iDeCoも上限引き上げに!選択肢が多くなる中何を選ぶか。
こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの土田です。
6月20日日経新聞夕刊にこんな記事がありました。
(十字路)発展途上の独立系アドバイザー
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190620&ng=DGKKZO46184130X10C19A6ENI000
以下引用
証券会社などに所属しない独立した立場から、個人に資産運用をアドバイスするIFA(独立系金融アドバイザー)への期待が高まっている。
「老後資金が夫婦で平均2000万円不足する」という内容が政治問題化した金融審議会の報告書も「顧客に最善の利益を追求する立場に立ってマネープランの策定などを提供できるアドバイザーが強く求められる」とIFA育成の重要性を強調していた。
モデルは米国だ。独立系アドバイザーが約12万人と証券会社の営業社員の数を大きく上回る。米国の投資信託の販売額は約半分が独立系アドバイザー経由で、米国人の資産形成にはなくてはならない重要な役割を担っている。
引用終わり
このように、金融先進国であるアメリカでは個人の資産運用を担っているのは「独立系金融アドバイザー」です。
日本ではあまり馴染みもない「独立系金融アドバイザー(IFA)」ですが、「発展途上」と言われる理由として、記事では「ビジネスモデル」の違いを指摘しています。
以下引用
アドバイスや商品選びが顧客目線かどうかを決める重要な要素が手数料の取り方だ。金融商品の手数料には投信の買い付けなど取引ごとに一定比率をとる販売手数料(コミッション)と、預かり資産の残高から一定比率をとる残高手数料(フィー)がある。前者では必要以上に商品の売買を勧めるなど、顧客との間に利益相反が生まれやすい。
米国では、独立系アドバイザーの大半は顧客と利益が一致しやすい残高手数料に収益の軸足を置いている。全体の約半数のアドバイザーは金融商品を一切売らずに、アドバイスの対価として残高手数料だけをもらうスタイルだ。
一方、日本のIFAは金融商品仲介業に登録し、金融商品の販売手数料が主な収益源になっている。証券会社に所属していないが、手数料の取り方は証券会社の営業員と同じ。IFAの中には回転売買まがいの営業が指摘される業者もいるようだ。日本のIFAはなお発展途上にある。
引用終わり
この様に、販売手数料中心の利益体制だと「長期保有」されると利益が出ません。一般的にライフプランを考えた資産運用では「長期保有」が原則です。つまりここに顧客との「利益相反」が生まれやすいのです。
アメリカでは独立系金融アドバイザーに対して「アセットマネジメントフィー」と呼ばれる資産管理手数料を顧客が直接支払います。(もちろん投資信託の信託報酬とは基本的に別に支払います)
概ね預けている資産の1%程度が多いそうですが、これは運用がうまくいったかどうかではなく一般的には固定で支払うので、例え運用益がなくても支払う訳です。
こうなると、長期で見た資産運用の展望をしっかりと語れることは当然として、顧客との強い信頼関係も大切です。また顧客にも一定レベルの「金融リテラシー」がなければ、「損してるのに手数料を払う」という方もいないでしょう。
日本でも独立系金融アドバイザーを普及させるには、アメリカの制度を見習って「アセットマネジメントフィー」を解禁することと共に、投資信託などの販売手数料や信託報酬はその分低めに設定する(良いと思う投信は概ね手数料が高いので、IFA経由で買えば長期投資になるのでその分低くするなど)などの工夫や、国民に対する「金融リテラシー教育」も必要と思います。
先日も東京で仲間のFPの方々と話をしてましたが、日本のFP業界では「顧客本位」で仕事をするとビジネスが成り立ちにくいという話題になりました。
例えば、FPが顧客本位で「長期・分散・積立投資」の「投資信託」を勧めるのと、「保険商品」で運用を勧めるのでは、販売するFP側の利益が大きく異なるので、そもそも保険中心のFPが「顧客の為」と言ってもわざわざ勉強して「IFAをやろう」というインセンティブも働きにくいと思います。
もちろん保険での運用を全否定するつもりもありませんが、ほとんどのFPが選択肢として積立投信などを提案できていないのではないでしょうか?(中には積立投資の話しから変額保険の話し一本になる方だっていますが、FPだって「ビジネス」と考えればそうなるのもわかります)
「公正かつ顧客本位」を金融庁が本気で求めるなら、そうする事が「ビジネス」としても成り立つ仕組みを作って欲しいと切望します。
時代が変わっているのですから、業界も法律も変わって欲しいですね!
そんなことも書かれている「報告書」を見ないで握りつぶしたり、内容の一部を切り取って政局にしたりせずに活用して国民生活に活かして欲しいとも思います。
今日もありがとうございました。