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榊原宏昌

介護現場をよくするコンサルタント

榊原宏昌(さかきばらひろまさ) / 経営コンサルタント

天晴れ介護サービス総合教育研究所

コラム

法令遵守覚え書 老企第29号平成11年11月12日介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項

2018年6月11日 公開 / 2018年6月18日更新

テーマ:読み合わせ!法令遵守

コラムカテゴリ:医療・病院

ACS:天晴れ介護サービス総合教育研究所株式会社

法令遵守覚え書

老企第29号平成11年11月12日
「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」より

Ⅱ 介護サービス計画書の定義
介護保険法上の区分に基づき、以下のとおりに区分することとする。
1 「居宅サービス計画書」
介護保険法第8条第21項に規定する「居宅サービス計画」の作成に用いる様式
2 「施設サービス計画書」
介護保険法第8条第23項に規定する「施設サービス計画」の作成に用いる様式
3 「介護サービス計画書」
「居宅サービス計画」と「施設サービス計画」の両者の作成に用いる様式の総称

Ⅲ 様式を作成するに当たっての前提(順不同)
〇利用者及びその家族からの開示請求がなされた場合には開示することを前提に考える。
〇サービス担当者会議に提出するものであることを前提に考える。
〇同一用紙に介護サービス計画の変更を継続して記録していくものではなく、介護サービス計画の作成(変更)の都度、別の用紙(別葉)に記録する、時点主義の様式を前提に考える。

[記載要領](抜粋)
1 第1表:「居宅サービス計画書(1)」
⑦ 「初回居宅サービス計画作成日」
[理由]当該様式は、基本的には初回の居宅サービス計画作成後、変更の都度に別葉に更新することを前提とするため、当該利用者が、いつの時点から継続して居宅介護支援を受けているか(いつからケアマネジメント関係にあるか)を明示する必要がある。
これによって、当該居宅サービス計画作成者である介護支援専門員はもとより、各種のサービス担当者に、サービス提供上の経過的な変化を観察するための動機が働き、モニタリングの不足による漫然とした不適切な処遇の継続を防止し、利用者及びその家族の介護に関する意向や介護の必要性の変化が常に居宅サービス計画に反映されることとなる。

⑧ 「初回・紹介・継続」
[理由]当該利用者が、他の居宅介護支援事業所(同一居宅介護支援事業者の他の事業所を含む。)または介護保険施設から紹介されたものであるか、当該居宅介護支援事業所において初めて介護支援サービスを受けるものであるかを明らかにすることにより、例えば、サービス担当者会議の場において、紹介利用者であるにも関わらず、それまで居宅介護支援を行ってきた居宅介護支援事業所等における支援記録を参考としないような事態を防止できる。また、既に当該居宅介護支援事業所によって居宅介護支援を受けていることを明示するために「継続」を設ける。
[参考条文]
・厚生省令第38号「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
第15条(利用者に対する居宅サービス計画等の書類の交付)
・厚生省令第39号「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」
第7条(入退所)第7項
・厚生省令第40号「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」
第8条(入退所)第6項
・厚生省令第41号「指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準」
第9条(入退所)第5項

⑨ 「認定済・申請中」
[理由]認定により要介護状態区分が確定しているか、初回申請中又は変更申請中で要介護状態区分が変動する等の可能性があるかを明らかにしておく必要がある。

⑩ 「認定日」
[理由]当該居宅サービス計画作成に係る要介護状態区分が、いつから継続しているかを把握することにより、例えば、長期間にわたり要介護状態区分に変化がないような事例の点検に資する。

⑪ 「認定の有効期間」
[理由]当該居宅サービス計画作成に係る要介護状態区分の有効期間が、いつまで継続するのかを把握することにより、例えば、長時間にわたり要介護状態区分に変化がないような事例の点検に資する。

⑬ 「利用者及び家族の生活に対する意向」
[理由]利用者とその介護を行う家族は不即不離の関係にある。介護や支援を受けつつ、利用者や家族が、家庭や地域社会の構成員として自立した主体的・能動的な生活を送ることが重要である。このため、利用者はもとよりその家族が、介護や支援を受けつつ、どのような生活をしたいと望んでいるのかについて、明確に把握する必要がある。
このような主体的な生活への欲求と対応するサービスが一体となり初めて効果的な援助が可能となる。
また、時として、このような意向が消極的な場合があるが、そのような場合には自立意欲を高め、積極的な意向が表明できるよう援助する必要がある。

