国外転出時課税制度: 7月1日から施行開始!   <浦安・市川の中小企業支援コラム>

和泉俊郎

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平成26年1月施行の国外財産調書制度(5千万円を超える在外財産を有する居住者が対象)、平成27年1月施行の相続税の基礎控除の大幅引き下げ(4割カット)と最高税率の引き上げ(50%から55%へ)に続き、本年7月1日から、平成27年度税制改正で創設の「国外転出時課税制度」が施行されています。これら一連の税制は富裕層への課税強化を目的とするもので、今回は、以下にて、この「国外転出時課税制度」を取り上げたいと思います。

創設の趣旨と内容

これまでは、譲渡所得が発生した場合、居住者には課税するものの、非居住者には原則として所得税を課税しないことから、富裕層が、いわゆる“軽課税国”へ移住し非居住者となったり、非居住者である親族に相続・贈与後に売却することにより、日本の所得税の課税を逃れる事例が増加している為、本人の出国時や相続・贈与による非居住者への財産の移転時に譲渡があったものとみなして、その未実現利益に課税するものです。

対象資産とその価額

有価証券等及び未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引で、その譲渡・決済が行われたものとみなして算出した利益の額又は損失の額の合計額が1億円以上であるもの。

課税対象者

国外転出や相続・贈与により財産を移転する日前10年以内において、本人や被相続人・贈与者が国内に5年を超えて住所又は居所を有していること。

申告期限

本人の国外転出と贈与による移転の場合は、そのみなし譲渡所得について確定申告期限(翌年3月15日)までに確定申告書を提出し、相続による移転の場合は、相続開始から4ヶ月以内に準確定申告を行う必要があります。

留意点

帰国した場合等の減額措置や最長10年の納税猶予措置が設けられています。
また、贈与した場合の贈与税や相続が発生した場合の相続税は、別途、課税されることになります。


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