~ 士衛塾空手を通して、伝えたいこと 36 ~
士衛塾山梨の門下生に向けた、私からのメッセージを転載します。
2021年 12月号 士衛塾山梨ニュースより
この間感じたことなどを、こちらに書いています。ぜひ、皆さまご一読いただければ幸いです。
■ スランプ ■
先月の話の続きにもなりますが、JKJO全日本大会のその後の話しとなります。
組手の練習で久しぶりに金丸優奈が「涙目」になっていたので理由を聞いたところ「距離感が上手くつかめない。組手が上手くできない」とのことでした。
優奈は、全日本大会以来、目指す人物に近づけようと、今までの自分自身の組手を改造している最中です。私としては、今までの優奈の組手「猪突猛進(笑)」からの変化に戸惑っていて組手がし難いのですが、当の本人も戸惑っていて「上手くいかない」ということになっています。
プロのスポーツ選手でもフォームの改造を行うと一定「上手くいかない」ことが多く、スランプに陥る場合があります。優奈の場合は正にこのことと同様で、今までの自分から進化するために取り組んでいることでスランプに陥っているのです。ここで、上手くいかないから「元に戻って」しまうと、進化は望めませんが、上手くいかない中でも、回数を重ねることにより、それに慣れて自分のものにできれば「進化」できます。いわゆるスランプから脱出できたということになります。上を目指したことによって立ちはだかる、スランプ=「壁」は必ず超えることができます。なぜならそれは他人を超えるのではなく、自分自身が作ったモノを超えるからです。自分で超えられないものは作らないし、そもそも想像外の目標は作りません。自分自身で設定したこと、必ず超えることができます。進化した優奈を見るのが楽しみです。
■ 偶然ではなく必然 ■
この優奈の取り組みの「そもそも」は、二回戦で全日本の女王と戦ったことです。一回戦を勝たなければ対戦できなかった。つまり、いま進化しようとしている優奈はいなかった。一回戦を勝利することができ、二回戦で女王と戦うことができたこと。これは偶然か必然かと問われれば「必然」だったということになります。全ては優奈が進化するために必要な出来事だったといえます。失敗経験を生かし、成功を手に入れることは、ただの失敗ではなく、「成功するために必要な失敗」となります。
試合やその他の目標でもいいのです。そのために一生懸命に取り組んだ練習は、人を変える大事な事柄の一つです。行動は、人を変えます。まず、動かなければ何も始まらないし、変わることはありません。「偶然」でスルーして終わらせるか「必然」として進化をするかは自分次第です。
■ そして進化 ■
そして、最近の優奈の組手が変わってきました。意識した練習の成果でしょう。短期間のうちに変わり始めました。今までの優奈の動きの予想をはるかに超える動きをするため、相手をしていて戸惑うことが多々あります。黒帯になってなお短期間でここまで変わるとは、素晴らしいことです。今までも進化をテーマとして練習に取り組んできたはずですが、このタイミングで進化するということは、やはり偶然ではなく必然なのかなと思うし、途中で諦めずにやってきたからこその今だと思います。
■ さらに他にも進化が ■
先般、甲府東支部の生徒に課題を出してみました。LINEグループを使い、「下段払い十字移動稽古」の動画を送って、家で練習してきてください、というものでした。練習中に生徒に聞いてみたら、案の定というか、予想通りというか、やってきた子は少なかったです。しかし、その中でもたった一週間で目を見張るほどできてきていたのが渡邊陸斗でした。小学一年生ながら、動く方向をしっかりと覚えてきました。技の動きも素晴らしく速くできるようなーになりました。毎日練習したそうです。豊川恵大も結構できるようになっていました。今まで、ほとんどできなかった子たちが課題を与えられたことによって、練習し、その努力によって、できるようになるという当たり前といえば当たり前ですが、その当たり前のことができるかどうかがとても大事なことだと思います。組手でいえば、保坂傳はすごい勢いで強く、上手になっています。家での練習の成果です。まずはなんとなくでもいいので形を覚えること、そこから上達するための練習が始まります。何にも覚えていないのでは、上達する練習にはほど遠いです。
一般・シニアでも進化はすごいです。一般では橋本佳尚さん、シニアでは小野浩二さん、中村仁実さん。特に組手のデビュー戦を控えた中村さん目を見張るような進化が起こっています。中村さんは、以前型の大会に初出場する際も、基本が目まぐるしく上達し、キレイな技を行えるようになりました。何かがあると人は進化するという良いお手本になってくれています。
私が空手を習い始めた頃は、こう教わりました。「道場での稽古は本番。新しいことを教わり、覚え、それを家で練習してできるようにし、次に道場に来た時に師範に見てもらいOKをもらい。また新しいことを教わる」。今回紹介した子たちの行いは、正にこのことです。子どもの努力もですが、ご家庭でのご協力があってこそです。
■ いつでも誰にでも起こすことができる ■
このように、初級でも上級でも、いつでも誰でもこれらのことは起こすことができます。年齢、性別、経験年数は全く関係ありません。必要なのは「きっかけを作るために、まずは行動すること」です。そして「変えたい、進化したい」と思い、「それを意識して練習に取り組む」こと。そして「何度失敗しても諦めない」ことです。試合はもちろん、人生に勝つ武器やアイテムはたくさんあった方が良い。空手を通して武器やアイテムを手に入れる方法を身につけましょう。
