反対意見が言えるだけでは、 心理的安全性はつくられない

職場での自己肯定感について
取り上げてみたいと思います。
「もっと自信を持ってほしい」
「自分の良さに気づいてほしい」
職場で、そんな言葉を
耳にすることがあります。
自信が持てないのは、
本人の性格や考え方によるもの。
私たちは、ついそのように
捉えてしまうことがあるかもしれません。
けれども、職場での自己肯定感には、
本人の内面だけでなく、
日々の仕事の環境も関係していることが
研究からわかってきています。
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心理学には、
「組織ベースの自己肯定感(OBSE)」
という考え方があります。
これは、「この組織の一員として、
自分には価値や能力があり、
尊重されている」と感じることです。
一般的な自己肯定感とは少し異なり、
職場という環境の中で感じる、
自分自身への評価を指します。
2010年に発表されたBowlingらの
メタ分析では、
組織ベースの自己肯定感が、
仕事の満足度や組織への愛着、
仕事の成果などと関連していることが
示されました。
※メタ分析とは複数の研究結果を統合した分析のこと
また、自己肯定感に関係する
職場の条件として、
組織からの支援や仕事の自律性、
役割の明確さなどが挙げられています。
ここで注目したいのが、
「役割が明確であること」です。
自分には何が期待されているのか。
組織の中で、
どのような役割を担っているのか。
それがわかっていることも、
職場での自己肯定感と
関係しているのです。
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例えば、毎日一生懸命に仕事をしていても、
その仕事が何のために必要なのか、
誰の仕事につながっているのかが
よくわからないとしたら、どうでしょう。
言われた仕事はきちんとこなしている。
けれども、自分が組織の中で
どのような役割を果たしているのかは、
なかなか実感できないかもしれません。
反対に、自分の仕事が
次の工程につながっていることや、
誰かの仕事を支えていることがわかると、
同じ仕事でも感じ方が変わりそうです。
ここで大切なのは、
大きな成果を上げたり、
特別に評価されたりすることだけが、
自信につながるわけではない
という点です。
日々の仕事の中で、
「自分には担っている役割がある」
と感じられること。
そんな経験も、職場での自己肯定感を
支える一つの要素なのかもしれません。
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職場では、仕事の内容や期限については
共有していても、
その仕事が何につながるのかまでは、
十分に伝わっていないことがあります。
例えば、資料作成を依頼するとき。
「この資料を金曜日までに作ってください」
それだけでも、
仕事の指示としては成立します。
けれども、
「この資料は、次の会議で
今後の対応を検討するために使います」
と目的が共有されていれば、
何を大切にして作ればよいのかも
考えやすくなります。
そして、完成した資料が
どのように使われたのかを知ることも、
自分の仕事の役割を実感する
機会になるかもしれません。
これは、上司と部下の関係に
限ったことではありません。
部署間で仕事を引き継ぐとき。
同僚に作業をお願いするとき。
チームで役割を分担するとき。
日常のさまざまな場面で、
仕事の目的やつながりを
共有することができます。
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自己肯定感を高めようとすると、
つい本人の考え方や気持ちを
変えることに目が向きがちです。
けれども、職場での自己肯定感は、
本人の努力だけで育つものでは
ないのでしょう。
自分に期待されていることがわかる。
自分の仕事が何につながっているのかがわかる。
そうした経験ができる職場環境も、
大切な要素
の一つだと考えられます。
「もっと自信を持って」と伝える前に、
社員が自分の役割を実感できる
職場になっているかを見直してみてはどうでしょうか。
あなたの職場には、
一人ひとりが自分の役割や
仕事のつながりを確かめられる機会が、
日常の中にどれくらいあるでしょうか。
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出典
Bowling, N. A., et al.(2010)
A meta-analysis of the predictors and consequences of organization-based self-esteem
Journal of Occupational and Organizational Psychology
https://doi.org/10.1348/096317909X454382


