マイベストプロ山梨
伊藤龍吾

「日本人の心」を追求する空手指導のプロ

伊藤龍吾(いとうりょうご) / 格闘家

新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部

コラム

試合での選手と応援のマナーの徹底について

2021年12月3日

テーマ:空手の日常

コラムカテゴリ:スクール・習い事



門下生並びに保護者の皆様へ

2021年12月3日 士衛塾山梨 伊藤龍吾

試合での選手と応援のマナーの徹底について(2009年10月にお知らせしたものを加筆修正)

■ コロナ禍の中で
 現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止ため、様々な制限や制約が設けられています。
 会場を貸す施設側は、大会を開催する主催者に対して開催にあたっての諸条件を提示し、その条件を満たすことで貸し出しが許可されます。大会の主催者は、施設側との貸し出し条件をもとに、参加者に対して、感染拡大防止における制限や制約をお願いしています。参加者・主催者が条件を遵守し、施設側から会場を貸していただき、大会が開催できます。みんなが約束を守るからこそ、大会が開催できます。
 現在、感染防止対策のため、試合での選手や応援の仕方も変更されている部分もございます。そちらを優先させてください。下記に書いたことは一般的な事柄としてご承知おきください。

■ スポーツでも格闘技でもない「武道」としての「試合」
 スポーツや格闘技は、選手もサポーター等も共に、試合中に喜びや悔しさなどの感情を露わにし、時にはヤジり、ブーイングをしたりして一体感を持って楽しむのが良いところです。
 一方、私たちの行っている空手は「武道」と呼ばれます。武道とは日々の厳しい鍛錬と稽古を通じて心身ともに強くなると同時に礼節を重んじるものです。他者との勝ち負け「だけ」にこだわるものではありません。戦うのは「己」です。スポーツや格闘技とは違い、感情表現を表に出さずに冷静沈着に行うのが武道のたしなみです。
 武道としての「試合」は、「ためしあい」でもあります。日々の鍛錬の成果を試す場であり、学ぶ場です。「試合」ですから当然「競技」として勝ち負けにこだわるのも良いでしょうし、こだわるのは当然だと思います。しかし、そこだけにこだわってしまうと、多くのものを見失ってしまう危険性も存在します。「勝ち方」や「負けた時にどう学ぶか」が重要で大切なことだと考えます。「敗者=ダメな者」では決してありません。試してみて自分が負けたという結果を理解し、レベルアップのためのきっかけとすればよいのです。勉強でいうテストと同様です。テストでできないところが分かり、そこを勉強することで100点に近づきます。試合に出てみないとそれさえも分かりません。

■ 試合でのマナー
 私たちの行っている空手は、子どもに対して礼節を教育する場でもあります。保護者も見本となることが求められます。様々な大会において、選手はもちろん、保護者等の応援のマナーが特に重んじられています。
 試合を運営や審判を行うにあたって、まず大切にすることは選手の「安全」に最大限注意を払います。ケガをしないよう必要最低限の防具類の着用を義務付けます。圧倒的な体格差や実力差がある場合は、特に注意を払います。このように、審判がいて、防具類の着用等で安全性が確保された上での試合なので、しっかり「技を競う」ことが大切です。

■ 選手のマナー
 選手は色々な思いを背負って試合に臨みます。それは相手選手も同じです。相手の選手が全力で戦ってくれるからこそ、勝っても負けても自分自身に課題を与えてくれるので、相手に感謝してください。まれに、試合に負けてしまって対戦相手が挨拶に来ても無視をしたり態度が悪い選手がいますが、見ていて見苦しいしく「武道」から外れています。
 また、自分の試合前にアップしたりコンディション調整で休んだり仮眠をするのは構いませんが、それ以外は仲間の応援や試合を見て勉強してください。大会は沢山の選手がいます。いろんな技や攻撃パターンを生で見ることが出来る宝の山です。
 具合が悪いのは別にして、自分の試合が終わったからと言って、応援してくれた仲間の応援をしなかったり、遊んでいたり寝ていたりするのはいけません。仲間を応援しましょう。
・試合会場では遊ばない。遊びに来ているわけではないし、遊び場ではありません。目的を勘違いしないで下さい。応援に来た家族も同様です。
・まず、声は大きく元気良く。そういう人が勝っています。逆に小さい声は恥ずかしいことです。自分に自信を持って試合に挑んでください。
・アップは、出来る場所が決まっている場合がありますので守ってください。
・ヘルメット等を着けてもらったら「オス、ありがとうございました」と感謝の気持ちを持ってお礼を言いましょう。
・名前を呼ばれたら「オス」と返事をして、コートに入るときに頭を下げて「オス」と一礼してから入ります。(大会によっては正面とコートの両方に一礼する場合もあります)
・開始線までは走っていきましょう。
・正面を向き、十字を切って手を前に出して構えておいてください。
・挨拶は、腰を折って頭をしっかり下げて大きな声で言います。
・主審が「構えて」と言った時に、開始線を踏まないように気をつけましょう。
・相手選手を挑発するような言動は行わないこと。
・反則はやっていけないことです。回数や程度ではなく、行わないようにしてください。また、当たり前ですが、反則を故意に行うことは絶対にダメです。試合は教育の成果を出す場所です。
・主審の「止め」の合図がかかったら、すぐに止めること。
・特に倒れた相手への攻撃は絶対に行わないこと、自分自身の技をきちんと制御できるようにしてください。
・試合は実力が拮抗している場合は、声や積極性も判定材料になります。声を出し、自分から積極的に攻めてください。
・試合が終わったら、正面を向き、十字を切って手を前に出して構えておいてください。「雄叫び」はしてはいけません。
・試合が終了したら、挨拶は腰を折って頭をしっかり下げて大きな声で言い、必ず両手で握手してください。
・喜びを表現したり、ガッツポーズは大きい小さいに関わらす、すべてにおいて禁止です。
・コートを出るときは頭を下げて「オス」と一礼してから出ます(大会によっては正面とコートの両方に一礼する場合もあります)。ヘルメットはコートを出るまでとらないように注意してください。
・勝っても負けても、相手選手のところに行き再度「ありがとうございました」とご挨拶をして下さい。

