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和泉俊郎(いずみしゅんろう) / 税理士

和泉税理士事務所

コラム

暦年贈与サービスは連年贈与?   <浦安・市川の中小企業支援コラム>

2016年6月12日

コラムカテゴリ:ビジネス

伝統的な相続対策として、110万円以下の非課税枠を活用した暦年贈与があります。子や孫達に毎年110万円づつ贈与すれば、例えば、10人の子や孫のいる人は、毎年1千万円以上の資産を課税されずに次世代へ移転することが出来ます。毎年1万円程度の手数料で、こうしたニーズに対応した暦年贈与サービスが金融機関の商品として出回っていてます。そして、NISAや遺言信託等の他のサービスを受けていれば、無償とするところもあるようです。

連年贈与として贈与税の課税は?

ここで懸念されるのは、このサービス利用時に、例えば、贈与者が金融機関との間で10年間サービスを受けるとの契約をした場合、110万円x10年分=1,100万円を連年贈与と認定され、サービス利用時に定期金給付契約に関する権利(この場合は、毎年110万円ずつ10年間受け取る権利)の贈与があったものとして、受贈者に贈与税が課税されるのではないかとの点です。

某金融機関がこの点を心配して、国税庁に対しこの定期金給付契約に関する権利の贈与税の課税があるか否か文書回答を求めたところ、先般、下記趣旨の回答がありました。

国税庁の考え方

定期金給付契約に関する権利は、一定期間にわたり定期的に贈与を行うことが贈与者・受贈者間で契約されている場合に、その契約の時点で、定期金給付契約に関する権利の贈与として、贈与税の課税関係が生じるものです。

ところで、貴行のサービスは、その内容から、一定の契約期間中に定期的な贈与が行われることが想定されるため、本件サービスの利用開始時に、定期金給付契約に関する権利の贈与が行われたものとして贈与税の課税関係が生じるのではないかとの疑義が生じます。

然しながら、贈与は、民法第549条《贈与》において、「当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」こととされており、贈与者の贈与の意思表示だけなく、受贈者の贈与を受ける意思表示を必要とする双方合意で成立することとされております。また、贈与による財産の取得時期については、「書面によるものについてはその契約の効力の発生した時」と取り扱われています。

国税庁の結論

本件サービスでは、その申込みは贈与者が行い、貴行は、贈与の都度、贈与者・受贈者間の贈与の意思確認を行った上で、その双方合意による贈与契約の成立を証する贈与契約書に基づいて贈与資金の払出し・振込(預金の振替)を行うこととしています。

このことからすると、本件サービスの申込みによって贈与契約が成立するものではなく、本件サービスによる「贈与資金の払出し・振込(預金の振替)」は本件サービスの契約期間中の各年に締結される贈与契約の履行として行われるものであるため、本件サービスに基づき行われる贈与については、その贈与契約によって効力が生ずるものと考えられます。

したがって、本件サービスに基づき行われる贈与については、各年に締結される贈与契約の内容に基づき、各年の贈与として贈与税の課税が行われることとなるものと解するのが相当であり、あらかじめ定期的に贈与することについて贈与者・受贈者双方の合意がなされている場合でない限り、本件サービスを利用した贈与は、「定期金給付契約に関する権利」の贈与に該当するものではないと考えられます。

以上の如く、国税庁は毎年110万円以下であえば、贈与税の課税はないと回答しています。


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