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コロナ下での「ズーム疲れ(zoom fatigue)」にどう対処する?

村田晃

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テーマ:メンタルヘルス(心の健康)

コロナ下での「ズーム疲れ(zoom fatigue)」にどう対処する?

米国スタンフォード大学のコミュニケーションを専門とするベイレンソン教授が、学会誌に「ズーム疲れ」の理由とその解決策について発表していますので、その概要について紹介します。

長引く新型コロナ下で、「ソーシャル・ディスタンス」が引き続き求められる中、ビデオを使ってのバーチャルな会議がますます普及している現状を踏まえ、ベイレンソン教授は心理学的な視点から「ズーム疲れ」を研究し、四つの原因及び解決策を挙げています。

教授はズームの効用を認めながらも、現在のビデオカンファレンスのテクノロジーがいかに利用者を疲労させるかを指摘し、技術的な改善策及び利用者には対応策を提案しています。ここでは利用者の対応策を中心に述べます。

「ズーム疲れ」の理由
1.過剰なクローズアップで、視線を合わすこと (アイコンタクト) が強烈すぎる。

まず、ビデオ会議でのアイコンタクトの量が不自然に多い。ふつうの会議では参加者は発表者を見たり、ノートを取ったり、他を見たりするが、ズームでは誰もが常に誰かを見ている。
それでアイコンタクトの量が劇的に増加し、誰もが自分を見ているというのは不安を高め非常に
ストレスの高い経験となる。
もう一つのストレスの理由は、画面上の顔の大きさである。例えば1対1の場面では、相手が見知らぬ人でも、その顔の大きさは親しい間柄の相手と同じパーソナルスペースで大きく映し出され見ることになる。

⃝解決策
ズームをフルスクリーンで見るのを止めて、ズームのウィンドウの大きさを顔の大きさが小さく
なるよう減少する。あるいはもう一つのキーボードを使って画面と自分との距離を延ばす。

2.ビデオチャットの間中、常に自分を見ているのは疲れる。
実際の会議で、常に自分を鏡で見ているような状況はありえない。
多くの研究が、人は自分を鏡で見ている状況では自分により批判的になるという結果を示して
いる。

⃝解決策
利用者は、「自己像を隠す機能」を利用する。

3. ビデオチャットはふだんの動きを著しく制限する。
普通の会議や電話での会話では、人は動き回ることができる。しかしながらビデオ会議では多くの場合カメラが固定されているので、参加者は同じ場所にいなければならない。多くの研究が、人は動いている時に認知機能がよく働くとの結果を示している。

⃝解決策
追加のカメラを画面から離れた所に設置することで距離を生み出し、参加者は動き回ることが可能になる。また、ビデオを定期的にオフにすることを会議の決まりにすることが、参加者に休みを与えることになる。

4. 認知の量はビデオチャットでは非常に多い。
実際の会議では、言語によらないコミニュケーションは自然で、誰でもジェスチャーを無意識的に解釈している。しかしビデオチャットではそのシグナルを受けるのが非常に困難となる。例えば
ビデオでは、同意することを示すのに大げさにうなずいたり、手を挙げたりする必要がある。これがコミュニケーションで認知の量を増やし、メンタルな疲労につながる。

⃝解決策
ビデオチャットの間に「音声だけ」の時間を取る。

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 次に述べるのは私自身の考えですが、「ズーム」に限らず、いわゆるSNSが共通して持つ限界は、実際の面と向かっての会話と違い、人が持つ「五感」が十分に伝わらないことと思います。
つまり、視覚・聴覚は利用しているものの、臭覚・触覚・味覚は伝わらないことです。特に臭覚は発生的にも視覚よりも以前から存在していたものであり、それだけ大事な機能と言えます。例えば新型コロナで臭覚を失った人が日常生活でのその不便さを述べていることにそれが示されていると思います。

 更に言えば、実際の人と人とのコミュニケーションには以上の「5感」に加え、「第6感」も存在すると思います。それはいわゆる腹と腹との通じ合い(「バイブレーション」)といえるものです。

 今後技術、特にAI(人工知能)が発達して以上の感覚が作成可能になるかどうか、私には分かりませんが、そうなると改めて人と人とのコミュニケーション(相互理解)とは何かが問われることに
なるでしょう。

⃝なお、「コロナと人間の心理」について、音声番組「マイベストチャンネル」で話していますので、以下にアクセスしてお聞きください。
https://wave.popin.cc/audioplayer.html?channel=webun_LMCv2&nid=60d9b116f686b67fbe397d14

うつ心理相談センター
村田 晃 
心理学博士(PhD University of Denver USA・臨床心理士・富山県スクールカウンセラー

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村田晃
専門家

村田晃(心理カウンセラー)

うつ心理相談センター

法務省心理技官として25年勤務後、米国の2大学院に15年留学、カウンセリング心理学修士号及び博士号取得。 留学中にうつ病になり精神科病院にも入院。その体験からうつへの関心を強め、以後うつを多面的に研究

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