認知症とお口の怖い話

荒川大輔

荒川大輔

テーマ:オーラルフレイル

こんにちわ。名古屋市港区のオリーブ歯科こども歯科クリニックです。

前回のコラムでは、「人生100年時代、本当に必要なのは歯ではなく食べる力です」というテーマで、オーラルフレイルについてお話ししました。

今回は、多くの方が気になっている「認知症」とお口の関係についてお話したいと思います。

高齢になるにつれて、

「認知症にはなりたくない」

「家族に迷惑をかけたくない」

「できるだけ自分らしく生活したい」

と考える方は少なくありません。

実際、日本では高齢化の進行に伴い、認知症は非常に身近な問題になっています。

では、認知症予防のために何をしたら良いのでしょうか。

運動でしょうか。

脳トレでしょうか。

食事でしょうか。

もちろん、どれも大切です。

しかし近年の研究では、「お口の健康」や「噛む機能」も認知機能と深く関係していることがわかってきています。

皆さまは、食事中に何回くらい噛んでいると思いますか。

実は私たちは食事のたびに、脳へ大量の刺激を送り続けています。

噛むという動作は単純なように見えて、顎の筋肉、舌、唇、歯、顎関節などが複雑に協調して行われています。

そして、その情報は脳へ絶えず送られています。

つまり「噛むこと」は、お口だけの仕事ではなく、脳の仕事でもあるのです。

近年では、咀嚼による刺激が脳の血流を増加させることや、認知機能の維持に関与する可能性が報告されています。

また、歯の本数が少ない方や噛む能力が低下している方ほど、認知機能の低下リスクが高いことを示す研究もあります。

もちろん、「歯が少ないから認知症になる」という単純な話ではありません。

しかし、お口の機能低下が認知症と無関係ではないことは、多くの研究で示されています。

さらに重要なのは、認知症予防に必要な要素の多くが、お口の機能とつながっていることです。

例えば栄養です。

噛みにくくなると、肉や野菜などの硬い食品を避けるようになります。

すると栄養が偏りやすくなります。

特に高齢者では、低栄養が筋力低下やフレイルの原因となり、認知機能にも影響を及ぼすことが知られています。

また、会話も重要です。

会話は脳を使います。

相手の話を聞き、自分の考えを整理し、言葉にして伝える。

実は非常に高度な脳の活動です。

ところが、お口の機能が低下すると、話しにくさや聞き取りにくさから会話が減ってしまうことがあります。

さらに、人との交流が減れば外出も減ります。

社会参加が減れば、脳への刺激も少なくなります。

つまり、

噛めない。

食べられない。

話せない。

出かけない。

人と会わない。

という流れができてしまうのです。

認知症予防というと脳の問題ばかりに目が向きがちですが、実際にはお口の機能も大きく関わっています。

私たちがオーラルフレイルを重要視する理由もここにあります。

オーラルフレイルとは、お口の機能が少しずつ衰えていく状態のことです。

むせることが増えた。

食べこぼしが増えた。

滑舌が悪くなった。

硬いものを避けるようになった。

こうした変化は単なる老化現象ではなく、お口からの危険信号かもしれません。

そして多くの場合、こうした変化は突然起こるのではなく、何年もかけてゆっくり進行します。

だからこそ早めに気付き、対策を始めることが大切なのです。

認知症予防のために特別なことを始める前に、まずは毎日の食事を楽しめているかを振り返ってみてください。

しっかり噛めていますか。

家族や友人と会話を楽しめていますか。

食事が美味しいと感じられていますか。

実は、それこそが認知症予防の第一歩かもしれません。

オリーブ歯科こども歯科クリニックでは、歯の治療だけでなく、お口の機能を守ることで健康寿命の延伸を目指しています。

歯を守るために人生があるのではありません。

人生を豊かにするために歯科医療があります。

次回は、「なぜ高齢になると転びやすくなるのか」をテーマに、転倒とお口の意外な関係についてお話ししたいと思います。

全ては患者様のよりよい人生のために。

私たちはこれからも、お口の健康を通じて皆さまの健やかな人生を支えていきたいと考えています。

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荒川大輔
専門家

荒川大輔(歯科医師)

オリーブ歯科こども歯科クリニック

保険診療から先進的な自由診療まで幅広く対応、家族全員で通える地域のかかりつけ歯科医院です。全身の健康に悪影響を及ぼすお子さんの口腔機能発達不全症の治療に県内外から多くの患者様が通院しております。

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