なぜ高齢になると転びやすくなるのか?足腰だけではない意外な原因とは
こんにちわ。名古屋市港区のオリーブ歯科こども歯科クリニックです。
前回のコラムでは、転倒とお口の機能の意外な関係についてお話ししました。
今回は、多くの方からご質問をいただく「インプラント」についてお話したいと思います。
歯を失った時、
「インプラントにした方が良いですか?」
というご相談は非常に多くあります。
テレビやインターネットでは、
「第二の永久歯」
「しっかり噛める」
「見た目が自然」
など、インプラントのメリットが紹介されています。
実際にインプラントは優れた治療法の一つです。
しかし、最初にお伝えしたいことがあります。
それは、
インプラントは目的ではなく手段である
ということです。
私たち歯科医療の目的は、インプラントを入れることではありません。
患者様が、
しっかり食べられること。
人と会話を楽しめること。
外出や旅行を楽しめること。
健康な毎日を送れること。
つまり、人生の質を高めることです。
そのための選択肢の一つがインプラントなのです。
ところが近年、「歯を失ったらインプラントが正解」というイメージを持たれている方も少なくありません。
本当にそうでしょうか。
実は、インプラントが非常に向いている方もいれば、そうでない方もいます。
例えば、
健康状態が安定している。
セルフケアがしっかりできる。
定期的なメンテナンスに通える。
しっかり噛む力を回復したい。
このような方には、インプラントは大きなメリットをもたらす可能性があります。
一方で、
全身疾患の管理が難しい。
介護が必要になっている。
通院が困難になっている。
ご自身で清掃が十分にできない。
このような場合には、別の選択肢が適していることもあります。
実際、超高齢社会となった現在では、「治療後の人生」まで考えることが重要になっています。
例えば80歳でインプラントを入れたとします。
その後、認知症になったらどうでしょうか。
介護施設へ入所したらどうでしょうか。
手先が不自由になったらどうでしょうか。
インプラントは天然歯と同じように見えますが、天然歯と同じではありません。
定期的な管理と清掃が必要です。
そのため現在の状態だけでなく、10年後、15年後の生活も考えて治療法を選択する必要があります。
これは入れ歯にも同じことが言えます。
入れ歯には、
違和感がある。
外れやすい。
噛みにくい。
というイメージを持つ方もいます。
しかし、すべての入れ歯がそうではありません。
適切に設計された入れ歯によって、十分な機能を維持できる方も多くいらっしゃいます。
実際に高齢者医療の現場では、
「何を入れるか」
よりも、
「何を食べられるか」
の方が重要です。
インプラントを入れていても噛めなければ意味がありません。
歯が残っていても食べられなければ意味がありません。
逆に、適切な治療によって食事を楽しめているのであれば、それは非常に価値のある状態です。
私たちがオーラルフレイル対策で重視しているのもここです。
オーラルフレイルとは、お口の機能が少しずつ低下していく状態です。
重要なのは歯の本数だけではありません。
しっかり噛めるか。
安全に飲み込めるか。
楽しく会話できるか。
食事を楽しめるか。
これらの機能を維持することが、健康寿命を延ばすことにつながります。
だからこそ当院では、
「インプラントが良いですか?」
というご質問に対して、
「患者様はどんな人生を送りたいですか?」
というお話から始めることがあります。
旅行を楽しみたい。
好きなものを食べたい。
家族との食事を続けたい。
介護になっても困らない口にしたい。
その目標によって、選ぶべき治療法は変わるからです。
歯科医療は歯を治すためだけにあるのではありません。
人生を豊かにするためにあります。
インプラントも入れ歯も、そのための手段の一つに過ぎません。
オリーブ歯科こども歯科クリニックでは、治療方法だけではなく、その先の人生まで見据えたご提案を大切にしています。
歯を守るために人生があるのではありません。
人生を豊かにするために歯科医療があります。
次回は、「オーラルフレイルは予防できる時代です」をテーマに、お口の衰えの初期サインと、今日からできる予防についてお話ししたいと思います。
全ては患者様のよりよい人生のために。
私たちはこれからも、お口の健康を通じて皆さまの豊かな人生を支えていきたいと考えています。


