節税対策、あれこれ・・・
昨年の10月から導入された「インボイス制度」、これによってそれまでは消費税の納税が必要なかった零細事業者や開業2年以内の小規模法人・個人事業主までも消費税の納税が必要となりました。政府は、「下請法」などを持ち出して、発注先に対してインボイス登録の強制や請求金額の一部カットなど、下請けいじめとなるようなことがないよう注意喚起しましたが、そんなことで「いじめ」がなくなるほどシャバは容易ではありません。そのため、多くの零細事業者が泣かされていますが、なかなかニュースになることもないようです。
歴史を紐解くと、その昔、大平政権が一般消費税導入を目指して選挙で大敗。そのあと中曽根政権が売上税導入を目指したもののこちらも選挙で大敗。1989年の竹下政権でようやく税率3%の消費税が導入されました。当初は免税点(消費税の納税義務がない)は3000万円でしたが、この免税点や簡易課税制度の選択幅が徐々に縮小されて、現在の免税点は基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下になりました。それでも何とか、大工の一人親方や家族経営の飲食店などだけが免税点の範囲に収まっていたわけですが、インボイスに登録すると売上高にかかわらず消費税の納税義務が発生します。ただし飴玉政策で最初の3年は20%だけ、そのあとの3年は50%だけの納税でいいよ、というぬるい仕組みになっています。
ここで、例題をもとに考えてみましょう。
1.大工の源さんの1年の売上はだいたい毎年800万円でした。仕入や諸経費は半分の400万円くらいです。
この場合、消費税の免税事業者(課税事業者とはならない)ので、消費税の納税はゼロ円です。
2.昨年10月からインボイスの登録事業者となりました。(仕入と経費はすべて課税仕入とします)
今年の消費税額は、(800万円-400万円)×10/110×20%≒72,700円
この72,700円を翌年3月末までに納付します。
3.3年後も同じ売上と仕入・諸経費でした。
その年の消費税は、(800万円-400万円)×10/110×50%≒181,800円
4.さらに3年後はおまけの飴玉がなくなってしまい、
納める消費税は、(800万円-400万円)×10/110≒363,600円 なり!
どうでしょうか?インボイスに登録した(せざるを得なくかった)ために、7年後からは36万円以上の負担増です。生活レベルにもよると思いますが、1~2ヶ月分の生活費が吹っ飛びます。これが政府の言う「薄く広く」の中身なんですね・・・・。(写真と文章は関係ありません)