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「長時間働くこと」 と 「うつ」 との関係について

村田晃

村田晃

テーマ:心理相談・カウンセリング

「長時間働くこと」と「うつ」との関係について、エフエムいみず(79.3MHz) の私の番組、
「心に元気を!大人のメンタルヘルス」(2月8日水曜)で話しています。

長時間働くことがどう影響するかについては、身体の健康面への影響についてはよく研究が
なされているといえます。

しがし、長時間働くことが精神面に与える影響、特にうつとの関係については意外と実証的な
研究はあまりなされていないようです。

それで今回は、最近目にした海外の研究結果を紹介して、長時間働くこととうつとの関係に
ついて考えてみたいと思います。

一月下旬のニュースで、「一日11時間以上働く英国の公務員のうつ病リスクは、一日7~8時間
働く同僚の2倍以上」とする論文が、1月25日付けの米科学誌「プロスワン(PLoS ONE)に発表
された、とありました。

それで私もその論文を読んでみました。(ちなみに、この論文は次にアクセスすると、インター
ネットで原文が読めます。)
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0030719

この研究は、フィンランドとイギリス・カナダの研究者による共同研究で、長時間労働が
うつ病の発現と関係あるかどうかについて、6年近くの追跡調査をしたものです。

この論文の最初に、WHO(国際保健機構)が、2030年までにうつ病がいわゆる先進国で
NO.1の病気になるであろうと予測していることを紹介しています。

2100人余りの英国の公務員を6年近く追跡調査して得た結論は、前述したように、一日
11時間以上働いた英国の公務員は、一日7~8時間働く同僚の2.4倍以上うつ病を発現した
ということです。

しかもこの結果は、身体的な病気の有無、喫煙・飲酒の有無、仕事についての周囲の
サポートの有無とはほとんど関係なく、同じだったというものです。

私が特に注目したいのは、いくらたばこやお酒をやめたりして健康に気をつけ、また仕事に
ついて周囲のサポートがあっても、長時間働き続けること自体がうつ病の発現と関係がある
ということです。

言い換えれば、長時間働き続けること自体が問題だということになるからです。

ただし、この論文の研究者自身が認めていることですが、中年のいわゆるホワイト・カラーの
英国人に対する調査結果が、どの程度他の人にも当てはまるかの疑問はありますが。

ところで、長時間労働というと、いわゆる「仕事中毒」という言葉を思い出しますね。

ちなみに「仕事中毒」は、英語で「ワークホリック(Workaholic)」で、その言葉は、仕事(Work)
とアルコール中毒[依存](Alcoholic)を合成して1968年に作られたそうです。

仕事に夢中になるのはそれ自体悪くはなさそうですが、いわゆる仕事中毒の場合は本当に
仕事を楽しんでいるのではなく、実は背景に不安や自信の無さ、夫婦間などの対人関係の
問題からの逃避があるといわれています。

つまり、長時間働くことに追いまくられることによって現実のいろいろな問題から逃避しようと
する機制だというものです。それは本人自身が気が付いている場合もあるでしょうし、また
気が付いていない場合もあるでしょう。

いずれにせよ、仕事中毒の仕事中毒たるところは、仕事に追われ長時間働いているにも
関わらず、能率が上がらないという点です。

以上結論として、いわゆる仕事中毒でなく純粋に仕事・働くことが好きでも、長時間働くこと
自体うつの発現に関係がある。ですから、やはり 「ほどほどに働くのが良い」 ということ
でしょうか。

皆さんはどうお考えでしょうか。

なお、更に詳しい内容はエフエムいみずのインターネットラジオで聴くことができます。
インターネットで聴くには、次にアクセスしてください。
http://www.voiceblog.jp/fmimizu/ バックナンバー第37回

皆さんからの番組へのEメールをお待ちしています (直接、エフエムいみず へどうぞ)。
http://www.fmimizu.jp/

なお、この番組の最後に流れる曲、「心」(釈 敏幸作詞・作曲・唄)については、以下のYouTube
で全曲が聴けます。釈 敏幸さんは、統合失調症を抱えながら音楽活動を続けていらっしゃいます。
http://www.youtube.com/watch?v=c4PXxh3raLU

うつ心理相談センター所長
心理学博士(PhD University of Denver USA)
村田 晃






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村田晃
専門家

村田晃(心理カウンセラー)

うつ心理相談センター

法務省心理技官として25年勤務後、米国の2大学院に15年留学、カウンセリング心理学修士号及び博士号取得。 留学中にうつ病になり精神科病院にも入院。その体験からうつへの関心を強め、以後うつを多面的に研究

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