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コラム

「では、うつにならないためにどうするか」

2011年12月15日 公開 / 2014年6月5日更新

テーマ:心理相談・カウンセリング

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

「では、うつにならないためにどうするか」について、エフエムいみず(79.3MHz) の私の
番組、「心に元気を!大人のメンタルヘルス」(12月14日水曜)で話しています。

五回にわたった「うつとは何か」の中で、私は繰り返し、「うつは誰でもなり得る。だから、
うつになったらそれを好機・転機と前向きにとらえる」と、うつの"効用"を強調してきま
した。

しかしながら、うつに実際なるとやはりつらいです(私自身も体験しました)。ですから、
うつにならないに越したことはないといえます。

それでは、うつにならないためにはどうするか。

それには自分で普段からできることが幾つかあります。

第一に、十分休養し、栄養のあるものを食べることです。

心身のエネルギーが落ちるのがうつといわれますので、それを防ぐためにも普段から
睡眠をよく取ったり、食べ物に気を付けることは大事といえます。

第二に、運動やリラクセーションを行うことです。

これは心と身体が相互に関係している心身相関の考え方から、「行動面から気分を変える」
という行動療法の理論に基づいています。(例:走ると、気分に関係する脳内の神経伝達
物質が賦活されて気分が良くなる)

具体的な例としては、ストレッチ・腹式深呼吸・瞑想・笑いのヨガ・姿勢に気を付ける
(背筋を伸ばす)などがあります。

○背筋を伸ばす
特に、背筋を伸ばすというのは非常に簡単ですが、気分を良くするのに効果があるという
米国のオハイオ州立大学の研究結果があり、やってみて損はないと思います。

○腹式深呼吸
また、腹式深呼吸は不安感の減少に効果があるといわれており、うつと不安は深い関係が
あります。ですから、不安感が高まってきたときに、おなかの筋肉を使って鼻からゆっくり
大きく息を吸い込み、口からまたゆっくり出す腹式深呼吸を数回してみるのは良いと思います。

○笑いのヨガ
特に面白いのは笑いのヨガです。

これも笑いはもともと身体的な行動であるという事実に基づいています。
ことわざでも「笑いは百薬の長」と言われているように、笑いが健康にいいことは昔から
経験的に言われてきたことです。

ただ問題は、笑うようなおかしなことは普段そうしょっちゅう起きないことです。
しかし、心身相関に基づく行動療法の立場からは、おかしくなくても無理矢理笑っている
うちに気分も良くなるといえます。

私が米国で拘置所の収容者のグループでやった笑いのヨガは、非常に単純でしたが収容者には
好評でした。

それは、三つの基本的な笑いをできるだけ大声でやることです。一つ目は、口を丸くしてOの発音
でする笑い、二つ目は口を横に大きく広げてEの発音をする笑い、三つ目は口を大きく広げてHaの
発音をする笑いです。

ただ、普段は人前でやるのは変なので、車を運転しているときとか、お風呂でシャワーを浴びて
いるときとか、一人でいるときにやるといいと思います。(私は、今でも車の運転中に時々この
三つの基本的な笑いをやっています。)

第三に、ものの考え方を前向きにすることです。

○認知療法の理論を応用する
ものの考え方(認知)が気分に影響するというのが認知療法の理論です。
つまり、ものの考え方を変えることによって気分を変えるということです。

特に、自己否定的なものの見方や、周囲への敵意や強い不信、将来への悲観的なものの
見方がうつの発現に関係しているという立場から、うつを防ぐためにはできるだけ前向きな
ものの見方・とらえ方をすることが大事となります。

例えば、ものごとを行うときに、成功か失敗かといった結果ばかりに囚われず、努力する
その過程が一番大事と考える、また、仮に失敗しても失敗したから学べるものがある、と
いった前向きの考え方です。

○実存療法の理論を応用する
心理学における実存主義の立場では、人はその人生においての目的・意味を見い出せない時、
うつに陥ると考えます。裏返せば、人生の目的・意味を新たに創造し見つけていく限り、うつ
にはならないことになります。

そのためには、ボランティア活動に積極的に関わる、講演を聴いたりして新しいことを学び
続ける、といったことが良いと思います。

なお、更に詳しい内容はエフエムいみずのインターネットラジオで聴くことができます。
インターネットで聴くには、次にアクセスしてください。
http://www.voiceblog.jp/fmimizu/ バックナンバー第29回

皆さんからの番組へのEメールをお待ちしています (直接、エフエムいみず へどうぞ)。
http://www.fmimizu.jp/

なお、この番組の最後に流れる曲、「心」(釈 敏幸作詞・作曲・唄)については、以下のYouTubeで全曲が
聴けます。釈 敏幸さんは、統合失調症を抱えながら音楽活動を続けていらっしゃいます。
http://www.youtube.com/watch?v=c4PXxh3raLU

うつ心理相談センター所長
心理学博士(PhD University of Denver USA) 村田 晃

この記事を書いたプロ

村田晃

心理相談・カウンセリングのプロ

村田晃(うつ心理相談センター)

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