お誕生日
要介護1の独居の女性Aさん宅に伺った時の事です。
近隣に住む娘さん二人も同席し、今後の生活について話し合いを行いました。
実は、二人の娘さんは、自宅での独居は難しいと考えていらっしゃいます。主な理由は、Aさんの認知機能の低下であったり、娘さんたちの精神的な負担増です。実際、嗜銀顆粒性認知症の診断をこの春に受け、怪しいリフォーム業者や通販業者の出入りが確認されており、不要な契約や買物を繰り返してきています。娘さんたちも定期的に訪問はするのですが、すべてをコントロールするのは難しい現状です。また、長年、近所のスーパーへ買物に連れて行ってくれる80代の友人がいるのですが、だんだん歩行も不安定になってきている状態のAさんを預けるのが娘さんたちにとって、大変気が引ける状況になってきています。
そこで、娘さんたちは数か月前にサービス付き高齢者住宅へ入居申し込みを行いました。もちろん、本人さんも連れて、「いずれお世話になろう」と本人さんの了解も頂いたわけですが…
いざ、娘さんたちが「入居しよう」とAさんに声をかけると、Aさんは首を縦に振りません。
担当ケアマネジャーとして、私はAさんに話しかけました。
ケアマネ:「何かあった時、一人暮らしは不安じゃないですか?胸が苦しくなった時も去年は救急車を呼んだんですよね…施設で生活すれば、そういう不安を感じる必要ありませんよ。二人の娘さんもAさんの一人暮らしを大変心配しています。また、娘さんたちも病院に連れて行ったり、買物連れて行ってくれるお友達や隣近所の住人に気を遣ったり、いろいろ負担を感じていると思います。娘さんたちの精神的肉体的負担を軽くする為に、そろそろ施設入居を考えて頂けませんか?」
Aさん:「施設には行きたくありません。ここで独りで暮らします」
ケアマネ:「また、骨折して入院したり、自宅で意識なくして、そのまま…みたいな事が起こりえますよ。娘さんたちは、そういう事が起こった時に後悔したくないから、施設入居を勧められていると思います」
Aさん「うん。でも、施設には行きません」
・・・とうとうAさんは泣き出してしましました。
二人の娘さんは、あきれ顔…
本人が嫌と言っているのに、無理矢理に施設に入居させる訳にはいきません。このように、一人暮らしをしている方を自宅から施設に入居させる事は、難易度が高いことが多いです。何か起こった時、そのタイミングを逃さず、施設に入居させる…そういう見極めがとても大切です。