■ 応援のマナー
 応援のマナーも重要視されています。
 応援者のマナーとして、審判に対する暴言や判定に対する不服、相手選手に対する誹謗中傷等の暴言は禁止です。あまりにひどい場合は、選手が失格になる場合があります。
 熱くなる気持ちは良く分かりますが、応援者のマナーの良し悪しが、選手個人はもちろんですが、士衛塾自体の評価につながることを、ご承知おきください。士衛塾は見本となるような道場を目指しています。
・大会は青少年健全育成を目的にしています。参加者の服装につきましては、周囲を威嚇するような、凡そ青少年大会に不相応な格好は控えてください。また、会場内では脱帽をお願いします。
・セコンドとしてコートに入り応援する場合は、選手と同様に、正面、主審、相手のセコンドに一礼をして座ってください。
・判定を行うのは、熟練された審判です。審判に対する批評、技ありや反則、勝敗等の判定に対して「入った」とか「えーっ」「今のは入ってないよ」とかは言ってはいけません。
・相手選手に対して下段や腹を「効いてる、効いてる」とか、「嫌がってる」とか相手選手に関わることは言ってはいけません。「やっちめー」とかもだめです。床を足でドンドンするのもだめです。あくまで自分の選手に対して、品よく節度ある「応援」「アドバイス」をして下さい。特にジュニアの大会では対戦相手も自身のお子さんと同じ子どもです。「効いてる効いてる」ではなくて、「お腹を突いて」とか「下段を蹴って」とかは良いです。
・まれに、不甲斐ない試合をしている我が子を見て、まだ試合中なのに怒り出す親がいますが、やめてください。それでも子どもは頑張っています。
・試合に負けても、大声で怒鳴ったり、叩いたりするのはやめてください。子どもは、一対一での真剣勝負の場で、ものすごく緊張して、怖い思いもしながら、それこそ必死で戦っています。
・副審や、運営スタッフのテーブルの真後ろから大声で応援するのはやめましょう。公正な審判と運営の妨げになります。

■ 大事なマナー
 わかっていることですが、試合会場は公共施設です。車の場合の駐車のマナーや会場や備品等損傷等、使い方が悪質だと次から貸してくれませんし、試合でのマナーを含め、守れない団体は大会に参加禁止になります。参加するものとして、主催者の指示に従い行動をすることが大切です。
 ゴミは散らかさない。持ち帰る。靴は揃えて脱ぐ。トイレのスリッパを揃える。綺麗に使うなど、公共の場や多数の人がいる場所では、それが出来ていないのが、悲しいことに様々な大会を見てきて感じることです。自分の家でやらないことは公共の場ではやらないようにすることは大切です。人に見られてないから、誰も何も言わないから、やっても良いのではなく、また、誰々に怒られるからやるのではなく、自分自身の良心の問題です。

■ 礼節を学び、育む場としての大会
 空手は一般・ジュニアを問わず礼節を重んじられます。当然ながら、それを取り巻く保護者や関係者に対しても求められます。特にジュニアの門下生には、当たり前のことが当たり前に出来るようになってもらいたいし、相手・仲間に対する感謝や思いやりの気持ちを育んでもらいたいと思います。その見本となる様に保護者や関係者に対してもご協力をお願い申し上げます。
 士衛塾は、一流の道場にふさわしい実力と礼儀を重んじ、空手界の見本となり、所属している生徒が他流から「士衛塾の生徒は強くて礼儀正しくて立派だ」と言われるようにしていきたいと思っております。
 最後に、道場訓を掲載いたします。

道場訓
一、我々は礼節を忘れる事なく、初心を以って修行の道に徹する事。
一、我々は士衛塾カラテの精神を正義とし、他の模範となる事。
一、我々は弱い者を助け、強い者に屈伏する事なく、己の意思を貫く事。
一、我々は父、母を尊敬し、常に感謝の意を以って修行する事。
一、我々は士道を以って空手の道を極め全うする事。

この記事を書いたプロ

伊藤龍吾

「日本人の心」を追求する空手指導のプロ

伊藤龍吾(新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部)

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