習得・修得・体得・・・ “三得” の違いが、企業の成果を左右する!

占部正尚

占部正尚

テーマ:成果につながる「ビジネス発想」

最近、世の中は自己啓発ブームなのか、さまざまなテーマのセミナー(研修)が連日開催され、また書店の棚には自己啓発ものが多数並んでいます。
もちろん、いまよりも充実した人生を目ざして新しい知識を得たり、技術を身に付けることは良いことですし、自主的に学ぶ姿勢を育むことは明るい社会を創るためにも必要なことです。

学ぶ目的は何ですか?


学ぶこと自体が目的であっても許される人、すなわち趣味の範囲で取り組む分には、『学んで頑張っている自分が好き』、『学んでみたけど、身につかなかったね』、『いい経験になったね』という感想や結果でも構いません。学ぶことがまさに “レクリエーション” と表現して過言ではないでしょう。

しかし、企業が費用をかけてセミナーを企画し、社員に受講させる場合、『とりあえず学んでみた』、『学んだけど、身につかなかった』、『回数多く受けたから、人事評価は高まるかも』という状況では困ります。マネジメントにおいては、必ず費用対効果が求められ、セミナーを実施したことによる効果を明確にする必要があります。

スキルアップの判断基準 “三得”


社員がセミナーを受講して、それが本当に身につき、今後会社の役に立ってくれるかどうかを判断する基準として、習得・修得・体得の三段階があり、共通の文字 “得” をとって “三得” と表現します。
ここでは「モチベーションアップ研修」を受講して、「ポジティブ発想で仕事をすると成果が出やすい」という内容を学んだことを事例として説明します。

●習得
「知識レベル」の段階です。受講生の感想としては「なるほど、ポジティブ発想が大切なんだぁ。自分はネガティブなところがあるからダメなんだなぁ。明日から頑張ろう!」と、知識を得たことにより満足感を得ることが特徴です。
●修得
「実践レベル」の段階です。受講生の感想としては「なるほど、ポジティブ発想が大切ということは、明日から部下に対して『ダメな理由』ではなく『どうしたら出来るか』を具体的に指示しよう」と、どうしたら職場で実践できるかを模索し始めるのが特徴です。
●体得
「自然な発現レベル」の段階です。受講生は感想を思い浮かべる前に、部下に対して自然に「資金が足りないことを嘆くより、スポンサー候補を探そうよ」と、研修をきっかけにポジティブ発想による指示出しに既に取り組んでいます。

会社としては、少なくとも「修得」の段階を求めることになります。「修得」の段階に達している社員は、職場で実践を繰り返すことにより、かなり高い割合で「体得」に達することができるでしょう。

“三得” の見分け方


セミナー終了後にアンケートを取る会社が多いのですが、その内容を読めば、受講生が “三得” のどの段階にいるのかを概ね把握することができます。

●習得
感想欄に「感動しました」「良かったです」といった抽象的な表現が多ければ、おそらく習得レベルであり、実践に移す割合は少ないと思われます。
●修得
感想欄に「明日から○○を行います」と実践レベルの表現が多ければ、修得レベルに達している可能性が高いと言えるでしょう。
●体得
感想欄の書き方は修得と共通していますが、実際に当日もしくは翌日から会社での行動や発言内容が明らかに変化しているはずです。

ぜひ、セミナー(研修)を実施される人事・教育関連の方は、受講生に対して事前に「修得や体得の大切さ」を啓発していただきたいと思います。

※参考リンク
マーケティングオフィス・ウラベ 研修体系

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占部正尚
専門家

占部正尚(経営コンサルタント)

マーケティングオフィス・ウラベ

ペップトーク(勇気づけの言葉)とロジカルシンキング(論理的思考)の融合で、社員のやる気・思考力の両面を育み、組織を活性化させる講師。レクチャーは「即効性・持続性が圧巻」と日本中からオファーが絶えない。

占部正尚プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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