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原田誠

伝統に新しい風を吹き込む「屋根瓦」のプロ

原田誠(はらだまこと) / 職人

株式会社 原田瓦工業

コラム

屋根の形によって変わる瓦選び

2020年1月14日

テーマ:快適な生活送れる瓦屋根住宅

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 屋根修理

屋根は面積が広いため、家の外観や雰囲気づくりに大きく影響します。そのため屋根の形状や瓦の形、色などによって家全体の様相はガラリと変わってきます。

日本の家には、古くから伝わるさまざまな屋根の形があり、見えない部分も含めていろいろな工夫がなされて形成されています。

日本の家の代表的な屋根の種類

日本の家の屋根には多くの形があります。そして屋根の形によって、選ぶ瓦の種類も異なります。その中でも代表的な形を紹介しましょう。

【切妻(きりづま)屋根】
日本でいちばんよく見る形の屋根が切妻屋根です。シンプルな三角形で、本を伏せたような形と言えばわかりやすいでしょう。

比較的簡単な工事で防水処理の欠陥も少なく、トラブルが起こりにくいのが利点です。また、屋根を造る時の役物(軒や袖の材料)も少なく、費用も安く済みます。

【寄棟(よせむね)屋根】
寄棟屋根も多く見られる形です。勾配のある4つの面それぞれが屋根の頂上で合わさっています。
屋根を4方向から寄せて支え合っていることから耐風性があると言われていて、日本の気候に適した屋根と言えます。

ただし、切妻屋根と比べると、棟が多い分劣化すると、その構造から雨漏りがしやすいので、しっかりとした施工やメンテナンスが必要です。

【入母屋(いりもや)屋根】
入母屋屋根は、切妻屋根と寄棟屋根を組み合わせたような形の屋根で、比較的大きな家の屋根に見られます。屋根最上部の切妻部分とその下になる寄棟部分で形成されています。

雨水の漏れが発生しにくく、屋根裏の断熱性や通気性に優れているのが特徴で、日本の伝統的な屋根の形として和風の家に適しています。

接合部分が多いので施工費用が高めになること、防水上の欠陥が発生しやすくなるので、定期的なチェックは行う必要があります。

【陸(ろく・りく)屋根】
勾配のない水平な形の屋根で、フラットルーフとも言われるのが陸屋根です。RC住宅でよく使われる屋根ですが、屋上があるタイプでビルに最適な形です。
さらに、傾斜がなく落雪を防げることから、豪雪地方の家でもよく見られます。

落雪などを防げる一方、傾斜がないことで雨水がたまりやすいので、できるだけ高性能の防水層を選ぶことが重要となります。さらに定期的なチェックも大切です。

【片流れ(かたながれ)屋根】
片流れ屋根は、一方向に向かってのみ勾配のついた形で、切妻屋根を半分に切ったような見た目です。
シンプルで小さな敷地の家にも向いています。モダンな雰囲気で太陽光パネルが設置しやすいというのも利点でしょう。

その形状から防水上の欠陥は少ないのですが、雨水を流す雨桶がひとつしかないので大雨の場合には注意が必要です。

屋根の軒先を飾る、軒先瓦とは?

瓦屋根を形成するには、屋根全面に敷く瓦だけではなく、屋根の軒先に付ける軒先瓦も欠かせません。

軒先瓦は室町時代の瓦大工が発明したもので、繊細な文様や複雑な細工が施され瓦屋根を美しく飾ります。
軒先瓦は、屋根の形や屋根瓦の種類によって最も適した種類を選ぶことでより引き立ってきます。

【万十軒(まんじゅうのき)瓦】
桟の先の部分に小巴を付けた軒先瓦で、よく見られる一般的な種類です。
小巴の形がおまんじゅうに似ていることでつけられた名称ですが、簡単な漢字の「万十」となっています。

【一文字軒(いちもんじのき)瓦】
軒先の下端の部分が一直線のラインになっている種類で、こちらも和瓦などに使います。
他にも垂れを長くした「深垂れ一文字軒瓦」や垂れの部分を内側に付けた「中付一文字軒瓦」、垂れの部分に模様の入った「模様入り一文字軒瓦」があります。
これもよく見られる種類の軒先瓦です。

【花剣軒(はなけんのき)瓦】
「万十軒瓦」の前部分の垂れに模様が入った軒先瓦です。
ここに入る模様によって呼び名が変わり、唐草模様が入っている「万十唐草軒(まんじゅうからくさのき)瓦」が有名です。
他にも垂れの丸い部分に三つ巴紋が入った「京花軒(きょうはなのき)瓦」などがあります。

瓦屋根の施工手順

瓦屋根の内部構造は外見ではわかりませんが、その構造を知ることでトラブルに対する知識を得ることができます。

<1:屋根の下地>
瓦を葺く土台となる下地は、木造では野地板(構造用合板やバラ板)と呼ばれるものを隙間のないように打ち付けて造ります。木造以外ではALC板やモルタル塗りで下地を形成します。

<2:下葺き>
下地の上に、ルーフィングシートという防水性や断熱性に優れた下地材を葺きます。ルーフィングシートにはさまざまな種類があり、その特徴も異なります。

<3:割付け>
葺く瓦のサイズを考えて、葺き上がりがしっかり収まるように屋根面の寸法を測ります。地割りに使う瓦の横寸法を「働き幅」、立て寸法を「働き長さ」と言います。

<4:桟木を取り付ける>
割付けに従って、下葺き材の上に瓦を引っ掛けるための桟木を釘で固定します。桟木には、破損や腐食に強い良質な木材を使用します。
近年では樹脂製の物も増えてきています。

<5:瓦を葺く>
桟木の上から瓦を葺いていきます。桟木に瓦の裏面のひっかけ部分をしっかりと掛けて、必要箇所に釘止めをしていきます。

<6:棟>
屋根の頂点部分の棟を仕上げる為に、漆喰やモルタル、緊結線などで、のし瓦や冠瓦、鬼瓦などを固定します。
地震や台風などの災害では棟が一番壊され易いため、現在では耐震金具や横筋を棟の中に入れ、しっかりと留め付けしています。

<7:全体的な補強>
桟瓦の他にも、袖瓦、軒瓦、棟瓦などに釘や緊結線、ビスなどを使ってしっかりと固定します。

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