%)x0.3」の算式で計算した控除率(上限17%)とします。
④上記Cの活用を促すため、例えば、「費用明細書と領収書との突合は求めない」等、手続要件の緩和措置が取られます。
⑤控除額の上限25%の上乗せ措置があり、Bについては10%、Aについては試験研究費割合が10%を超えると0~10%が上乗せされますが、いずれの場合でも、Dとの選択適用となります。

なお、改正点の適用は平成29年4月1日以降開始事業年度からとなります。


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