変わるスピードは人によって違う──タックマンモデルと効き脳が示す“変化の順番”

蛯原健治

蛯原健治

テーマ:組織づくり チームビルディング 事業承継

組織と仕組みづくりパートナー/中小企業診断士の蛯原健治です。
社長がいちいち言わなくても、社員が勝手に動いて利益が2倍になる組織作りのコツをお届けします。



前回、組織には「嵐の時期が必要」という話をしました。


組織改革を始めると、必ず出てくる言葉があります。

「俺はもう変わったのに、なんであいつは変わらん?」
「やり方を変えようと言っても、なぜかメンバーの反応がバラバラ」


これは社長・幹部の“共通の悩み”です。
同じ会議に出て、同じ説明を聞いているのに、
動ける人と動けない人がはっきり分かれる。


この“変化のズレ”には、明確な理由があります。
それが「効き脳の違い」です。


多くの会社では、こう考えられています。

「変わるかどうかは“やる気の差”」
「主体性がある人は動けて、そうでない人は動けない」
「能力の差が行動の差になる」


しかしこれは、大きな誤解です。


実際のところ──
変化できる・できないの違いは、
“やる気”でも“能力”でもなく、
“脳の使い方の順番”です。


効き脳には4タイプがあります。

D(未来・創造)
A(論理・分析)
C(感情・関係)
B(手順・安定)

この4つは変化するときに
D→A→C→Bの順番で動く ことが多いと言われます。


つまり、
・D(未来志向)が強い人はまず飛びつき、行動を変えやすい
・A(論理)タイプは理由が分かれば動く
・C(関係)タイプは周囲の空気次第
・B(手順)タイプは「やり方が決まってから」動く

この順番が“変化スピードの違い”の正体です。


変革期のチームは、必ず
形成期 → 混乱期 → 統一期 → 機能期
を通ります。
しかし、個人単位では 変化するタイミングが違う のです。


・Dタイプだけが先に“統一期”に入り始める
・Aタイプは「納得」がないと動けず混乱期が長引く
・Cタイプは周りの衝突に敏感で遅れが出る
・Bタイプは手順が固まる“統一期”になって初めて動ける


つまり、
チームの変革は、全員が同じ速度で進むことはない。

「俺はもう変わった」
「なのに、なんであいつは変わらない?」

この原因は、
“変化の順番”が違うだけで、能力差ではない。


ここを誤解すると、社長は不必要に人を責め、
メンバーは「自分は悪いのか…」と萎縮します。
チームは余計に混乱期が長くなってしまいます。


変化できない人は、能力が低いわけではありません。
ただ、効き脳上 “変わるのが最後になるタイプ” なだけです。


だからこそ、
・Dタイプには未来を語る
・Aタイプには理由を説明する
・Cタイプには対話を丁寧に
・Bタイプには手順とルールを渡す


この“順番に合わせた支援”ができると、
チームは一気に統一期へ向かいます。


組織は“同じ会議で同じ説明をしても同じ速度で変わらない”。
ここさえ理解できれば、変革は格段に楽になります。



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蛯原健治(コンサルタント)

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チームビルディングコンサルティングにより、リアルな経営課題の解決、次世代の経営チームづくり、従業員の成長を三位一体でサポートし、持続可能な企業経営に結び付ける。

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