終活セミナーを終えて
最近、手元供養についてのご相談やご質問が増えてきたように思います。
手元供養については、新しい商品や、やり方が毎年のように登場しているように思います。
割と手軽で、コストパフォーマンスも良いところが理由なのかもしれません。
一口に、手元供養といっても、大きくは二つに分類できます。
まずひとつは「安置型」。家のどこかにそれとわからない形で安置しておくものですね。
代表的な物には、仏壇型(上段が仏壇で、下段が骨壺の収納になっている)や、宅墓(墓石のミニチュアで少量の遺骨を納められる)ものがあげられます。
もうひとつは「身に付け型」。アクセサリーなどの中に遺骨の一部を入れることができる物や、人工ダイヤに加工してアクセサリーとして身に付けることができるものなどがあります。
では、毎年のように新しい手元供養が誕生する中で、それらを選択する人たちも増えてきているようですが、実は注意すべき三つのポイントがあることをご存じでしょうか?
手元供養を決断され、後から「困った」ということがないように、きちんと理解して、その後のことまで考えて決めていただければ幸いだと思います。
それではまず一つ目のポイントですが、
「ご自身が亡くなった後の、遺骨の対応」についてです。
どういうことかと言えば、例えば私の親が亡くなり、手元供養で家に遺骨を仏壇型の方法で安置したとします。私がそうしたかったからそのようにしたとします(もちろん、妻や家族の了承を得て)。
数年後、私自身が亡くなった後、私の遺骨を含め、親の遺骨はどのようになるのでしょう?
親の遺骨と一緒に安置してくれることも考えられます。ですが、残された遺族の中には家の中に遺骨があることに抵抗がある者もいるかもしれません。子供たちが遠方で暮らしていれば、妻だけが遺骨と一緒に暮らすことになります。それで妻や家族が納得してくれればいいのですが・・・。
もし、「身に付け型」でアクセサリーなどにして持ち歩いていたとしても、自身が亡くなった後に、そこから遺骨の一部が出てきたり、身内がうっかり万が一にもどこかに売りさばかれたりでもしたら・・・。
以上のようなことを防ぐために、手元供養を選択される場合には、家族に対して、自身が亡くなった後の親の遺骨をどうしてほしいのか、きちんと伝えておく必要があります。
例えば、話し合った上でエンディングノートに書いておくなどして、後生に伝えておく必要があります。「自身の遺骨と一緒に○○寺の永代供養に納めてほしい」「一緒に海洋散骨にしてほしい」など。
自分自身の気持ちで手元供養を選ばれたとしても、必ずしも家族が喜んで賛成してくれたとは限りませんから、よく話し合って、遺骨の対応について決めていただきたいと思います。
続いて二つ目のポイントですが、
「手元供養だけでは完結しない」ということです。
これはどういうことかというと、火葬場で焼骨後の遺骨を受け取った際のことを想像してください。地域によって少量、または全量の違いはありますが、焼骨した遺骨を骨壺などに入れて引き渡されます。
それをそのまま家に持ち帰って安置される場合は別として、ほとんどの手元供養の場合、手元供養として取り扱う遺骨の量は、一握り、または数カケラの量なのです。
宅墓なら、せいぜい一握り分でしょうか、アクセサリーの中にいれるにしても、ひとかけら程度しか、遺骨は入りません。ということは、持ち帰った遺骨の大部分は別の方法で供養しなければならないということです。
つまり、手元供養と同時に、別の方法(永代供養、樹木葬、海洋散骨など)で入りきらない遺骨を供養する必要があるのです。ですから、手元供養を考える際には、全ての遺骨を安置しない場合に限り、別の供養も一緒に考える必要があるのです。
ですから、「手元供養だけでは完結しない」ということになります。
最後に三つ目のポイントですが、
「分骨証明書をとっておく」ということです。
『分骨証明書』という書類があるのをご存じでしょうか?見かけることの少ない書類になりますので、知らない方も多いのではないでしょうか。
この書類は遺骨を分けて(分骨)埋葬する際などに必要になります。
二つ目のポイントでお話ししましたが、手元供養と同時に別の供養を考えたとき、遺骨は分ける(分骨)必要があります。その分けた量にかかわらず、遺骨を複数に分ける際には、この書類が必要になります。
なぜなら、手元供養で家に置いておいた遺骨を、数年後にどこかのお寺の永代供養に埋葬したいと考えたとき、その遺骨を埋葬する際には、分骨証明書がなければ、埋葬していただけません。誰の遺骨かわからない、事件性のある遺骨かもしれない、その遺骨が誰の遺骨か、はっきりと証明できる書類がないと埋葬してはもらえないのです。
ですから、手元供養で遺骨の一部でも埋葬せずに残しておくときは、この『分骨証明書』が必要になるというわけです。
では、この書類は誰(何処)が発行してくれるのか。役所や役場では発行してくれません。
役所、役場では、死亡届を受理した後に火葬の申請をしますが、その書類が複写などになっていて、埋葬許可書になっていることがよくあります。埋葬するときには、お寺や墓地管理者にその埋葬許可書を持って埋葬することになります。
分骨は、その埋葬のタイミングで行われることが多いと思いますので、お寺の住職などにお願いして『分骨証明書』を書いてもらうことが一般的です。
正直、決まった書式(雛形)は無いようですが、死亡者の名前や住所、分骨した年月日、証明する方(住職など)の署名捺印があれば、書類としては成立しているようです。
以上、注意すべき三つのポイントについて解説させていただきました。
今の時代、手元供養についての商品やサービス、またその情報が非常に多く見かけるようになって参りました。手軽そうで安価なのも魅力なのかもしれません。
ですが、実際には手元供養したあとの遺骨、家族などのことまで考えると、一人で決めずに、親族の方と相談して、最良の手元供養とその後まで考えた方法を選んでいただいて、ご供養していただけたらよろしいのではないでしょうか。
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