⑭ 「認定審査会の意見及びサービスの種類の指定」
[理由]法第80条第2項により、「指定居宅介護支援事業者は、被保険者証に認定審査会意見が記載されているときは、その意見に配慮して、指定居宅介護支援を提供するよう努めなければならない」こととされている。
また、法第73条第2項により、「指定居宅サービス事業者は、被保険者証に認定審査会意見(指定居宅サービスの適切かつ有効な利用等に関し被保険者が留意すべき事項)が記載されているときは、その意見に配慮して、指定居宅サービスを提供するよう努めなければならない」こととされている。
このため、介護支援専門員は、利用者について、法第27条(要介護認定)第5項第1号、第2号に係る認定審査会意見が付されているか否かを被保険者証により確認し、「認定審査会の意見及びサービスの種類の指定」が付されている場合には、これを転記し、これに沿った居宅サービス計画を作成するとともに、サービス担当者間の共通認識として確認しておく必要がある。

⑮ 「総合的な援助の方針」
[理由]課題分析により抽出された、「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」に対応して、介護支援専門員をはじめ各種のサービス担当者が、利用者の自立を援助するために、どのようなチームケアを行おうとするのか、ケアチーム全体が共有する理念を含む援助の指針を具体的に明らかにする必要がある。
ここでは、利用者及びその家族の自立を阻害する要因や、問題の所在、自立に至る道筋を明らかにし、「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」の解決のための目標、具体策を示した上で、総合的な援助の方針が記される必要がある。
なお、「総合的な援助の方針」及び以下の「援助目標(長期目標・短期目標)」、「援助内容(サービス内容、サービス種別等)」などは、利用者及びその家族の状況の変動によって随時見直される必要があることは当然である。
さらに、あらかじめ発生する可能性が高い緊急事態が想定されている場合には、対応機関やその連絡先等について記載することが望ましい。

2 第2表:「居宅サービス計画書(2)」
① 「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」
[理由]「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」を明確にすることは、居宅介護支援の最初の段階である。様式としては、「総合的な援助の方針」が先に掲げられているが、この「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」を明確にせずには、「総合的な援助の方針」が立たないことは当然である。
なお、「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」については、次の2点が重要である。
○生活全般にわたるものであること。
居宅サービス計画は、その達成により、介護や支援を受けながらも家庭や地域社会において可能な限り自立した生活を営むことができることを目的として作成するものであり、利用者及びその家族の解決すべき課題は、介護の問題のみにとどまらないこともある。
介護保険給付以外の社会的な制度やその他のサービス、私的な援助などにより解決されるべき課題についても、居宅サービス計画に位置付けるよう努めることが大切である。
○自立の阻害要因と利用者及びその家族の現状認識が明らかにされていること。
利用者の自立を阻害する要因等を分析し、解決すべき課題を設定するとともに、利用者及び家族の現状認識を明らかにする。また、多くの場合、解決すべき課題は複数の連動した相互関係を持つため、全体の解決を図るためには緻密なプログラムが必要となる。利用者の自立を阻害する要因等の相互関係を構成する個々の解決すべき課題について明らかにし、それを解決するための要点がどこにあるかを分析し、その波及する効果を予測して優先順位を付した上で、解決すべき課題をとりまとめ、対応するサービスとしてどのようなサービスが、どのような方針で行われる必要があるかが思考されなければならない。ただし、この優先順位は絶対的なものではなく、必要に応じて見直しを行うべきものであることに留意する。
[参考条文]
・厚生省令第38号第13条第6号
・厚生省令第38号第13条第12号及び第15号

② 「目標(長期目標・短期目標)」
[理由]「目標」は、「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」に対応して設定されるべきものである。
通常において、解決すべき課題の達成は、段階的に行われるものと考えられ、綿密な計画的支援の積み重ねが必要となる。「目標」を、「長期目標」と「短期目標」に区分するのはこのためである。
したがって、「長期目標」を達成するための各段階を「短期目標」として明確化し、計画的支援に結びつけるのがこの「目標」のねらいである。
すなわち、必要な「サービス内容(→④参照)」は、主として「短期目標」に対応して導き出されるものであり、明確な「短期目標」が設定されなければ必要な「援助内容」やその援助方針を明確にできないこととなる。

