~ 士衛塾空手を通して、伝えたいこと 56 ~

伊藤龍吾

伊藤龍吾

テーマ:伝えたいこと


 士衛塾山梨の門下生に向けた、私からのメッセージを転載します。

2022年 4月号 士衛塾山梨ニュースより

 この間感じたことなどを、こちらに書いています。ぜひ、皆さまご一読いただければ幸いです

■ ロシアとウクライナ ■
 ロシアにもウクライナにも、空手の仲間がいます。それが争っているのは切ないし、心が痛いです。以前ロシアに行った際に通訳をしていただいたマリヤさんという方に連絡をしてみました。マリヤさんの親戚がウクライナにおり、家がなくなってしまったそうです。ウクライナにはロシアの人々の親戚も多いと聞きます。侵攻されているウクライナの人々はもちろんですが、ロシア人でさえ、親戚の住む国へミサイルや爆弾が投下されている光景はいたたまれないことでしょう。
 日本で例えると、実家が山梨にある、東京の人々。東京が山梨に侵攻して、実家がある山梨が攻撃されているような感じでしょうか。心中穏やかであるはずがありません。 
 結局のところ、いちばん被害を受けるのは、その国々の人々です。国と国との競い合いは武力ではなく、スポーツなどで競うのが一番です。
 ロシアには、空手の世界大会で5回ほど冬の時期に行きました。たくさんの思い出があります。ウクライナには、極真館の盧山館長の奥様とご家族がいらっしゃいます。無事にポーランドの支部長らの手配で日本に来ることができたそうです。
 戦争のない平和な社会だからこそ、日常の社会活動ができます。戦時下での習い事や塾などできるはずがありません。これ以上、犠牲者が増えず、終結を願ってやみません。
 なお、私が事務局の2つの県の医療団体でロシアのウクライナへの侵攻へ抗議する声明を発出し、駐日ロシア連邦大使館と在日ウクライナ大使館に郵送いたしました。また、マスコミ発表をし、3月10日の山日新聞などに掲載されました。

■ 静空塾ジュニア大会 ■
 2月27日に開催された静空塾主催の第16回静空塾ジュニア空手道選手権大会は、3名の入賞者でした。今回もデビュー戦や試合経験の浅い子が中心に参加しました。
 勝って嬉しいし、負けて悔しい。それが経験値として蓄積されるはずです。同じ学年でも、自分よりも強い子はたくさんいる。道場の練習だけでは分かりませんが、外に出てみるから分かります。それに気づくことができれば良いのです。
 大切なのは、今の自分自身の置かれている状況に「気づく」ことです。何もしなければ気づくことはありません。一歩でも二歩でも前へ動くからこそ気づくことができます。
 大会は感染対策もしっかりとされていました。この時期に大会を開催していただき、本当にありがたいことです。

■ 守ること、攻めること ■
 私個人的には、「守る」ことは、非常に難しいと考えています。むしろ「攻める」方が容易い。
 私自身、仕事では県の医療団体の事務局長を任せていただいておりますが、一般的な商売と違い、加入している医師・歯科医師の会費が収入の大きな柱です。勤務して30年近くになります。組織は放っておくと衰退します。それは加入者の死亡や閉院などの自然減があるからです。ですから、常に新しく医師・歯科医師に加入していただくための諸事業とともに、組織拡大を念頭に、会員を増やしていくための努力が必要です。常に新しい情報を仕入れ、要求を実現するための行動をし、会費を払っていただくメリットをお返しする。日常診療の様々な相談に乗り、解決へと導いていく。他の医療団体や他県の同団体との会議や交流を常に行って連携している。
 そこには「守る」よりも「攻める」姿勢で常に開拓していかなければなりません。「守る」べきものは、団体の理念や存在意義であり、事業は守りつつも常に「攻めて」拡大を意識することが大事です。なんだか空手の道場運営と一緒ですね。
 今を「守り」たければ、行動して「攻める」ことが大切だな思っています」しかし、いまでは、コロナ禍でもあるため、守ったり攻めたりが難しいのかもしれません。「感染防止対策をしっかりして身を守りつつも、行動は攻める」みたいな感じですかね。

■ 330 ■
 伊藤家の車のナンバーは「330」です。サトウでもミサワでもサザンオールスターズでもございません。
 これは亡き士衛塾の木村総裁の誕生日が3月30日のため、TEAM330というのが存在し、新潟や山梨では330のナンバーをつけています。
木村総裁は、とてもこだわりのある方で、車はもちろんですが、以前、使用していたワープロはパナソニックの〇△×-330という機種使用していました。また、指導員クラスの空手衣はミツボシのK-330という品番です。
 このこだわりが士衛塾の「良きこだわり」として引き継がれています。
 一流の道場は、一流のものを身にまとい、一流の発想から一流の行動をする。安ければいいのではなく、あくまでも「品質」にこだわる道場です。そこが他道場と違い、士衛塾の素晴らしいところでもあります。

