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15歳のリベンジ、18歳のリベンジ

2014年3月10日 公開 / 2014年6月4日更新

コラムカテゴリ:スクール・習い事

 
3年前の春、ある新高1生が入校されました。
お伺いしますと県内屈指の進学校に無念の涙を飲まれたそうです。

私事になりますが、私にも2人の娘がおります。
高校入試も大学入試も経験しました。
高校入試の発表当日、業務の合間を縫って受験高校を訪れてみたことがあります。
ガランとした中庭に掲示板がポツンと立っています。
受験番号を順に追うとぽつりぽつりと番号が欠けています。
抜け落ちた番号に該当する生徒さんや親御さんの心中を思い、胸が締め付けられる思いでした。

受験した誰もが合格を願い、不合格を望むものはありません。
が、定員以上の受験者がいれば合格・不合格の2者が生じるのは世の習いです。
しかし、今の生徒さんが生きる時代の寿命は90年ほどになっているかもしれません。
高校入試はたかだか15才時点での瞬間風速です。
90年もの長いスパンに於けるたったの15年で人生が決するわけがありません。


その生徒さんにもその旨を申し上げ、3年後にもっと大きな花を咲かせようと申し上げたのでした。
学習を始めてみますと大変に優秀な生徒さんです。済んだことを言っても仕方がありませんが志望校に蹴られるレベルではありません。
彼女には言いませんでしたが「せっかく才能がありながら残念なことだった。辛かっただろう。大学入試では必ず結果を出してあげたい。合格の喜びを掴んでもらいたい」と思ったのです。

こうして彼女との学習が始まったのですが、彼女は雨が降っても槍が降っても1日も欠かさず熱心に通って来られました。
どんな時もひたむきに頑張る彼女は才能も向学心も敬服する素晴らしさがありました。
ただ、あんまり笑わないのです。彼女なりに悔しさをこらえ耐えているのかなと思ったりもしました。

それから3年の歳月が流れました。
いよいよ、リベンジを期した大学入試が始まりました。
彼女にとっても大切な入試ですが私も我が事のように気になります。

そして今般、ついに難関の国立大学に合格されたのです。
3年越しのリベンジを果たした瞬間でした。

合格を伝えるメールの最後にあった一文に胸が詰まりました。
「よく授業中に出してくださったコーヒーもおいしかったです。
 3年間、ありがとうございました。」 


人生で大切なことは、いつ行くか(早いか遅いか)ではなく、悔いなくやり切ったかどうかです。
3年間を頑張り抜き、悔いのない結果をつかんだ彼女の立派さに頭が下がります。
これからも刹那的にはうまくいかないこともあるかもしれません。
でも、くじけずに歩き続ければきっと道が開けます。春の来ない冬はありません。

おめでとう。


さきほど、教室の電話がけたたましく鳴り渡りました。
「受かりましたー!」
電話の向こうは3浪生のBさんでした。

彼女は2年前の春、当館にお出でになった浪人生です。
県内最難関の進学校の理数科に在籍していた彼女は医学科の志望でした。
現役時代に失敗し、1浪したものの再び夢破れ、2浪目の春に当館を訪れられたのです。
持って生まれた才能には素晴らしいものがありました。
研鑽を積むこと1年、2浪目の受験は惜しいところまで行ったのですが結局夢果たすことは出来ませんでした。
さすがに彼女の落胆には大きなものがありました。

教室へ相談に来られた彼女は、「はぁー」とため息をつき肩を落としておられます。
放心状態でポツンと座っておられる姿が痛ましかったです。
「今後はどうするがけ?」とお尋ねしました。
「家の人からは、もうやめとけって言われてます」と答えた彼女は自分自身どうしていいのか分からない様子でした。

しかし、彼女はまた起ち上がったのです。
そして3浪目の今年、ついに国立大学医学科に合格されました。
医学科は30歳代、40歳代の入学生も珍しくありません。
3浪なんてピチピチの若者です。

もし去年、投げ出していたら決してたどり着くことがなかった夢を手にした彼女。
夢とは諦めないことだという信念を見事に証明してくれました。

おめでとう。








青空へ向かって!



    

この記事を書いたプロ

上野伸彦

英語個別指導のプロ

上野伸彦(英語の以学館)

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