③ (「長期目標」及び「短期目標」に付する)「期間」
[理由]「長期目標」・「短期目標」のいずれにも、「期間」を設定することにしている。目標は達成するために立てられるものであり、目標を達成するために居宅サービス計画があるものである。
この「期間」を設定する理由としては、計画的に支援するということと、期間の終期に目標の達成が図られているか居宅介護支援の評価を行うことにより、例えば、長期間にわたって漫然とした支援を行うようなことを防止するという二つがある。

④ 「サービス内容」
[理由]「短期目標」の達成に必要な最適のサービスの内容とその方針を明らかにする必要がある。
この際、同種の居宅サービスであっても、そのサービスの特性や利用者の希望などにより、いずれの居宅サービス事業者のサービスが最も相応しいかを評価・選択し、「サービス種別」欄に記載していく順番となる。
なお、この際、できるだけ家族が行う援助の内容も明確に記載し、外部サービスと併せて、全体として、どのようなサービス体制が組まれているかを明らかにすることが重要である。
また、特にインフォーマルなサービスや他の制度等に基づくサービス等においては、当該居宅サービス計画作成時において既に行われているサービスがあり、そのサービスがニーズに反せず、利用者及びその家族に定着している場合には、これに配慮し、調和のとれた居宅サービス計画とする必要がある。ただし、介護支援専門員は、必要性が少ない居宅サービスの漫然とした延長等については当該居宅サービスの意義等を十分説明し、理解を得る必要がある。

⑤ 「保険給付の対象となるかどうかの区分」
[理由]「サービス内容」には、保険給付の対象となる居宅サービスのみならず、市町村が実施する一般老人保健福祉施策、家族や近隣などのインフォーマルなサービスを含むため、保険給付対象内サービスのみを対象とする給付管理票への転記を容易にするため、本欄を設ける。

⑥ 「サービス種別」
[理由]「サービス内容」及びその提供方針を適切に実行することができる居宅サービス事業者を選定する必要がある。
なお、家族が担う介護部分については、介護者を特定して明らかにしておく必要がある。

⑦ 「頻度」・「期間」
[理由]「サービス内容」に掲げたサービスを、どの程度の「頻度」で実施するかを明らかにする必要がある。
「サービス種別」、「頻度」及び「期間」は給付管理に直結しており、「頻度」を明らかにすることによって、居宅サービス計画の内容を、利用者及びその家族、各種サービス担当者間で定期的に合意・確認することに役立つのみならず、支給限度額内外において如何に効果的にサービスを組み合わせるかを考える要点が明らかとなる。

⑧ 福祉用具貸与又は特定福祉用具販売のサービスを必要とする理由
[理由]福祉用具については、利用者の心身の状況に合わない福祉用具が提供されることで自立を妨げてしまうおそれもあり、自立支援の観点から、適切な福祉用具が選定され利用されるように、福祉用具を必要とする理由を把握することが重要である。

3 第3表:「週間サービス計画表」
① 「主な日常生活上の活動」
[理由]利用者の起床や就寝、食事、排泄など主要な日常生活に関する活動を明らかにし、対応するサービスとの関係がわかるようにする。

Ⅴ 「サービス利用票(兼居宅サービス計画)」について
居宅介護支援事業者は、Ⅳに定める「居宅サービス計画書」において作成された居宅サービス計画の内、保険給付対象内のサービスについては、サービスの実績管理(給付管理票の作成)を月を単位として行い、その結果を国民健康保険連合会に提出するという、一連の「給付管理業務」を行うこととなる。
また、「居宅サービス計画」に位置づけた指定居宅サービス等は、保険給付の対象となるかどうかを区分した上で、当該居宅サービス計画の内容について利用者又はその家族に対して説明し、文書により同意を得なければならないとしており、「給付管理業務」が月を単位として行われるため、当該「居宅サービス計画の説明及び同意」についても月毎に確認を要することとなる。
このため、Ⅳに定める「居宅サービス計画書」のうち上記内容を踏まえ月毎単位で作成するのが「サービス 利用票(兼居宅サービス計画)」である。
なお、利用者に「居宅サービス計画の説明及び同意」を得るにあたっては、当該「居宅サービス計画書」の第1表から第3表まで、第7表及び第8表を提示しなければならない。

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