■ フォーマルとカジュアル ■
 上記を書きながら、ふと思い出したことがあります。かれこれ10年も前のことですが、私の仕事の医療団体の定期総会で「高校生の貧困」について高校の教職員組合の先生にお話しいただきました。特に当時の大変な高校だった、E高校、EN高校、KY高校(統廃合されている高校もあります)の3校で、この学校の共通した問題点として
 ① 退学率が高い。不登校、いじめ等による退学が後をたたない。
 ② 学習意欲が低い。こんな勉強何の意味があるのかとばかりに、サボる、騒ぐ、寝る。
 ③ 高校レベルの授業では、まったく着いていけない。
 ④ 貧困家庭の子どもらが多い。
 ⑤ 喫煙、万引き、喝上げ、リストカット、自殺未遂、自暴自棄が目立つ。
 ⑥ 見下す教師には、心を閉ざす
があるそうです。
 講師の先生には、様々な事例をお話しいただきましたが、このお話の中で上記と関係するのが、私もこのニュースの中で度々書いたりしていることです。原文のまま紹介します。
【生徒らは、マナーを知らない。
 あるとき、担任の結婚式披露宴にクラスの生徒らが招待された。ほとんどの生徒らは制服姿で参加したのであるが、そんなことを知らないB君は、オレンジ色のTシャツと白い短パン、ゴム草履で来てしまった。礼服姿の参加者の中で、一人場違いなスタイルで参加していた。親や兄弟たちは、その格好で披露宴に行くことを良しとしたのだろうか?誰にも相談しないで、勝手に来てしまっていたのだろうか?確かに、今の高校生にとって、フォーマルとカジュアルを使い分けることはなかなか難しい。家庭に於いて結婚式や告別式が何度か行われた家ならともかく、そういう機会に恵まれなかった家では、このフォーマルとカジュアルは解らない。卒業式や入学式に参加しているだろうと言われても、そのような意識を持って参加している訳ではないので、何がフォーマルで、何がカジュアルかなんて解らない。アメリカの高校では、年に何度かのダンスパーティーが開催され、この席には全員がフォーマルで参加する。毎週、日曜日のミサに参列する際も、フォーマルが当たり前だ。制服を着崩して着用することが、格好いいという情報が氾濫している日本では、なかなか高校生あたりにフォーマルを定着させることは困難だろうが、貧困家庭では、そのアドバイザーがいない。入学式の日に、クラブのママのような場違いの格好と化粧で参加してくる母親や、紫のスーツに、ドラゴンの刺繍がはいった黒シャツを合わせてくる父親らも、フォーマルを教えてもらって来なかったのかもしれない】以上です。
 空手において、稽古はフォーマルであると考えています。
 ですから、自由にしても良いよという練習以外は空手衣着用となります。男子の上衣は、素肌に空手衣が基本ですが、男子も女子も中に着る場合は士衛塾のオリジナルのTシャツやトレーナー、パーカーを着用してください。
 最近、肌着や私服を着ている方を見ますが、決まりは守るようにしてください。入門した時期の関係でオリジナルTシャツ等を購入ではなかった場合は、ご相談ください。
 また、私にとって通常の稽古以外の試合や合宿、その他の行事は最大のフォーマルです。なので、通常の稽古の空手衣にプラスして、組手試合用の空手衣、型試合用の空手衣、行事用の空手衣などに分けています。
 組手の試合の前には、組手用の空手衣にアイロンがけをします。どうせ一度袖を通せば着崩れてしまいます。しかし、古くてもシワのない空手衣を着ることとアイロンがけという手間をかけること、それがその試合や行事に対しての自分自身の心構えとフォーマルとしての位置づけにつながります。
 例えば、私が最高師範の行う稽古にシワシワの空手衣を着て参加するのは大変失礼だと思っています。貴重な機会を普段通りではなく特別な機会だと思って参加するからです。着るものが違えば心構えも違います。
 野球でも練習のユニフームと公式試合用のクリーニングされたユニフォームと違います。
 シワのないピシっとしたものを着ると心もピシっとするものです。逆にジャージやスエットなどはリラックスできます。
 前項で述べた、一流の道場は一流のものを身にまとい…とあるように、しっかりしたものを身にまとうことで、一流の心構えになるはずです。

■ マスターズ組手まつり ■
 3月13日に川崎市のカルッツ川崎で行われた「マスターズ組手まつり2022」に参加しました。
 40人越えの参加者で、様々な団体・流派・会派の方たちが参加した組手まつりでした。この組手まつりには初めて参加しましたが、どこの組手まつりにしても本当に楽しく、面白い、そして汗をいっぱいかける。道場だけの稽古だと、初めて手合わせする人はほとんどなく、慣れた顔ぶれですが、外へ出てこういったものに参加すると、初めて手合わせする人たちばかりで、まるで試合のようです。ライトコンタクトで行うので、攻撃よりもしっかりとした受け返しが必要となってきます。
 1分10ラウンド・インターバル20秒を1セットで休憩をはさみながら行いましたが、休む暇がないため、とても良い稽古となりました。何年ぶりだろうの先生と合えたり、いつもの顔ぶれだったりと、この歳になって仲間がどんどん増えていくのは楽しいです。
 今回、15分間だけ「先生方への技術質問コーナー」というのがあり、私は他の先生に質問をしました。「先生はいつもトレーニングの動画をSNSにあげていますが、トレーニングを続けるコツはなんですか?」と。
 先生は「SNSにあげるというのもモチベーションなんだけど、1分で済ますトレーニング(1分あれば腕立て結構できますね)をすること。24時間の内、たった1分だけでいい。ご飯を食べる前だったり、何かする前だったり。その積み重ねが1か月、1年経った時に、結果として表れてくる。稽古と一緒です」。
 その他にも勉強させていただき、今回もたくさん大切なお土産をもらって帰ってきました。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部

世界大会入賞者を多数持つ士衛塾では、初心者から上級者まで、目的に沿った指導ができます。指導者はプロとして自覚と誇り持ち、常に研究と勉強・実践を怠りません。一流の道場からは一流の選手が育ちます。

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