瓦屋根の家で暮らすと快適な生活を送れる理由
どんな屋根材を採用した場合でも、必ずリフォームしなければならない時期が来ます。リフォームすることで傷んだ部分を直し、屋根の機能を復活させることができます。
屋根のリフォームには、主に「葺き替え」や「葺き直し」などの方法がありますが、今回はそれぞれの違いやポイントなどを、瓦屋根を中心にして解説します。
葺き替えと葺き直しの違いとメリット・デメリット
【葺き替え】
葺き替えとは、基本的にすでに敷かれている屋根を全面的に取り換えることを言います。屋根の表面である屋根材だけではなく、下地から全てを交換することになるので、新しい屋根を造ることになります。
<メリット>
葺き替えのいちばんのメリットは、家の寿命を延ばせることでしょう。
葺き替えが必要になる状態というのは、現状が屋根としての機能を失ってしまい、家を雨風から守れなくなっているということです。屋根を一新することで、その機能を回復することができます。
もうひとつは、家全体の外観も一新できます。よほど特殊な形をした屋根でない限りは、屋根材をそれまでとは違った印象に変えることができます。
瓦の種類を変えたり、瓦から他の屋根材、その逆に他の屋根材から瓦に変えることで家全体の雰囲気をイメージチェンジすることができます。
さらに耐震性・耐風性の向上も期待できます。
瓦も全数、釘またはビスで固定され、耐震金具も設置出来るため屋根自体が強化されます。また、屋根の重さも従来よりも軽量化することも可能です。
<デメリット>
最大のデメリットは費用が多くかかってしまうことでしょう。
単純な屋根の部分的な補修と比べて、葺き替えの場合には古い屋根材の撤去と処分、新しい屋根材の調達、さらに職人の人数もそれなりに必要です。
また、大規模修繕となるので施工期間も長くなり、これも費用が高くなる要因になります。
【葺き直し】
葺き直しは、これまで使っていた瓦などの屋根材を再利用してリフォームすることです。
大規模なものであれば、一度屋根材を取り外して、下地である野地板やルーフィングシートを補修、交換して屋根を葺き直します。
小規模で済む場合には、部分的に屋根材を外して部分的な修復を行うだけで済むでしょう。
これらを考えると、葺き直しは耐用年数の長い屋根に限る方法といえます。
瓦屋根の場合でも、瓦自体の耐用年数がどんなに長くても、下地材の寿命は20年程度です。20年に一度は屋根のチェックをして、下地が破損しているようであれば、葺き直しによって修復することが必要です。
<メリット>
まずは、それまで敷いていた屋根材を再利用するので環境に負担をかけない、というのがメリットです。
特に瓦屋根の場合、それまでの瓦を外して再生させることで強度のアップができますし、破損しているならその瓦だけを交換すればOKです。大規模施工にならずとも、屋根の寿命を延ばすことができます。
また、家の外観が変わらないというのも利点です。長年住んで気に入っている外観なのに、屋根の修復で変わってしまった、ということにはなりません。
<デメリット>
破損や割れで一部分の瓦の交換が必要になった時に、製造中止で同じ瓦が手に入らないという可能性もあります。瓦の値段が高くなった、というならまだしも手に入らなければ全面的な葺き替えも考える必要が出てきます。
そして、葺き直しの場合でもその施工行程は葺き替えとあまり変わらないことから、かかる費用にさほど差がない、ということがあります。行程も人件費もほぼ同じであれば、新しい屋根材の費用を足せば葺き替えも可能です。
ある程度大きな葺き直しが必要であれば、コストパフォーマンスを考えて葺き替えを検討するというのもよいでしょう。
葺き替えの必要性
屋根の葺き替えを考える時には、葺き替えが必要な劣化状態やタイミングを見ることが大切です。
前述しましたが、瓦屋根の場合でも下地の耐用年数を考えると、約20年に一度のメンテナンスをして、必要であれば葺き替えを行うことが家全体の寿命を延ばすポイントになります。
【瓦屋根の葺き替えが必要な劣化状態】
葺き替えを考えたい劣化状態としては、
・漆喰やモルタルのはがれや風化
・瓦の大規模なズレや破損
・複数箇所からの雨漏り
などがあります。
これらは業者のメンテナンスでわかることですが、自分たちの普段の生活の中でもわかる劣化状態の症状として、
・築15年~20年ほどで、一度もメンテナンスをしていない
・強風の日に屋根から異音がする
・天井に雨染みができている
・天井がカビっぽい、カビが広がっている
・雨の降った翌日でも湿気が残っている
などがあり、この場合には一度業者に依頼して屋根の状態を見てもらうようにしましょう。
「瓦が破損している」「ルーフィングシートが劣化している」「野地板や桟木が腐っている」などの状態であれば、そのままにしておくと雨漏りだけではなく、家全体の劣化を早める要因となってしまいます。
これはどんな屋根材の屋根にでも言えることですが、最低でも約15年~20年に一度はチェックしてもらうようにしてください。
葺き替え時のポイント
屋根の葺き替え時に考えるポイントとして「何のために葺き替えをするか」ということがあります。
前提としては「劣化や破損を修復する」ということですが、それ以外に「家の外観の雰囲気を変えたい」「もっと耐震性を強くしたい」「より耐久性のある屋根にしたい」などがあります。
葺き替えは屋根材を全く別のものに変えられるので、葺き替えで屋根をどうしたいのかによって屋根材を選ぶことができます。
また、葺き替えは大規模な施工となるので、頻繁に行うことはありません。使っている屋根材の耐用年数を基に、下地材の劣化状態を見ながら業者と相談して行う時期を決めましょう。
主な瓦の耐用年数
【瓦】
・釉薬瓦/約50年~60年
・無釉瓦/約40年~60年
・セメント瓦(無塗装)/約20年