資金繰りの悩みに応え、経営者が描くビジョンを形に（3/3）

中小企業の経営者に寄り添い、身近な相談相手として伴走

　山田さんが中小企業の支援にこだわる理由は、幼少期にあります。
　「3代続く瀬戸物店を営む父の姿を見ていたため、中小企業の経営は身近にありました。商売はいいときばかりではなく、長く続けていればピンチが訪れるということも、身をもって知りました」

　家業は、時代の変化に対応しきれず衰退し、縮小を余儀なくされます。山田さんは、大手システムインテグレータに就職しました。社内で推奨された資格の中で興味を持ったのが、中小企業診断士だったとか。
　「幼いながら、経営者である父の孤独を何となく感じ取っていました。経営の悩みを気軽に話せる相手はおらず、社員にも本心を出せず、つらいときもあるでしょう。そんな父や家業に貢献することはかないませんでしたが、同じような中小企業の経営者に寄り添いお手伝いできればと考えました」

　資格の取得見込みを機に、中小企業向けのコンサルティング会社に転職。資金調達のほか、営業力強化や人材活用支援などさまざまな経営支援を経験した後、独立しました。
　「たとえ同じ職場にいたとしても、経営者と従業員は違う世界を見ているものです。私自身が経営者として同じ立場に立つことで、考え方をより深く理解できると思いました」と、独立に至った心境を語ります。

　「特にお金の悩みは、経営者が一人で抱え込んでしまいますが、知識があれば解決できる方法はあります。周囲に吐き出すだけで気持ちは軽くなるので、まずは胸の内をお聞かせください」

（取材年月：2022年11月）

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