マイベストプロ山梨
伊藤龍吾

「日本人の心」を追求する空手指導のプロ

伊藤龍吾(いとうりょうご) / 格闘家

新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部

コラム

~ 士衛塾空手を通して、伝えたいこと 29 ~

2020年5月20日

テーマ:伝えたいこと

コラムカテゴリ:スクール・習い事



士衛塾山梨の門下生に向けた、私からのメッセージを過去のニュースより転載します。

2019年 12月号 士衛塾山梨ニュースより

■台風19号■
 今秋は台風に悩まされました。台風15号により千葉県などが大きな被害にあいました。10月7日に仕事の関係で千葉県に行き被害にあった医療機関を回り、状況調査を行いましたが、被害は軽度から重度まで様々でした。建物の被害はもちろん深刻ですが、停電の影響で冷蔵庫に保管してあったワクチンがダメになったりしたようです。そうこうしている中での19号です。その復旧には相当な時間を要します。山梨でも中央道の通行止めや中央線の運休で大会のキャンセルを余儀なくされました。
 特に、10月13日に行われたIBKO全日本大会開催については、せっかく代表権を獲得し、出場料も支払ったにもかかわらず、事前に欠場の判断をさせていただきました。
 台風19号は土曜日には通過し、13日には関東地方を過ぎ去り、吹き返しの風の心配はございますが、大会当日は「晴れ」の予報でした。このような状況下で欠場に至った判断には二つの理由がございました。
1、私は、10日から15日まで茨城県で行われる障がい者の国体に参加していましたが、開催地が8年間準備をしてきた、この大きな大会が中止となったこと(10日に出発し、バスの車中で中止の情報が入り、現地で一泊し、帰ってきました)。
2、私が、7日に台風15号で被害があった千葉県の被災者を訪問したことです。千葉の仲間たちも、「台風を甘く見るな」とSNSで発信しています。
 「何もない」のが一番ですが、皆さんの安全を考える立場として、万が一を想定します。様々なイベント等も中止になり、本来なら今大会も中止にすべきと私は考えていました。台風通過に伴う、その後の道路状況や自宅等の被災状況が全く読めません。そして、自宅を出た後、万が一自宅が被災してしまった場合は、対応ができないばかりか、ご近所にも迷惑をかけてしまう恐れがございます。危険な台風が過ぎようとし、過ぎ去った後、危険を冒してまで、いくべきではないと考えます。やはり「安全」が一番です。

■YBSラジオ■
 10月24日(木)、YBSラジオ「ラララ♪モーニング」内の「教えて!マイベストプロ」に出演させていただきました。高校生の時以来のラジオ出演(番組スタッフでした)でワクワクしていました。番組では随分と時間をとっていただき、予定の10分?をかなりオーバーして25分ほど士衛塾空手のこと、空手を始めたきっかけ、伝えたいことを話させていただきました。
 番組内でリスナーの方(高校の同級生です)からメッセージもいただきました。高校の時は良いことも、良くないこともしましたが、さすがに良くないことは話せませんので、直前の打ち合わせで全力で拒否させていただきました(笑)本当に楽しいひと時でした。

■鏡開き、基本錬成大会■
 毎年年始に行っている鏡開きですが、今回は錬成大会を一緒に行うこととしました。常日頃、「基本」と「型」の大切さをお話ししていますが、それを試合として行うのが今回の大会です。型の大会はありますが、基本稽古の大会は初めてです。開催趣旨は大会の案内に書いてございますが、改めて掲載させていただきます。
 【士衛塾では、ほぼ全ての稽古において「基本」を行います。何度も繰り返し基本を行います。基本の中にこそ、応用へと繋がる大事なことが存在します。稽古の流れは、基本→移動→型→組手にあるように、基本を行い、次に移動しながらの基本、そしてそれを組み合わせ、実戦を想定して行う型、そして実戦としての組手へとなります。大会タイトルにある「原点回帰」の通り、応用していく中で、迷ったり、上手くいかなかったり、停滞することが必ずあるでしょう。その時こそ原点に立ち戻って、「基本」を丁寧に行うことで、その解決策が見つかるはずです。いや、見つけるまで繰り返さなければなりません。それほど「基本」は大切なものなのです。この大会では、基本も型も「見せる」ために表現力は求めません。あくまでも基本に忠実であることを競います。基本を正確に美しく行うことが、見る人を魅了する応用へと繋がります。そして、さらに高みを目指すため、幾度となく基本へと原点回帰することを繰り返す中で、自分自身の体の効率的な使い方、力の伝達、力の抜き、軸や重心とはなにか等、競技カラテではなく武道としての本来の空手が理解できるはずです。それこそが武道としての空手の醍醐味であり、修行をしていく中で自分自身の「足りないもの」を発見し、自覚し、それを克服していくための大切な学びです。】
 大切な大会です。ぜひ、ご参加ください。

