新型コロナウイルスワクチン接種をしない人への差別や偏見
デイサービス等の介護保険サービスを運営されている事業者に令和2年6月1日付けで厚生労働省より介護保険最新情報Vol.842「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)」が発出されています。
<参考>
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/336613.pdf
内容は、新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応を適切に評価する観点から、デイサービス等に介護報酬を余分に算定する事を認めます。わかりやすく言うと、「ケアマネさんと利用者さんに事前に了解をもらえば、例えば、1日に3時間しかデイサービスを利用していないけど、月に1回だけその日は、5時間利用していたことにして良いですよ。」という事らしいです。サービス提供時間によって算定方法は違います。
コロナ禍の中、経営に苦しむ介護サービス事業所を助ける意味で、厚生労働省が考えて下さったのでしょうが、これが、なかなか使いづらい提案です。
そもそも、私たちは、サービスを提供した分について対価を頂くことを他業界以上に刷り込まれています。介護保険は公のお金ですので、実地指導といって、県や市の職員が定期的に監査に訪れ、サービスを使う前に契約書は交わしてあるか?人員が足りているか?計画書通りにサービスが提供されているか?契約書や運営規定の一言一句に目を通され、重箱の隅をつつくような指摘を受けてきています。時には、計画通りサービスが提供されていないという事で、返戻(もらった報酬を返しなさい)という事もあります。
そういう土壌がある中で、例えば、3時間のサービス提供で2区分上(5時間)の報酬をもらって良いよ・・・いわばケアマネ・本人了解の元に不正請求している感覚は拭えません・・・特に現場は、不正請求に対して相当なアレルギーを持っています。もう少し、現場の精神的負担を考慮できなかったものか?残念で仕方ありません。
もしも、この制度を使う場合の問題点を考えました。
①利用者さんにどう伝えるか?
②利用者さんにも負担金(数百円程度)は発生する
③もし、介護保険の限度額をギリギリまで使っている人は?
④該当するのは要介護1から5の認定を持つ人で、要支援1及び2の人は対象外。要介護の人は協力金?(仮に)をもらいますが、要支援の人は協力金?をもらいません。必然的に利用者さんの中で差が生じます。
では、具体的にどう説明するか?上記の①~④の問題に添って考えてみましょう。
①新型コロナウイルスの影響で経営がとても苦しいです。要介護の認定を持つ利用者さんには、デイサービスの利用が本来ならば3時間ですが、5時間来たことにして、ご協力をお願いします。
②介護保険が1割負担の人で、要介護3の方の場合、約300円(3時間→5時間)の自己負担金が発生します。3割負担の人は900円弱になります。
③介護保険の限度額の枠をギリギリまで使っている人が、この制度を利用すると限度額が越えてしまう事も予測されます。超えた分は10割負担になります。自己負担額(要介護3の場合)が最大3000円(1割負担)とか9000円(3割負担)増す可能性もあります。
④要支援の方は介護予防・日常生活支援総合事業の為、各市の管轄になるので対象外です。
経営サイドは、もらえるものはもらいましょう・・・というけど、現場は、特に利用者さんに対して説明がしにくいと思います。正直、現場の精神的負担と作業量は、この制度によって得られる金額の対価に見合うとは考えづらいです。
<私の提案>
・利用者の自己負担金が発生しない様に扱えないか?
・請求する事を事業所任せにせず、保険者より「全事業所で請求してください」とアナウンスしてもらえないか?
・要介護も要支援の人も一律同じような条件でできないか?
国は、介護サービス事業者を救うべく、臨時的な扱い(制度)を提案しました。それを活用するか?しないか?は事業所の勝手です。というニュアンスでは、なんだかやりきれません。もっと介護現場に寄り添った経済的な後押しを期待したいものです。