人生100年時代、本当に必要なのは歯ではなく「食べる力」

荒川大輔

荒川大輔

テーマ:オーラルフレイル

こんにちわ。名古屋市港区のオリーブ歯科こども歯科クリニックです。

今回から数回にわたり、「オーラルフレイル」をテーマにしたコラムシリーズをお届けしたいと思います。

皆さまは「オーラルフレイル」という言葉をご存じでしょうか。

最近ではテレビや新聞などでも取り上げられる機会が増えていますが、まだ聞き慣れない方も多いかもしれません。

しかし、このオーラルフレイルは、認知症や寝たきり、健康寿命と深く関わる重要なテーマとして注目されています。

ところで皆さまは、人生100年時代に本当に大切なものは何だと思いますか。

健康な体でしょうか。

元気な足腰でしょうか。

もちろんどちらも大切です。

しかし私たち歯科医師は、それと同じくらい大切なものがあると考えています。

それが「食べる力」です。

どれだけ長生きできたとしても、好きなものを食べられなくなってしまったらどうでしょう。

家族との食事が楽しめなくなったらどうでしょう。

旅行先で美味しい料理を味わえなくなったらどうでしょう。

人生の楽しみは大きく減ってしまうかもしれません。

実際、高齢者の方とお話をしていると、

「最後まで自分の口で食べたい」

という言葉をよく耳にします。

これは単なる食事の話ではありません。

食べることは生きることそのものだからです。

ところが、多くの方は「食べる力」が少しずつ衰えていることに気付きません。

以前より硬いものを避けるようになった。

食事中によくむせるようになった。

滑舌が悪くなった。

口が乾くようになった。

食べこぼしが増えた。

こうした変化は年齢のせいだと思われがちです。

しかし実は、これらはオーラルフレイルの初期サインかもしれません。

オーラルフレイルとは、お口の機能が少しずつ衰えていく状態のことをいいます。

そして怖いのは、お口の衰えだけで終わらないことです。

食べる力が低下すると、食事内容が偏りやすくなります。

十分な栄養が摂れなくなります。

筋力が低下します。

活動量が減ります。

人との会話や外出が減ります。

やがて全身のフレイル、つまり心身の衰えへとつながる可能性があります。

近年では、お口の機能低下が健康寿命に影響することが数多く報告されています。

つまり、お口の問題は歯だけの問題ではないのです。

健康寿命そのものに関わる問題なのです。

実は私たち歯科医療従事者も、以前は「歯を残すこと」に重点を置いてきました。

もちろん歯を守ることは大切です。

しかし近年は考え方が大きく変わってきています。

歯が何本残っているかだけではなく、

しっかり噛めるか。

安全に飲み込めるか。

楽しく会話できるか。

美味しく食事ができるか。

そうした「お口の機能」を守ることが重要視されるようになっています。

例えば、歯が残っていても噛めなければ十分に食事はできません。

逆に、適切な治療やリハビリによって機能が保たれていれば、人生の楽しみを長く維持できる可能性があります。

だからこそ私たちは、歯ではなく「食べる力」に注目してほしいと考えています。

食べる力を守ることは、健康寿命を守ることにつながります。

健康寿命を守ることは、自分らしい人生を守ることにつながります。

オリーブ歯科こども歯科クリニックでは、小さなお子さまの口腔機能発達から高齢者のオーラルフレイル対策まで、「人生を支える口の機能」を大切にしています。

歯を守るために人生があるのではありません。

人生を豊かにするために歯科医療があります。

次回は、「認知症予防と歯科の意外な関係」をテーマに、噛むことと脳の働きについてお話ししたいと思います。

全ては患者様のよりよい人生のために。

私たちはこれからも、お口の健康を通じて皆さまの人生を支えていきたいと考えています。

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荒川大輔
専門家

荒川大輔(歯科医師)

オリーブ歯科こども歯科クリニック

保険診療から先進的な自由診療まで幅広く対応、家族全員で通える地域のかかりつけ歯科医院です。全身の健康に悪影響を及ぼすお子さんの口腔機能発達不全症の治療に県内外から多くの患者様が通院しております。

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