■足りないところを見つける■
 空手は競技の勝敗が大事なスポーツではなく、武道であり、人生の修行です。白帯(素人)から始まり、職人技を一定身に着ける黒帯(玄人)。そこからさらに腕に磨きをかけていくのが、二段三段・・・という道のりです。
 色帯では、一人前としての黒帯になるために、足りないところを探すことが重要です。技術面はもちろんですが、特に精神面において得手不得手を探し、受け入れ、自覚し、克服するために稽古をすることが重要です。黒帯だからすべてにおいて素晴らしいとは言えませんが、少なくとも色帯よりは自分自身の足りないところ、できないところを一生懸命に練習することによって克服してきています。そして、黒帯という帯色にあぐらをかくことなく、指導の後やみんなで行う練習の後も残って、色帯よりも練習しているのが士衛塾山梨の黒帯たちです。
 特に黒帯まであと一歩の茶帯や紫帯の皆さんは、試練を克服してしっかりとした価値ある黒帯になってください。登山に例えると、下から山を見上げると、「なんて高いのだろう」と思いますが、登ってみると景色はキレイだし、「そんなに大変ではなかった」と思います。空手も同様です。今の帯を取ることに苦労しましたか?取ってしまうとそんなものです。それが努力の証です。例えば、黒帯が一つの頂上だとしたら、あと一歩の茶帯で滑落するのは非常にもったいなく、「最後の試練が乗り越えられない」「いま一歩の人」になってしまいます。与えられた試練をコンプリート出来ず、いまいちな仕事しか出来ない、とても仕事では使えない人です。そうならないためにも足りないところを見つけ、課題とし、その課題をコンプリートし、ひとつ高いところからの景色を堪能してみてください。

■型大会■
 記念すべき第1回AJKF型全日本型大会、お疲れさまでした。上にも書きましたが、組手を強くなるためには、型の意味合いを理解する必要があります。型はとても重要です。笑い話ですが、型ができずに、組手の強い人が海外に行ったときに「何か演武をしてくれ」と依頼され、シャドーを行ったら失笑されたという話もあります。何かの催し物で行うなら、やはり型や試し割りなどでしょう。
 今回、本当に素晴らしかったのは、みんなの「挑戦」でした。特にオレンジ帯の、八巻斗誠、古屋湧成、宮下琉汰、黄色帯の中村伊吹の挑戦でした。そして、伊吹のお母さんの中村仁実さん。言葉では言い表せないくらいの感動と勇気をみんなに与えてくれました。細田勇丞先生も難しい型を短期間でよく覚えました。今の自分自身を少しでも超えるために「挑戦」することの大切さを理解してくれ、実践してくれるのが山梨の良いところだと思います。感謝。
 そして、大事なのはここからです。今回敗退した方たちは、今回の「負け」を「そのまま」にしたら「ただの負け」です。今回の負けを「意味のあるもの」にしなくてはなりません。今回挑戦したことによってレベルアップした自分自身を手に入れたのですから、一生懸命に練習して、「リベンジ」です。失敗を失敗のまま終わらせないで、次の成功につなげれば、過去の失敗は「いまの成功のために意味のある失敗」だったこととなります。せっかく覚えた型、熟練度を上げていきましょう。共に頑張りましょう!

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伊藤龍吾

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伊藤龍吾(新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部)

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