「ゴールデンウィークの憂鬱」について
「めげにくさ」の心理学について、エフエムいみず(79.3MHz) の私の番組、「心に元気を!
大人のメンタルヘルス」(1月18日水曜)で話しています。
新年の抱負を始め、いろいろなことが実際はうまくいかず、めげることがあると思います。
それで今回は、「めげにくさ」について心理学的な面から迫ってみたいと思います。
この「めげにくさ」ということは、英語では「resilience」という概念で心理学的な研究の
対象となっています。
「resilience」という言葉自体は、復元力・回復力といった意味ですが、これを心理学的な
概念として用いた場合、いわゆる困難や失敗にあってもへこたれない・めげない気持ち、
といった具合にとらえられています。
例えば、親がアルコール依存など問題を持った家庭に育った子どもが、皆な問題のある
子どもになるかというとそうではない。また一方で、理想的な家庭環境で育った子どもは
問題がないかというとそうでもない。言い換えれば、環境だけでその人の将来は決まらない。
また、日常生活において困難な場面や失敗に直面した時、ある人は非常に落ち込んでしまって
立ち直れなかったりする。一方、ある人はそれから素早く立ち直ってしまう。
人によるこのような違いはどこから来るのか。言い換えれば、人が周囲の環境要因に必ずしも
影響されるばかりではないのはなぜか、ということから、個々人の持つ「めげにくさ」の程度
というものが想定されるようになったと考えます。
個々人の持つ「めげにくさ」の程度に影響するものとしては、まず生来的な要因があると思い
ます。つまり遺伝子レベルでの違いです。
このように、もし個々人の持つ「めげにくさ」の程度が遺伝的・生来的な要因だけで決まるの
であれば、生まれた時点でそれが決まってしまうことになり、あとからはどうしようもないと
いうことになります。
しかし幸いなことに、いろいろな心理学的研究の結果、「めげにくさ」の程度は単に生来的な
要因だけで決まるのではなく、後天的な要因も大きく影響していることが言われています。
それは主にものの考え方によるものですが、以下に、「めげにくさ」を生み出す主な心理学的
要因(ものの考え方)を挙げてみます。
○「めげにくさ」を生み出す心理学的要因(ものの考え方)
1.他に援助・助けを求める。
問題を自分だけで抱え込まず、いろいろな社会資源(家族・友達や相談機関など)を利用
する。
2.困難や失敗という事実そのものは変えられないが、それをどう受け止めるかやそれにどう
反応するか、は変えられる。
3.物事を固定的にとらえず、変化は人生の一部ととらえる。(失敗に何時までも囚われない)
4.失敗を自分自身を知る機会(チャンス)ととらえる。
5.物事をやる時、失敗しないかを気にするのではなく、自分は何をやりたいのかを常に思い
描き、それに注意を集中する。
6.自分の短所や弱点ではなく、自分の長所や強みに目を向け、自分を肯定的に見る。
○以上まとめれば、失敗すること自体は問題ではない。なぜなら誰でも失敗するから。大事な
のは失敗した後どうするか。
その対応先としては、困ったときは気軽に他に助けを求める。失敗も人生の一部であると
とらえ、それから学ぶようにする。自分の長所・強みに着目し自分自身を肯定的にみるように
する。があるといえます。
何はともあれ、困難や失敗に遭いながらも今現にここに存在していること自体に自信を持って
いい、と思います。(ある学者は、これを「survivor's pride」と言っています)
まあ、とにかく「行動」してみましょう。
皆さんはどうお考えでしょうか。
うつ心理相談センター所長
村田 晃
心理学博士(PhD University of Denver USA)
臨床心理士、富山県スクールカウンセラー



