3-2.マスクの選択と使用は?
ASEAN(東南アジア諸国連合)における電子処方箋(e-prescription)の導入は、医療のデジタル化推進の一環として近年急速に進展している。域内では国ごとに医療制度やITインフラの成熟度が異なるため、発展段階にも差がみられる。シンガポールは最も先進的で、政府主導の「National Electronic Health Record(NEHR)」のもとで電子処方箋が普及しており、医療機関や薬局間での情報共有が可能である。マレーシアやタイでも電子健康記録(EHR)との統合を視野に入れた電子処方箋の導入が進行中で、都市部を中心にパイロットプロジェクトが展開されている。一方、インドネシアやフィリピン、ベトナムなどでは、地方部の通信インフラや規制の整備不足が課題となっているが、新型コロナウイルス流行を契機にオンライン診療とともに電子処方の需要が高まった。ASEAN全体としては、共通のデータ標準化やプライバシー保護、法的認証制度の整備が今後の鍵となる。各国政府は医療の効率化、偽薬防止、患者安全性の向上を目的に、国際的な協調と民間企業との連携を強化しており、今後数年で域内全体に電子処方箋の基盤が広がると見込まれている。