■ 親子で一緒に空手 ■
空手は生き方を楽しむためのもの。私自身34歳で子どもたちと一緒に始めました。子どもがもらってきたチラシに「バット6本折り」「瓦10枚割り」などと写真が載っていて、「おぉー、これはすごい、やってみたい」となって、一緒に習うこととなりました。見学に行った日、準備体操でもう辞めようかと(まだ入会もしてないのに)思いましたが、子どもの手前逃げ出すこともできずに入門しました。もちろん続けていく際には、山あり谷ありでしたが、乗り越えてしまえば楽しい出来事です。たくさんの骨を折り、持病だった腰椎椎間板ヘルニアの症状で痛くなり、寝たきりになることもしばしば、最終的には手術もしました。私の記念撮影は医療機関でのレントゲン撮影ではないかというくらいたくさん撮っていただきました(笑)
空手を習うメリットや身につくことは、いつも言っていると思うのですが、今回は特に「親子で空手を習うメリット」をいくつか考えてみました。「同じ趣味で会話ができる」「一緒に同じ時間を過ごすことができる」「一緒に一生懸命汗をかくことができる」「お互い、競い合い、教えあうことができる」「成長を身近に見ることができる」「親としての足りないところが自覚できる」「子どもってすごいことがわかる」「親は子どもを尊敬、子どもは親を尊敬できる」「お互い叩きあい、蹴りあい(組手です)成長できる」でしょうか。私の立場とは別に他の先生たちにも聞いてみました。
【伊藤帆南先生】
まず、この歳まで親子で一緒にできる事自体が滅多にないと思います。
親が汗流して稽古している姿を、小さい時からずっと見ていて、負けてられない!自分も頑張ろう!って気持ちになります。
空手の事が多いですが、自然と家族の中で会話も増え、毎日を楽しく過ごしています。今も試合に出てる姿を見て、「親が試合に出てる年齢まで私も試合に出続ける」という目標ができました。
親子でも兄妹でも切磋琢磨していけることが一番良いと思います。
【藤巻英貴先生】
昇級・試合など、同じ目標に向かって頑張る事が出来た。思っている以上に、子供が凄い事を実感出来た。親として子供達に負けたくなかったので、必死になる事が出来た
【藤巻美琴先生】
共通の話題がある事で親子の会話が多いこと。新しい技を覚える時などに、難しさや大変さの理解があり、一緒に切磋琢磨できたこと。出稽古や遠征に協力的に連れて行ってもらえたこと。
【藤巻明日香先生】
空手を通して共通の話題ができる。一緒にやっていることで,親が大変さを理解してくれる。遠慮なく組手ができる。
【伊藤里紗先生】
ぜひ親子で一緒に読んで頂ければと思います。親の世代では当たり前のように出来るであろう、走る・スキップをする・片足立ちでバランスを取るなど、現代の子供達の運動能力・体力テストの数値低下が起きています。
昔とは違い現代の子供達は外で走り回ったり、元気良く大きな声で遊んでいると、「子供の声がうるさい」などと近所から苦情が入ったりすることも少なくありません。防犯の面でも不安なことが多く、目の届かない所では遊ばせることが出来ないという心理が働く事もあります。結果として、不本意ながらも家事をしながら家の中でゲームやYouTubeを見させておくなんて事もあるのではないでしょうか。また他にも様々なことが考えられます。両親の共働きが増え、多様な勤務体系により家族で一緒に食事が出来なくなる孤食。親子で一緒に過ごす時間はより一層減るばかりです。
子供達の運動能力低下・体力低下は前述の通りですが、親世代も仕事や家事に追われ、自由に過ごせる時間の確保が難しく、年齢とともに体力低下が起きているのではないかと思います。そこで私が、ぜひ皆さんにオススメしたいのが「親子空手」です!
体力向上・一緒に過ごす時間を増やすことが出来る「親子空手」。
同じ目的・目標を持ち、決まった時間に親子が一緒に汗を流し、喜び・楽しみ・痛みを分かち合う。1人では辛かったらすぐ諦めてしまうかも知れない。しかし頑張っている親の姿を目の当たりにすることで、その背中を見て子供は「もう少し頑張ってみよう!」という気持ちが芽生えるのではないかと思います。
また自然と会話の中でも「あの時あの技どうだった?」「パパ!あの時全然出来ていなかったじゃん!」「もっと一緒に頑張ろう!」など、親子で同じ時間・空間・経験を通して共感出来るのではないでしょうか。
学校や職場では感じることの出来ない、新しい経験や出会いがあるかもしれません。
私たちと一緒に「親子空手」を始めてみませんか!?
■ ガチャガチャ導入 ■
本部道場に「ガチャガチャ」を導入しました。本部道場の練習に10回参加すると1回、回すことができます。外れはありません。記入するスタンプカードも作成しました。親交のある空手道四葉会山田道場(元極真館 埼玉県比企支部)を参考にさせていただきました。導入にあたっては結構迷いましたが、遊び心は忘れてはいかんなと思い導入しました。まさか子どもの頃はもちろん、大人になってからも時折やっていたガチャガチャを自分自身が購入するとは…。人生なかなか面白い。「迷ったらGO!」です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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