おとな博覧会 KitoKito marche in 新庄
令和8年9月13日(日)「誰もが自分らしく、安心して暮らせる地域」を目指して開催された「新庄・最上レインボーマーチ2026」。 性の多様性や社会的マイノリティへの理解を深め、互いを尊重し合える地域づくりを目指すこの市民参加型イベントに、私はDJおよびオープニングパフォーマンスという形で携わらせていただきました。 
想像を超える熱気と、音楽の力
当初はささやかな規模での開催を想像していましたが、当日蓋を開けてみると、そこには約200名もの笑顔の大行進が広がっていました。新庄駅から商店街へと広がるパレードは、街全体を巻き込むほどの熱気と一体感に包まれたビッグイベントとなっており、良い意味で大きく裏切られることとなりました。
ことの始まりは今年7月、新庄市市議会議員 坂本健太郎さんからのご提案でした。実行委員会や関係者の皆様からいただいた「パレードの趣旨に合う音源をDJ MIXしてほしい」というリクエストを受け、私は「レインボーパレードMIX」を制作いたしました。当日はその音源が街宣車から響き渡り、パレードを彩る大きな要素となりました。長年続けてきたDJという経験が、このような形で地域社会や誰かの笑顔に貢献できたことは、私にとっても非常に光栄で誇らしい瞬間でした。
また、パレード前のオープニングパフォーマンスでは、ケアホームカナンのスタッフとともに「DJ音楽健康 準備体操」を披露させていただきました。参加された皆様が笑顔で楽しく身体を動かしてくださり、これから始まる行進に向けた素晴らしいウォーミングアップの場をつくることができました。
ハウスミュージックのルーツと、アムステルダムでの記憶
私自身、かつては「LGBTQ+」という言葉を知識として知っている程度でした。昔、オランダのアムステルダムを訪れた際、当事者の方が集うLGBTカフェで少し言葉を交わしたことがありました。その時、店内で楽しそうにレコードを回すDJの姿を見て、「いつか自分も大好きな音楽を通じて、こうした居場所づくりに貢献できたら」と漠然と思いを馳せたことがあります。
実は、私が愛してやまない「ハウスミュージック(HOUSE MUSIC)」というジャンルそのものが、1980年代のシカゴにおいて、アフリカ系アメリカ人やラテン系のLGBTQ+コミュニティから誕生した音楽です。当時、人種差別や偏見の危機に直面していた人々にとって、ハウス・ミュージックが流れるクラブは単なる娯楽の場ではなく、「ありのままの自分でいられる安全なシェルター(聖域)」でした。自由、解放、愛、そして救済――それがハウスミュージックの根底にある本質です。
今回、新庄の地でパレードの音源を作りながら、私はあの頃アムステルダムで見た光景や、ハウスミュージックの持つ温かい包容力を思い出していました。
表面的ではない「体験」がもたらす学び
パレードの最後に行われたクロージングでは、東北各県をはじめ、遠くは東京や大阪から駆けつけた団体による活動報告が行われました。それぞれの地域で積み重ねられてきた地道な取り組みを知り、実際に現場の人々と触れ合うことで、表面的な知識だけでは決して得られない深い興味と関心が自分の中に湧き上がるのを感じました。
「自分らしく生きる」ことのできる安全な居場所を、地域の中にどう作っていくか。
あの日、アムステルダムで芽生えた小さな夢が、時を経てここ新庄で結実したように、私たちが発した小さな音や一歩が、誰かの未来を少しでも明るく照らすきっかけになればと願っています。素晴らしい機会を与えてくださった実行委員会の皆様、そしてともに歩んだすべての参加者の皆様に、心からの感謝を申し上げます。


