退勤しても休めない?仕事から離れられる職場が大切な理由

近藤ひろえ

近藤ひろえ

テーマ:職場環境



今回は、仕事から心理的に離れることと、
働く人の回復について
取り上げてみたいと思います。

仕事が終わり、家に帰ってからも、
翌日の予定や、やり残した仕事が
気になってしまうことはありませんか。

実際には仕事をしていなくても、
頭の中では仕事のことを考え続けている。

こうした状態では、勤務時間が終わっても、
十分に休めていない可能性があります。

働く人の健康を考えるとき、
労働時間や休日の確保は大切です。
しかし、それだけで十分なのでしょうか。

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心理学には「心理的ディタッチメント」
という言葉があります。

これは、勤務時間外に
仕事の要求や仕事に関する考えから、
心理的に離れること

を意味します。

2017年、WendscheとLohmann-Haislahは、
86報の研究、約3万8千人のデータを
統合したメタ分析を発表しました。

その結果、仕事から心理的に離れられることは、
消耗感の低さや睡眠の良好さ、
生活満足度やウェルビーイングの高さと
関連していることが示されました。

つまり、働く人の健康を考えるうえで、
「どれだけ休む時間があるか」だけでなく、
「その時間に仕事から離れられているか」

という視点も重要だと考えられます。

※ただし、この研究で示されているのは
 主に関連性です。
 仕事を考えないようにすれば
 必ず健康になるという意味ではありません。

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では、仕事から心理的に離れるためには、
どのようなことが必要なのでしょうか。

趣味を楽しむ、運動をする、
仕事の通知を見ないようにするなど、
個人でできる工夫もあります。

しかし、本人が仕事から離れたいと思っても、
それが難しい職場もあるでしょう。

例えば、退勤後に上司や同僚から
連絡が入ることがある職場です。

すぐに返信するよう求められていなくても、

「早く返した方がよいのでは」
「明日の朝では遅いかもしれない」

と気になってしまう人もいるでしょう。

また、翌日の業務量が多かったり、
対応しきれない仕事を抱えていたりすると、
帰宅後も仕事のことが頭から離れない
場合があります。

こうした状況では、気持ちの切り替えを
本人の努力だけに任せることには
限界があるのではないでしょうか。

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2025年、Edvinssonらは、
スウェーデンの政府機関で
柔軟な働き方をする職員を対象に、
回復を支える職場の取り組みを研究しました。

この研究では、個人向けのデジタルツールや
仕事の進め方に関する講座に加えて、
職場で共通のルールを考える
ワークショップを実施しました。

結果として、参加者全体では、
仕事後の回復の必要性を減らす
明確な効果は確認されませんでした。

一方、もともと回復の必要性が高かった人では、
12か月後の分析において、
仕事から心理的に離れることを介した
改善が示されました。

この結果だけで、職場のルールづくりが
回復に効果的だと断定することはできません。

ただ、回復を支える取り組みを考える際には、
全員に同じ方法を当てはめるのではなく、
誰が、どのようなことで困っているのかを
把握することが大切だと考えられます。

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職場で取り組めることとして、
例えば、勤務時間外の連絡について
共通の認識を持つことが考えられます。

通常の連絡は翌営業日の返信でよいのか。
緊急時には誰に連絡するのか。
休暇中の連絡にはどう対応するのか。

こうしたことが曖昧なままだと、
社員は自分で判断しなければなりません。

反対に、職場で対応のルールを共有できれば、
少なくとも「返信すべきかどうか」
という迷いを減らせる可能性があります。

また、仕事が終わる前に
翌日の優先順位を整理したり、
対応しきれない業務を相談できたりすることも、
仕事から離れやすい環境を考える
一つの視点になるでしょう。

もちろん、仕事内容や職種によって、
必要な対応は異なります。

大切なのは、社員に
「仕事のことを忘れて休みましょう」
と伝えるだけで終わらせないことです。

休むための時間を確保するとともに、
安心して仕事から離れられる条件が
整っているかを考える必要があります。

社員のウェルビーイングを高めるためには、
個人のセルフケアを支援することと、
職場の環境や仕組みを見直すこと
の
両方が求められるのではないでしょうか。

皆さんの職場では、社員が退勤したあと、
安心して仕事から離れられる環境が
整っているでしょうか。

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出典
Wendsche, J., & Lohmann-Haislah, A. (2017).
A Meta-Analysis on Antecedents and Outcomes of Detachment from Work.
Frontiers in Psychology.
https://doi.org/10.3389/fpsyg.2016.02072

Edvinsson, J., et al. (2025).
A Co-Created Workplace Intervention to Promote Recovery in Office Workers with Flexible Work.
Scandinavian Journal of Work and Organizational Psychology.
https://doi.org/10.16993/sjwop.339

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近藤ひろえ
専門家

近藤ひろえ(人材教育・メンタルヘルス講師)

人材育成研修「リベル」

わかりやすく納得感が高まる体験型の研修で職場の課題解決をサポート。現場ですぐに生かせる具体的な方法を伝え、新入社員から管理職まで、すべての人が働きやすく生産性の高い職場づくりを提案。

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